希薄な関係の実妹と、女友達のいる俺が、学校一の美少女と付き合うことになったら、おっぱいを見たり、感じたりする機会が増えたのだが⁉

譲羽唯月

前編 俺はが学校一の美少女 水泳部の先輩と付き合うことになった⁉

第1話 ある日、俺は学校一の美少女の水着姿を見てしまった⁉

 肌白く、二つの膨らみ。そして、桃色の小さな突起があるものと言えば――


 おっぱいしかない。

 それは断言できる。

 だが、春風浩紀は人生で一度も、その高貴なるものを直接みたことはなかった。


「どうしても見たいんだよな……」

「なんですか、お兄さん?」

「え?」

「何が見たいんですか?」

「いや、何も?」

「……」


 朝、七時頃のリビング。ポニーテイル風の髪型に、おっぱいは貧乳サイズの、一つ年下の妹から疑いの眼差しが向けられていた。


 一緒に同じテーブルで食事をする妹――友奈とは希薄な関係。ゆえに、そこまで兄妹らしい生活をしているわけではなかった。


「本当になんでもないんだ」

「そう、ですか?」

「ああ。それよりさ。早く学校に行かなくてもいいのか? 今日は朝から委員会活動じゃなかったのか?」

「そうですね。じゃ、私はもう行くから」


 友奈は使用した食器を持ち、キッチンの洗い場へと向かう。浩紀と比べ、しっかりとしている。

 なんでも家のことをやってくれることもあり、浩紀の方が弟で、妹の方が逆に姉のように感じてしまうことが多々あった。


 食器を洗い終わった友奈はリビングに戻ってくるなり、ソファに置かれていた通学用のバッグを持ち、兄である浩紀をチラッと見る。だが、妹は特に何も話すことなく、自宅を後にしていったのだ。


 高校生になってからというもの、友奈との距離はさらに広がったような気がする。多分、頼りない兄だからこそ、冷たく振る舞うようになったのだろう。


 そう思うと、心苦しくなる。

 もう少ししっかりとしないとな……。

 と、浩紀は箸でご飯を摘み、口へと運ぶのだった。






 おっぱいとは浩紀にとって唯一の心の安らぎだったりする。

 それ以前に彼女がいない。

 直接おっぱいを見たいのに、付き合っている子がいないことで、見ることさえもできないのだ。


 そんな悲しい人生を歩んでいる浩紀にとって、エッチなサイトを見ることが、唯一の気の紛らわしだったりする。

 浩紀はスマホでエロサイトを見、一人で通学路を歩いていた。


「おはよう、ひろー」

「⁉」


 普段から聞き慣れた可愛らしい口調。

 だが、エッチなサイトを見ている時に、声をかけられたことで、尋常じゃないほどの緊張感に襲われた。


「お、おはよう」


 浩紀は戸惑いがちに背後を振り返り、挨拶を返す。

 彼女は浩紀の隣にやってくるなり、可愛らしい笑顔を見せてくれる。


 その子は、セミロング風の髪型に、程よい感じの胸の膨らみを持つ、東城夢。クラスの中でもダントツトップの美少女。

 毎日のように告白されることが多いのだが、なぜか、断っていることが多い。

 その理由は不明である。


「ひろは今日一人なの?」

「まあ、そうだな」

「友奈ちゃんは?」

「委員会活動だって」

「へえ、そうなんだ。友奈ちゃんっていつも委員会活動とか頑張ってるもんね」


 夢は感心するように頷いた。


 そもそも、彼女とは中学時代からの女友達だったりするが、そこまで恋愛関係には発展していない。普通だったら、街中に一緒に遊びに行く程度の関係になってもいいのにと思う。

 けど、程よい今の関係性が丁度いいのかもしれない。


 彼女は学年の中でトップレベルの美少女なのだ。

 余計に恋愛関係には発展させない方がいいだろう。

 クラスの同性からの恨みと憎しみの感情を一心に受けたくないからである。


「私ね、また、告白されたの」

「そ、そうか……」

「どうしたらいいと思う?」

「それは、俺はわからないよ……」


 逆になんで聞いてくるんだと思う。

 そもそも、浩紀は恋愛の知識なんてサラサラないのだ。

 そんな奴になんで相談してくるんだと感じた。


「いつもされてるよな?」

「うん」

「じゃあ、そろそろ、誰かと付き合ってみたら?」

「それは……ちょっと難しいかな?」

「なぜ?」

「私には好きな人がいるし」

「好きな人? 誰?」

「それは……」


 夢は、浩紀の方をチラッと見やった。


「な、なに?」

「んん、なんでもない。あッ、私、委員会活動があったんだった。私、もう行くね」


 夢は焦った感じに言い、背を向け、学校へと走って向かっていく。


 なんか、今日は朝から委員会活動する人が多いな……。

 と、思いつつ、浩紀はエロサイトが表示されたスマホを制服のポケットにしまい、一人で通学路を歩くのだった。






「なあ、お前さ。今週のグラビア誌を見たか?」


 朝、教室に入ると、親の顔よりも見飽きた友人から話しかけられた。


「見てないよ」


 いつも通りの席に座り、友人と会話を始める。


「お前さ、いつまで真面目なフリをしてんだよ」


 その友人は、まだ教室に来ていない人の椅子に座り、浩紀の机に見開いたグラビア誌を置いたのだ。


「真面目なフリじゃなくて……真面目なんだよ」

「はああ……だからさ、いつまで経っても彼女もできないんだよ」

「逆にさ、君は彼女ができたの?」

「……いや、できていない。いや、違うッ、後もう少しでできそうだったんだ」

「それで、どうなったの?」

「それがさ、エロい話題を振ったら、付き合えそうだった子から、逆に振られてしまったんだよ」

「だよな……さすがにそういう話題は良くないと思うよ」

「お前なあ、彼女経験もないくせに、真面目そうに言うなよ」


 と、不満げに言う彼は、中学生の時の友人――亮仁真司である。


「というかさ。今日のグラビア誌ってさ。なんか、あの先輩に似てね?」

「誰?」

「水泳部の先輩」

「……」


 浩紀は考え込む。

 そして、もう一度、グラビア誌をチラッと見た。


「……多分、似ているかもね」

「だろ? というか、あの先輩さ、おっぱいがデカいよな。どう考えても高校生とは思えないって。しかも、水泳部だろ? 見てくれと言わんばりの姿に、俺、興奮するんだよ」

「そっか」

「冷めてるな、お前はさ」

「別にいいだろ。俺はそんなに興味は……」


 本当は誰よりも興味がある。

 けど、あまり変態だと思われたくない一心で、真面目を装っているのだ。


 やはり、他人に変態というレッテルは張られたくない。

 普通に彼女を作って、普通にデートをしてみたいのだ。

 それから、直接おっぱいを見れればいい。

 そう思っていた。


 刹那、チャイムが鳴ると同時に、女性の担任教師が教室に入ってくる。

 そこから朝のHRが始まるのであった。






「昼休み中にすまないが、廊下で出会ったのも縁だ。これを別校舎の二階の教室Aまで運んでくれないか?」

「え?」


 裏庭に昼食を取りに行こうと一階廊下を歩いていると、女性の担任教師から中ぐらいの段ボールを強引に渡された。


「じゃあ、頼んだからな」


 担任教師と出会ってしまったのは運が悪いとしか言えない。だがしかし、むやみに拒否するのも気が引けたので、素直に受け入れることにした。


 浩紀は真面目を装って生活している。

 そのイメージを崩さないためにも、先生の意見はしっかりと聞くようにしていた。


 要件をすべて話し終えた担任教師は背を向け、立ち去って行ったのだ。

 はああ……面倒だな……。

 浩紀は誰もいなくなった廊下でため息を吐くのだった。






「というか、別校舎の二階って、あそこだったか?」


 浩紀は部活に所属していないことで、別校舎に行く機会がそもそもない。

 高校には一年と少し通っているものの、まだ知らない場所が存在していたりする。

 浩紀は中庭を通り、別校舎へと入った。

 視界に入る階段を上り、二階へと向かう。


 教室Aとは、それぞれの教室に付けられた名前。他にB、Cなどの教室も存在する。

 浩紀は目的となる教室を探すように、二階の廊下を歩く。

 そして、見つけたのだ。


「多分、ここにこれを……」


 浩紀は一度段ボールを廊下に床に置き、扉を開ける。

 昼頃の時間帯なのに、なぜか室内が薄暗かった。


「……⁉」


 一瞬、目を疑う。

 薄暗い環境下に目が馴染んできて、浩紀はその事態を把握したのだ。


 瞳には、着替え真っ只中の女の子が映る。

 しかも、その子は、水泳部の先輩であり、なぜ、こんなところで着替えているのかと思い、驚き、後ずさってしまう。

 その先輩は、浩紀の姿に気が付くなり、水着を整えた。


「ねえ、わざと部屋に入ったでしょ」


 だがしかし、彼女はそこまで恥ずかしがることはしない。

 むしろ、浩紀がこの教室に来るのを待っていたかのように、余裕を持った笑みを見せ、大きなおっぱいを強調した水着姿のまま、浩紀の方へ歩み寄ってくるのだ。


「ねえ、この部屋に入って」

「え⁉」

「いいから、早く。じゃないと、色々と問題になるでしょ?」

「え、あ、はい……」


 浩紀は強引な先輩に右腕を掴まれ、その教室に引きずり込まれるのだった。


 一体、どうなってしまうんだ?


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