第56話 ロザリオと


「それでは今日からお世話になりますわ、理人様、マリア、エルザ、リタ」


目の前にロザリオ様が居る…


まさか、こんな者を褒賞に持ってくるとは思わなかった。


この国の教会の力、教皇、大司教の力の凄さが良くわかる。


如何に夫婦間の間が冷めていても、相手は侯爵家…醜聞になるから離婚なんてしない。


しかも側室でなく正室で、政略結婚、別れることで両家の結びつきが壊れるから無理だ。



最も、王ですら逆らえない教皇や大司教が動くなら簡単なんだろうな…逆らえば破門とかいえば貴族とて、生きてはいけない、それがこの世界だ。


「よ、宜しくお願い致します!」


「宜しくお願い致します、ロザリオ様…いえロザリア」


「宜しくなロザリオ」


「ロザリオ…さん、宜しくお願い」


「皆、随分固いですわね、理人様は私の旦那様ですわ、ですからロザリオで宜しいのですわ…他の三人も昔は兎も角、今は三職、エルザみたいにロザリオで宜しいのですわよ」


固くなるのは仕方ない。


ロザリオは面倒見が凄く良く、この世界では珍しい砂糖菓子なんかもくれたが、領主様の娘だ…齢もかなり上だから、本当の意味で姉のような存在ではあるが、流石に緊張位するだろう。


「まぁぼちぼち慣れるから気にしないで」


「そうですわね、ですが理人様にはすぐに慣れて貰わないと困りますわ…そのお歳なのにお辛いでしょうから、お任せ下さいですわ、これでも妻の経験がありますから一通りは知っておりますわ」


「ちょっと待って!ロザリオ…あの、それは最後までするって事?」


「マリア、当たり前なのですわ…貴方達は三職、妊娠を考えたら、そういう行為は出来ませんわよね? だからこそ、私がそれを補うのです、私の務めなのですわ」


「ロザリオ…私は、理人に不自由なんてさせてない、口や胸を使ってしっかり満足させてあげている…最初はやられっぱなしだったけどな」


「そうだよ、リタだって理人お兄ちゃんとはラブラブなんだから、不自由なんてさせてないもん」


「それで理人くん? ロザリオとは最後までする気ですか?『お姉ちゃん悲しいな』」


話し方は優しいけど、背中に前世で言う般若が浮かび上がっている。


「三人とも、なにそんなに怒っていますの?その三人は大げさに考えてますが、そんなたいした事じゃありませんわ、精々が1時間、長くて2時間一緒にすごすだけですわ…その後は久しぶりにそうです5人一緒に寝ながらお話しでもするのもいいですわね」


「ロザリオ…ふふふ、勘違いしていますよ、私も理人くんとするまで、そう思っていましたわ」


「そうだよな、私もお母さんに聞いたのはそんなだったな…理人は違う」


「理人お兄ちゃんは兎に角凄いの! はぁ~あれはまったく違うよ…」


こう言われてしまうと流石に顔が赤くなるな。


幼馴染が三人で性の話をしているんだからな。


「それはどういう事ですの、理人様はまだ経験が無いはずですわ…確かに夫婦関係は冷え切っていましたが…私は妻だった経験がありますわ、経験者ですわよ...」


「まぁまぁ、今日は理人くん貸し切りだから、明日詳しく聞きますね…理人くん、お姉ちゃんが悲しくなる事はしないよね?」


ちょっと怖い…これは拗らしている時のマリア…マリ姉バージョンだ。



「マリ姉…解ったよ」


「理人…剣聖って腕力だけなら四職最強なんだよ…信頼を裏切るような奴じゃないよな?」


もし一線超えたら…まさかな。


「理人お兄ちゃんはリタが悲しくなるような事しないよね?」


目の前で顔を伏せ気味で上目遣い


ズルいよな…三人とも、俺の弱い所ばかりつくんだから。


「今日は、一線は超えないから大丈夫だ」


「「「そう約束(だ)(だよ)(ですよ)」」」


「あの、さっきから何を話していますの? そんな大きな話じゃありませんわよね?」


マリアもエルザもリタも…服も宝石も欲しがらない。


あげたら喜ぶが…それは勘違いじゃなければ『俺からのプレゼント』だからだ。


一日の恐らく1/3以上、場合によってはまる一日、やっている。


そう考えたら死活問題なんだろな。


◆◆◆


ハァ~相手は、理人なのですわ。


確かに小さい頃から慕われていたとは思っていましたわ。


あれだけロザリオ様と追いかけられて、『好き』と言われれば解らないわけありませんわ。


ですが…それは子供の頃のお話ですわ…


ままごとの様な『恋』それだけですわ。


10歳近く、歳が離れているんですから、普通は結ばれるわけありませんわよ。


確かに小さい頃から利発で、地味ですが可愛い子だとは思っていましたわよ。


だけど、此処迄歳が上ですし、それに近い歳の幼馴染がいたら、それと結婚して終わる筈ですわ。


それに貴族と村人、幾ら我が家が寛容でも年頃にでもなればもう会う事は少なくなりますわね。


凄い物ですわね…あの幼かった子供の理人が『今でも私が好きだ』なんて…ローアン大司教から話を聞いても信じられませんでしたわ。


女冥利につきますわね。


そんな長い事想われていたなんて凄いですわ。


はぁ~ 月日は凄い物ですわね、子供だった理人があんなに逞しくなっているのですわ…しかも、顔つきも変わって凄くカッコよくなっていますわね…地味だと言うかも知れませんが凄い美少年でしてよ、『英雄』『ドラゴンズレイヤー』とまでなった鍛えぬいた体、前の夫のぷにぷに肥満とは全く違いますわね。


ですが、月日は残酷でもありますわね…10代と違って少しお腹が弛んだ気がしますわ…気のせいかお肌の張りもあの頃と違う気がします…ムダ毛は処理しましたが…そう言えば私の体はもう何年も殿方が触れていませんわ…大丈夫でしょうか? まさかカビなんて生えてませんわよね(笑) はぁ~ この体で十代のそれも鍛えぬいた英雄と言われる少年の相手をしなくてはいけないのですわ。


昔なら…言っても仕方ないですわ…私の若い頃はまだ理人様は子供…こうでも無ければ重なる事はありませんでしたわね。


理人様は初めてのようですし…思い出に残る様にしてあげないといけませんわね。


確かに結婚はしていましたが、もう何年もしていませんわね、やり方は大丈夫ですわ…考えていても仕方ありませんわね。


はぁ~行くしかありませんわね。


この服装なら淫らに見えませんし…かと言って地味じゃないですわね。


◆◆◆


トントン…


「理人様…その夜伽に参りましたわ」


俺は緊張しながらドアを開けた。


「どうぞ、入って」


「お邪魔しますわ」


「どうぞ」


見た瞬間からドキっとした。


俺達は十代だ…この世界の成人は14歳。



前の世界の人間が今の俺を見たら、マセガキって呼ぶだろう。


つまり、肉付きが良いだけで、リタだけじゃなくマリアもエルザも前世なら未成年も良い所だ。


だから何となく体に幼い感じがある。


それに対してロザリオは、20代後半…大人の女性だ。


「嫌ですわ…そんなに見られたら…もしかしたら体を見て失望されました、まぁおばさんみたいな歳ですし、仕方ありませんわ」


目が泳いでいて泣きそうな顔をしている。


こういう時は…


「うぐううんっぷはっ、そんな事ないよ、思わず綺麗なんで見惚れた位だ」


この世界は寿命の問題なのか10代後半で行き遅れ扱い…30歳にもなれば『性処理奴隷』としても余程の美人じゃなければ安値になる。


まぁエルフやダークエルフとかでなく人族限定の話だ。


「うんぐううん! 嘘ですわ…私下手したら貴方に母親が居たら貴方より母親に近い歳ですわ」


「そう? 俺はそうは思わないよ…本当に綺麗だ」


「幾らなんでも、その言い過ぎですわ…この歳の女性がううんううっぷはっ、何で言わせて頂けませんの!」


「ううんううっぷはっ、俺にとってロザリオは凄く綺麗で可愛い、だから貶すのは許したくないんだ…ロザリオ本人にでもね」


「そんな事言われたのは初めてかも知れませんわ…私図に乗っちゃうかも知れませんわよ」


「それで良いよ、ロザリオは綺麗だ…本当にそう思うから、それじゃ行こうか?」


俺はロザリオの手をとり、そのまま抱っこした…所轄、お姫様抱っこだ。


「あの…私を抱いて何処に行きますの…ベッドの方向じゃありませんわね」


「一緒にお風呂に入ろうと思って」


「うふふっ、そういう事ですのね、理人様は、雰囲気作りが美味いのですわね…確かに一緒にお風呂に入るのでしたら、時間は長くなりますわね」


俺はロザリオを風呂場でそっと降ろした。


「お背中だったら、私が流しますわ」


「最初は俺がするから、その後で頼むよ」


「えっ…なんで、手にシャボンをつけていますの?」


「それはロザリオにしたい事があるからね」


「えっ….嘘、理人様、そこはしなくて良いですわ…汚いし恥ずかしいですわ、えっえっええええっ、そこは駄目ですわ…ああっ本当に恥ずかしいのですわ…あああっちょっと」


「ロザリオは綺麗で汚い場所なんてないよ」


「そんな、ハァハァそんな所自分でも…ハァハァ駄目ですわ、本当に駄目ですわ…そんな、なんで、ハァハァ うぐううん、体洗っている最中にキスなんてハァハァ…駄目、そこは本当に、そんな…なんで口を近づけてますの…そんな嫌、それは恥ずかしいですわ…いやぁ」


「お嫁さんなんだから気にしないでうん、良いでしょう」


「気にしますわ、ハァハァ、そんな初めてなのに…可笑しいのですわ、童貞なのでしょう…なんでそんなに慣れていますの、はぁはぁ可笑しいですわよ」


「俺はロザリオに、してあげたい事をしているだけだよ…まぁ最後の一線は超えてないだけで、少しは経験はあるけどね」


「そんな、こんなのは違いますわ、私が知っているのと違いますわー――っ」


結局、お風呂場で5回ロザリオを逝かせたら…ロザリオは気を失ってしまった。


俺は体を拭いてあげて、そのままベッドへ運んだ。


「あれっ…理人様私…」


「うん、気を失っていたからベッドへ運んだんだ」


「私、気を失ってしまいましたのね…本当に理人様は凄いですわ、こんなの私は初めてですわ…これが夫婦の営みだとしたら今までのは何だったのでしょう…凄いですわ、心からお慕い申し上げますわ…理人様? あの…そこはああっ、またそんな所、本当に恥ずかしいですわ…うぐっううん」


俺はロザリオにまたキスをした。


ロザリオも俺に舌を絡めてきたが…やはり拙い気がする。



この世界ではかなり淡泊だから慣れてないのか。


「うぐううんっぷはっ…さっきのはただお風呂に入っただけだよ…これからが本番だよ」


「まだ…するんですの?」


「新婚だからね…」


「ああっ、そんな…ハァハァ私ばかり逝かされてハァハァ、もうどうして良いか解りませんわ」


そう言いながら両手を広げて抱きしめてくれるロザリオは凄く綺麗で可愛く思えた。


気が付くと朝方になる迄やり続け…10回ほど逝ったあと、そのままロザリオは眠ってしまった。


『凄く美人だよな』…本当にこの世界の男は勿体ないことしているよな…女性が本当に綺麗に見えるのはこれからなのに。



◆◆◆


なんなんでしょうか? これ…本当に可笑しいですわ。


若くて綺麗でカッコ良い理人様が、あんな事やこんな事…思う度に顔が真っ赤になり火を噴きそうになりますわ。


こんな夫婦の営み…聞いた事ありませんわよ…


夫婦の営みって、ただ抱き着かせてあげて、棒の出し入れだけではありませんの…


理人様のは全くの別物ですわ…


『汚い所はない』とか真顔で言って、あんな事やこんな事…もう私の体で理人様の触れていない所はありませんわ…しかも手だけじゃなく口でですわ…


これが本当の夫婦の営みだと言うなら、今までのは違いますわね。


だって気持ちよくなんてありませんでしたから…


愛が無ければあんな事出来ませんわね。


触られるたび、キスされる度に自分の体が理人様に染まっていくようですわ…


もう私は理人様無しで生きていけない気すらします。


さっきから愛おしそうに私の髪を撫でながら理人様が私の顔を覗き込んできます…


私、もう起きているのですが…このまま寝たふりするしかありませんわね。


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