第48話 デスラとの戦い①

眠らないでも問題はないだけで、眠る事は出来るようだ。


恐らく今の俺には睡眠は嗜好の一つになってしまった気がする。


「所で何しているの?」


気が付くと上半身が脱がされてマリアとエルザに抱き着かれていた。


リタはまだ寝ているようだ。


「昨日途中で寝ちゃったから、続きをしようと思って」


「そうそう、気がついたら寝ちまったから続きをな」


随分、積極的になったもんだ。


「そうか…だけど寝ている時にするのは、まぁ良いや…それじゃ」


「ううん、あ~っ二人ともズルい! 私もちゃんと混ぜてよ、理人お兄ちゃんもそういう事始めるならちゃんと起こしてよー――っ、もうあむっ」


いきなり足を甘噛みされた。


「リタ、俺も今起きたばかりだ…確かに昨日は不完全燃焼だったからしようか?」


「「「うん」」」


こうなるのを見越して朝食も昼食もルームサービスを頼んでいたから問題は無いんだけどね。


◆◆◆


本来は皆、アウトドア派だったのに…気が付くとインドア派になっていた。


凄いなこれ…


流石に前世でも此処迄連続でしまくった記憶は無いな…


あれっ…俺もしかして同棲も経験が無かったのか…


まぁ、今が幸せだから、それで良いな。


結構激しくしていたせいか…三人ははまた寝ている。


お昼までにはまだ時間がある…少し出かけてくるか。


冒険者ギルドに足を運んだ。


「理人様、デスラの眠っている場所が解りました」


「そうですか?それでどこですか?」


思ったより早く見つかったな。


今日はゆっくりするつもりだったが…逃げられると困る…行くしかない。


詳しい場所を聞いた。


俺は勇者パーティ所属なので情報の提供料金は俺ではなく聖教国に請求が行く。


「済まないが子供冒険者に俺のパーティに少し出かけてくるとの伝言を頼む、後は魔獣捕獲用の小型の鉄箱をくれ」


「解りました、すぐに用意します、両方で金貨2枚と銅貨3枚になりますが宜しいでしょうか?」


「ああっ、宜しく頼む」



◆◆◆


死霊の王 デスラ

此奴の厄介なのは『数の暴力』それに尽きる。


1万にも及ぶ死霊を従える死霊の王。


単体では恐らくそこ迄は強くない。


だがデスラを倒すという事は1万の死霊と戦うという事だ。


四天王では単体なら最弱…だが1万との戦闘が避けられない為、それを考えると案外1番強い可能性もある。


だが、此奴には明確な弱点がある…それが死霊ゆえ…昼間は土に戻り眠る事だ。


そこをつく…


俺はデスラが眠っている場所に来た。


早速、掘り出しに掛かった所…すぐに見つかった。


この状態のテスラは動かない、まるで岩の様な状態だ。


だったらこの状態で討伐すれば良いんじゃないか?


そう思うかも知れないが、この状態のデスラは倒せない。


ミスリルの剣でも、聖剣でも傷すらつかない。


この状態のデスラは絶対に倒せない。


夜になれば倒せるが、1万もの死霊がすぐに現れ守られてしまう。


デスラを倒すには『夜に1万もの死霊と戦いながら倒す』それしかない。


湖にでも沈めてしまえば…そう思うが。


この辺りには湖は無いし、沈めても死霊は泳げるらしく意味が無い。


更に死霊はマグマでも死なないらしく火山に放り込んだ勇者が居たらしいがそれでもデスラは死ななかった。


『夜に1万の死霊と共に倒す…それしか方法はない』


俺はデスラを鉄箱に放り込み、ある場所に向かった。



こんな鉄箱、復活したデスラなら簡単に壊すだろう。


だから、早く移動しなくちゃいけない。


数の暴力に立ち向かうのなら、更なる数の暴力を使えば良い。


以前に教皇様を含む王達と話した事がある。


この魔王軍との戦闘の優先性についてだ。


『魔王軍の討伐は全てに優先する』


そう聞いた…だから俺がこれからする事は問題ない。


だが…知られたらきっと、誰もが非難するだろう。


俺のする事は…まるで悪魔だ。


だが、俺は間違わない…あの三人を守るためにはこれしかない。


俺はデスラを担いでジブヤに向かった。



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