第43話 ガイアに奴隷を勧める

朝起きてリビングに行こうとしたら、三人がお茶をしていた。


楽しそうに話していたので邪魔しちゃいけないと思い部屋に戻った。


もう一寝入りするか朝風呂に入るか考えていると通信水晶が光りだした。


これはガイアの方の水晶だ。


何か嫌な予感がしながらも出てみると…


「理人、久しぶりだな、それでちょっと相談があるんだ…」


なんか嫌な予感がするが、話を聞かない訳にいかないな。


「なんの相談だ?」


「いや、あのな、最近ちょっとした事があって」


ガイアの話はこうだ。


教会からの通信水晶が光り、出てみると…余りにお金を使いすぎているから『もう少し抑えてくれ』


そう言われたそうだ…まぁ至極ごもっともな話だな。


「まぁ、教会から言われたなら、しかた無いんじゃないか? 9人も女が居るんだから、ホテル代以外を少し自粛すれば良いんじゃないかな?」


そんなに困る話じゃないと思うが。


「それがさぁ、イザベルとチョチョリーナが居なくなっちまったし令嬢も3人居なくなっちまったから今は4人しか居ないんだよ…それで次を買おうと思ったら、金遣いについて教会から注意が入ったんだ…そこでお前に知恵を借りようと思ったんだ」


知恵を貸すのは別に良いが…なんで5人が居なくなったのか聞きたい。


「それで…なんで5人も居なくなったんだ、しかもイザベルとチョチョリーナが何故居なくなるんだよ」


「それはだな」


ガイアの話では『妊娠薬』という魔法薬を後から来た6人が持っていたとの事だ。


その薬を飲むと暫くの間、毎日が排卵日状態になり妊娠しやすくなる。


但し、妊娠を促進させる影響で胎児の成長が早くなり、数日でお腹が出てくるそうだ。


お腹が出るのって確か4か月から5か月くらいだっけ…男の俺には流石に解らないが、そんな感じだったと思う。


妊娠して一気に4か月目状態になるのか…魔法って何でもありだな。


その結果、無事に妊娠して3名が国元に帰っていった。


そこ迄は解った。


彼女たちは『妊娠』を目的にしているから子供が出来たら帰る…普通の事だ。


だが、問題はチョチョリーナとイザベルだ。


チョチョリーナは迷っていたから解らないがイザベルがガイアの傍から離れるとは思えない。


「話は解った、だが…それで、何故チョチョリーナとイザベルがお前の傍から居なくなるんだよ」


「理人はお子様だから知らないんだな、良いか経験豊富な俺が教えてやる、女って妊娠すると体が汚くなるんだぜ…乳首やあそこは黒くなってグロテスクでなんか胸の触り心地も悪いんだ…さらに言うと締まりも悪くなって気持ちよくねーんだよ」


此奴、何言っているんだ?!


そんなのは当たり前じゃねーか。


「それでどうしたんだ?」


「ああっ、チョチョリーナとイザベルにその事言ったらキレられてよ…三人と一緒に聖教国に行ってしまった」



此奴は…更にクズに育っているな。


普通は金と女が自由に手に入れば、優しい人間になる可能性も高いがガイアは違ったようだ。


そりゃ、聖教国に行くな。


普通に妊娠して男と別れたら経済的な不安で我慢する女性が多い。


だが、今回の場合は違う、相手が勇者だから莫大な一時金が貰える。


そして、育てるにしても手放すにしても、その後のサポートはしっかりとしてくれる。


『ちょっとした金持ち』になって『その後の生活も万全』


我慢する必要は無い。


幾らガブギの最高級娼婦とは言っても娼婦だ。


嫌な思いも沢山してきていただろう。


娼婦の中で恵まれていようが、そこ迄落ちたんだ、絶望だってあった筈だ。


そんな彼女たちが幸せになれるんだ。


『辛くてもいつも笑顔で頑張っていたご褒美だ』


そう考えるとこのシステムも悪くない。


「おい、理人聞いているのか? おい、何で黙っているんだよ!」


「あっ、悪いな、考え事していた」


「おい、お前、俺が困っているのに…なに呑気な事言っているんだ!」


「黙れよ! どうにかしようと思って考えているんだろう! 考えが纏まらなくなる…」


「あっ…すまない」


少しイラッとしたから、かなり横柄な態度をとったが、それで素直に謝るんだから…親友ではあるんだな。


「少し、話はズレるが…バカンスが終わったら俺たちは南に討伐に向かう…だからガイアは北に向かってくれ」


「別に構わないが、それに理由があるのか?」


「北国美人って言ってな寒い国の方が美人が多いんだ」


「そうなのか? だがその前に『買う』と揉めそうだから困っているんだ...なぁ本当に何とか出来ないか」


少しは自分で考えろよな。


「そんなの簡単だろう…買うんだよ…今度は奴隷をな」


「奴隷だと…その方が不味いだろう」


「ガイア、お前は運が良い、俺たちがパーティから抜けた…だから文句言われずに奴隷を買う事が出来るだろう」


「どうしてだ」


「良いか? 戦闘にも使えて『性処理可能奴隷』を買えば良いんだ、エルフは弓の使用にたけているからそう言う奴隷を買うんだ…奴隷に落ちた女騎士、案外剣を使えるダークエルフとかも居るかも知れないぞ…必ず条件をつけて『非処女、性経験あり』可能なら『娼婦経験有り』を指定すれば良いんじゃないか?…魔王との戦闘に『必要な物』の購入は勇者保護法で認められている…大手を振って買えるぞ」


「そうか、そうだよな! 流石だな理人」


「ああっ、まだガブギに居るならリヒャールさんを頼ればどうにかしてくれる、手数料は取られるが安全だ」


「ありがとうな、理人」


「良いって事よ、それじゃ俺はあと3日間程、バカンスを楽しんだら南に向かうからな…」


「ああっ解った」


ガイアは…ガブギから離れられるのかな…あの街は前世の歌舞伎町みたいで居心地が良いからな。


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