第40話 この世界でロリは好まれないし言葉も存在しない。
『お兄ちゃん』か、久しぶりにそう呼ばれた気がする。
これは、少し前に付き合っていた時でも呼ばれていない。
背が低く幼い顔立ちのリタはコンプレックスを抱えていた。
簡単に言えば、胸が小さい、背が低い、顔が幼い…これだ。
この世界に『ロリコン』という言葉は無い。
前の世界なら『ロリータ』という映画がヒットしてそういう思考が発達したが…そもそもその映画が無いんだから、そう言う言葉自体が無い。
更に言うなら都心部は兎も角『村』では嫁として嫌われるタイプが正にリタだ。
農村部では実際の所はそのタイプが働き者と限らないが、体が大きくて胸がでかくて働き者に見える女性が好まれる…前世でいうなら肝っ玉母ちゃんタイプだな。
だから背が低くてチビのリタは『嫁』として人気は無い。
まぁ『賢者』になったから途中からは関係ないが…
俺がガイアとの旅の中で『リタ』を選んだのも、ガイアは村で育ったから、リタの容姿が好きでない…実際に俺が付き合い始めるまでは見向きもせず…マリアとエルザとばかり話していた。
まぁあぶれた者同士がくっついた…そんな所だ。
そんなリタだが…『そんなのは俺には関係ない』
俺の前世の世界は『ロリコン大国』そう言っても過言で無い世界だ。
※理人のいた日本は1970年代80年代の世界観の日本です。
俺も言えないが、大人がアニメでは『魔女っ子』に嵌まりコミケでは、それの薄くてエロい本が高値で売られていて人気のあるサークルの物は即完売する位だ。
そのヒロインは小学3年生~5年生だった。
多分リタが居たら、彼氏にコスプレとかやらされていそうな気がする。
現実世界でもイチゴちゃんと言って15歳未満の女の子を口説いて投稿雑誌に投稿自慢するナンパ師もいた。
そんな世界で生きてきた俺には、リタの容姿は関係ない。
だが…その需要性はこの世界では俺位しか知らない。
だから俺は『妹みたいで可愛い』そういう元気づけをしていた。
そこから…リタはマリアと逆に『妹キャラ』を押し出すようになった。
実際に『お姉ちゃん風邪をこじらした』マリアから結構おやつをせしめていた記憶がある。
しかし、年頃になったからか賢者になったからか…もうそう言う行動は無くなったんだが…
◆◆◆
「理人お兄ちゃん、早く、早く」
「そんなに理人くんを引っ張らないでよ」
「マリアが遅いんだよ…そうだよねお兄ちゃん!」
「そんなに早く引っ張ったら理人くんが転んじゃうじゃない」
「手を離せば、良いんじゃないか?」
「なんで…離す必要ないよねリタ」
「そうだよね、ちゃんと支えているから平気だもん!」
「そうか、なら良いけど転ばないように注意してくれ」
何だか、あの輪の中に入っていけない。
それになんだ…リタの呼ぶ『お兄ちゃん』って。
確かに小さい頃にリタは理人の事をそう呼んでいたが…
そんな呼び方する齢じゃないだろう…
まるで子供に戻ってしまったみたいだ。
「あの…一体なにがあったんだ」
「エルザ、あのな…」
「大丈夫ですよ! エルザも今夜経験すれば、私たちの気持ちが解るわ」
「うん、そうだよ…あんな事やこんな事、経験しちゃったらもう、お兄ちゃんから離れたくなくなっちゃうよ」
「そう…なのか?」
私だって理人を愛している。
既にもう妻だし、旦那様だと思っている。
だが、これは異常に思える。
マリアはもう少しなんというか『聖女』っぽさが無くなった。
まるで、姉といって大人ぶっているが…あれはそう…女の顔だ。
リタにしてもそうだ、妹みたいに振舞っているが、良く理人に体を密着している。
一体、何が変わったんだ。
確かに男女の営みは大切だと私だって思う。
だが、母親から聞いた話や、既に結婚した村の女性から聞いた話では…そこ迄凄い物と思えない。
なんであそこ迄懸想しているんだ…
「うん、うん『愛してる』と囁かれて」
「あんな事やそんな事されたら…もう駄目、愛さずにはいられないわよ…」
「そうか…」
何だこの疎外感は…こんな1人だけ疎外感を味わう位なら『最後なんて選ぶんじゃなかった』
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