第35話 【閑話】 理人
※理人の前世は今の日本でなく1970年代位を想定した架空の日本です。
良く女を親友に寝取られたって騒ぐ奴がこの世界は多いけど…そんな騒ぐ事か?
そんなの寝取られる奴が間抜けなだけだろう?
恋愛と友情は別物でしょう?
少なくとも俺が居た世界じゃそうだったし、俺もそう思う。
まぁ『すげー腹は立つけど』友達辞めるまでいかねー。
そう思う。
大体、俺の憧れは フェラーリのたかさんやBNWのおおかみさんだったから、寝取られる奴、取り返せない奴が悪い。
それが当たり前だった。
大体この世界は凄く固いんだよな。
俺が居た世界じゃ『良い女は殆ど非処女』だ。
可愛い女が未経験な訳ないよな。
大体、女子高校生にもなって処女だと「なにそれ..きもーい」とか「蜘蛛の巣はってんじゃん」そう馬鹿にされる世界だった。
大学まで珍しく純情な女の子が居ても…大体、サークルとかで先輩に食われて、黒髪が茶髪に代わって、ミニスカートでパンツ見せながら男に色目使うような女に代わる。
良い女の多くは六本木や原宿のディスコに居るけど、ボディコン着てパンチラいや、パンモロ状態だぜ…
良い女は男をとっかえひっかえするから、男経験なんて二桁はあるのが当たり前だった。
そういう女に群がってナンパする…それが俺の前世だった。
中学まで野球少年だった俺は、高校に入ると女にモテたくてバイクの免許をとりナンパを始めた…夏は湘南、日常は原宿、渋谷でいつも声を掛けていた。
「へぃ、彼女お茶しない」とナンパしていた訳だ。
まぁ高校生でバイクじゃ成功率は低いけど、偶には成功してホテルまでいったりするし、付き合えたりもするが、大体最後は振られる事が多い。中には「これだからガキは嫌いなのよ」と心をえぐっていく女もいるんだ。
そんなのでめげちゃナンパなんて出来ない。
勿論、俺がナンパで引っかける女も例外はなく…ほぼ処女じゃない。
大学生に成るころには、バイクは中古のソアラになり、女を口説く為にDCブランドのスーツを着てプレーントウの靴を履くようになった。
時代は少し変わって、女を口説くのにはまめさやお金が必要になった。
『アッシー君』『メッシ―君』『貢ぐくん』この三人を持つのが良い女の証しなんて言われていた可笑しな時代に変わっていった。
まぁ俺も一通り経験はしたよ。
本当のリア充じゃ無ければ、そうでもしないと良い女を物にできない嫌な時代だ。
有名なミュージシャンが、変な歌を歌ったから…そんなデートが流行り…スキー代からホテル代も全部持つことになったのは苦い思い出だ。
まぁやれたが…その為の出費が30万じゃ割にあわないだろう。
今思えば当時は男も女も相手をとっかえ、ひっかえしていたから…友達同士、気がついたら『穴兄弟』そんな事すらよくあった。
綺麗で派手な女の子なら、中学で処女を卒業…高校では肌を焼いて茶髪になってミニスカにルーズソックスでパンツ丸見えで街を歩く、コギャルになる奴が多い。
勿論身持ちの固い子もいるけど、イケメンならナンパしてホテルへGO状態だ。
多少不細工な奴や おっさんは ホ別3万円でGOだ。
※ ホテル代別で3万円。
田舎なんかだとパチンコ屋とカラオケBOX、そしてラブホ位しかないから、より都会より凄かった。
そんな世界で生きてきたんだ…貞操観念なんて俺は気にしない。
過去は過去…今が重要だ。
女の過去なんて気にしたらキリがない…
俺だって三桁は経験したから文句なんて言えないな。
そんな俺がガイアに略奪されたからって怒るわけが無い。
唯一許せないのは俺を追放しようとした…それだけだ。
話は戻るが
そんな生活をしていた俺が、ある時から気になる奴らが出来た。
地味な男に地味な女。
いつもジーンズに草臥れたシャツを着ていた。
キャンパスでもどこでも幸せそうにイチャついていた。
車も中古の軽自動車…
俺は何時もそいつらを『見下していた』
ダサい。
ああはなりたくない。
なんであんな安物着てキャンパスに来るんだ。
みっともねーな。
俺はテニス部の女もチア部の女も食った。
俺の横に居る女を見ろよレベルがちげーだろう。
だが…何故かむなしい。
ある時、俺の中で悪魔が囁く。
『あれの方が本物のリア充なんじゃないか』
お前がDCブランド辞めて車を手放したら、お前の周りの女は何人、傍に居てくれるのか?
居ないだろう?
『本当にお前を愛してくれる人間なんて居ない』
その悪魔の囁きは次第に俺の頭を支配していった。
気がついたら…毎日が楽しく無くなっていった。
ナンパをすれば幾らでも女を抱ける。
何故だ…車があるから、カッコ良いから…
お洒落なお店を知っているから…
『それは本物じゃないだろう』
どうしたら…『本物』が手に入る。
DCブランドを辞めた…
足が無いと困るからソアラはそのまま。
まぁ間接照明と大型TVの部屋もそのままだ。
気になった二人と話をした…そうしたら…
『幼馴染』だった。
仲良くなればなるほど…『二人だけの世界』を持っている事を知った。
今思えば、小さい頃の俺には『親友』『幼馴染』はいた。
だが、俺は『ナンパで女を手に入れる事』に夢中になり、斬り捨てていた。
大切な物を俺は知らないうちに斬り捨てていたんだ。
その『幼馴染』を大切に育てあげたのが此奴らなんだ。
もう『手遅れ』だ。
前世の記憶は今では虫食いだ。
何故死んだかも今じゃ思い出せない。
だが社会人になってもきっと俺は本当の『愛』をきっと手に入れられなかったんだろう。
だが…覚えている。
容姿なんて関係ない。
沢山の思い出を共有して沢山の時間を共に過ごした…
『幼馴染』こそがきっと最高の女なのだと。
今度こそは『間違えない』
次回から第二部がスタートします。
第二部は三人との関係が中心になります。
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