第14話 三者三様
すべて上手くいったな。
本当に危なかった、ジザベル達から話を聞かなかったから下手したら俺が悪者になる所だった。
『まさかリタが理人から俺に乗り換えた事』がそこまでの噂になっているなんて知らなかった。
本当は俺から積極的に口説いたんだが…そこはばれていない。
俺の勇者としての評判が落ちると不味いから、悪いがリタにはそのまま悪役で居て貰おう。
俺は今、目が覚めた。
4人の中で要らないと思っていた理人こそが俺にとって必要な人間だった。
本当に要らなかったのが本当は三人だった。
理人は俺に言った『俺とあいつ等は釣り合わない』と。
最初は少し警戒したが違った。
彼奴らは確かに可愛くて綺麗かもしれないが…あくまで少しはだ。
本物の美人を知ってしまったら、駄目だ。
『何て無駄な時間を過ごしてしまったのか』それしか思わなくなった。
マリアもエルザもリタも…戦うという一点を除いてしまえば、なんの価値も無い事に気が付いたよ。
料理や洗濯、家事は全部理人がやっている。
戦う使命があるから、やる事は出来ない。
今までは可愛いいと思っていたから許せていたが『それは嘘だった』
彼奴ら、女として終わっているじゃないか。
本当に綺麗な女性を見てしまったら…大した顔やスタイルじゃない。
一番ましなマリアだって平凡だし…
エルザなんてふくよかさなんて全くないな、あんな筋肉女じゃ今となったら抱く気にならない。
リタは背が低くガキみたいだ。
ただでさえ大した女じゃないに『やれない』んだぜ 「魔王との戦闘」が無いなら要らねーよ。
まぁ、今となっては、あの程度の女に無駄打ちしたくねーな。
その分、ジザベル達みたいな女に使った方がいいに決まっている。
『本当に無駄な時間を過ごした』
理人が居てくれて助かったわ。
彼奴が居なかったら、未だにあんなブスのご機嫌を取っていたのかと思えば…本当にぞっとするわ。
まぁ、魔王討伐迄は一緒に居るのはうざったいが我慢しかねーな。
理人の女になったんだから理人が上手くやるだろう。
しかし、理人は…あんなのの何処が良いのかね…まぁそのおかげで助かったけどよ…
俺にとってはもう使える駒にしか思えない要らない女を引き取ってくれて美女二人の身請け金をくれるんだ…
本当の親友だな。
これでリタの件もどうにかなるだろう。
もう誰もリタを略奪したなんて思わないだろう。
寧ろ、親友の為に幼馴染を全て譲った男として周りには『良い奴』に映るんじゃないか。
我ながら『良い奴』に思えるな
うん、要らない者を受け渡して、相手に満足までさせて、自分が本当に欲しい美女が手に入り、飛び火も防ぐ、一石四鳥じゃねーの。
案外俺は勇者だけじゃなく商人としても優秀なのかも知れないな。
◆◆◆
全く、冗談みたいな話だ。
女を知ってしまったせいか、麻薬か媚薬を盛られたせいなのか…少し、いやかなり可笑しくなっているな。
まさか、金貨1200枚で幼馴染を売り飛ばすとは思わなかった。
この世界では文字が書ける人間は6割弱。
ガイアは昔から勉強は嫌いだった。
四職だから恥をかかないように最低限の知識は教わった筈だ。
マリアやリタ、エルザはマナーこそ苦手だが、本を読んだり文字を書くことは出来る。
リタに至っては賢者の補正があるのか学者みたいに思える程、頭が良い。
5人の中で文字が書けないのはガイアだけ…いかに彼奴が勉強が嫌いだったかが良くわかると思う。
だが、それでもガイアはリーダーだ…パーティの事になればちゃんとした判断が下せていた。
少なくとも、昔のガイアなら、こんな事はしない。
『下賜』とは身分の高い者が身分の低い者に物を与える事を言う。
この世界では王が、功績のあった者に褒美を与える為に使われる事が多い言葉だ。
拝領妻とは、多分過去に異世界人が持ち込んだ可能性が高いが、身分の高い者が妻としている人物を部下に与える事を言う。
つまり…自分の妻を部下に与えるという意味だ。
実際に大昔の魔王討伐の功績で勇者が『王妃』を望んだ為に、約束だからと王が王妃を差し出した事があると聞いた。
今回の場合は、マリア、エルザ、リタはガイアと同じ指輪をしていた事から、婚約もしくは事実婚の状態にあったととれる。
つまり悪い言い方で言うなら『婚約者もしくは婚姻関係にある三人を俺の妻にと下賜した事になる』
勇者は、あくまで形式的にだが『この世界の人間で女神の次に偉い』とされているから行動的には問題が無い。
俺も一応は勇者パーティに所属しているから多数婚は認められているから受け入れるのに問題はない。
何が言いたいのかと言えば『拝領妻』なので『妻』なのだ。
あの書類にガイアと俺がサインした瞬間から、既にマリアもエルザもリタも俺の『妻』…結婚してしまった事になるんだぜ。
『本当にそうなのか?』と言われれば『本当にそうだ』としか言えない。
だって教会で一番偉いのは『女神の使いである勇者』だ、しつこく言うが『勇者』だ、その人間がサインした以上はこの結婚は有効で恐らく、王や教皇ですらもうどうにも出来ない。
公の書類にしてしまった以上…これは無効だと言えば勇者であるガイアの顔に泥を塗る事になるし、もしこの書類を無効だと言うなら『勇者であるガイアが書いた公文書が守られなかった』そんな汚点になるから守らない訳には絶対にいかないな。
多分、今頃…すべての書類に正式に俺の妻として三人が登録されている筈だ。
まさか、此処迄簡単に話が進んでしまうとは思わなかった。
俺から仕掛けたとはいえ、大丈夫なのか。
後は目の前のこの『でかぶつ』を倒すだけだ。
聞いてねーよ…ギルドの話では小型の筈だった。
それでも地竜である以上金貨2000枚は下らない。
それでも象2頭よりでかいのに…此奴はその数倍ある…大きさによって価格は変わるから、この大きさなら金貨1万枚は下らねー。
最悪、俺は死ぬかもしれない。
最後の最後にこれかよ
◆◆◆
「本当に美味くいったね」
「うん、本当に…これで多分、ガイア様、身請けのお金を必死になって集めるんじゃないかな?」
「そうあって欲しいわ、青い空の元自由に歩きたいもの、流石にあちこち売り飛ばされながら600年も娼婦をやり続けるのも飽きたわ」
「そうよね、幾ら私達が、本当はダークエルフとインキュバスのハーフだから、SEXが大好きでももう疲れたよね、それにどちらも姿形が変わらない種族だから人間には解らないけど、私達老婆だもんね」
「まぁね、もしエルフやダークエルフの男性がいたら『加齢臭がする』そう言われても可笑しくないわ」
「だよね…だけど人間は短命だから丁度良いんじゃない」
「そうねダークエルフの平均寿命からして数十年の命だけど、人間寿命とならどうにか釣り合うんじゃない」
「娼婦になってから600年、村で300年は過ごしていたから900年だから大体だけど900歳の花嫁か…良いのかな、私多分抱かれた数は10万の男じゃきかないと思うな」
「良いじゃない、ちゃんと汚れた女と申告したもん…それでも良いって言うんだからさぁ」
「そうよね」
◆◆◆
「勇者のガイア様から指名が入ったぞ…1週間貸し切りだそうだ『身請け』も本決まりだ、お金の目安がたったから1週間後には自由だ」
「やったわ」
「うん、これはうんとサービスしないと」
「そうね、ダークエルフ秘伝の麻薬に、インキュバス、サキュバス特性の催淫薬に媚薬…うんと気持ちよくして、もう人間の女なんかじゃ相手出来なくしてあげなきゃ…きゃははははっ」
「うんうん…良いね」
折角身請けしてくれるんだもん、思いっきりがんばんなくちゃね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます