④ VSアシダカグモ

④ VSアシダカグモ



 子供はとても残酷である。

 俺も子供の頃はクモ見たら殺していた。


 とくに『アシダカグモ』。

 家蜘蛛の中では最大級にデカく、脚を含めると10~13センチにもなる。

 見た目はまるで大人の手が指をワサワサさせて這ってくる様で、とても恐怖い。


 彼らは巣を作らず、家の中を徘徊してゴキブリや蛾などの害虫を捕食して退治してくれる、とても良い子ちゃんたちだ。見た目はグロいが。

 だから決して殺してはいけないのだが、見た目がアレなので、子供の頃はハエ叩きでバチン! と殺していたのだ。



 ある日。

 子供の俺はアイツに出会ってしまった。


 今まで見た中でも一番大きい。

 コイツはヤバい! 殺さなきゃ!


 アシダカグモは決して人を襲わないし、万が一噛まれても毒を持っていないので、本当に無害な良い子ちゃんだ。

 だからその場から退いてもらえば良いだけで、全く殺す必要は無い。

 しかし子供は『殺らなきゃ殺られる』。本気で思っていた。


 ダッシュでハエ叩きを取りに台所に走った!


 ヤツめ! まだあそこに居るな。 

 ようし、そこを動くなよ。

 そぉーっと、そぉーっと。

 ハエ叩きを構えてゆっくりと近づいていく。


 射程内にクモを捕らえた。


 ハエ叩きは一気に振り下ろされた。


 バチン!!!


 小気味の良い音を立ててハエ叩きはヤツを殺した。


 その刹那、殺されたクモ腹の下から、放射線状に数百ものコグモが湧き出てきた。

 どわぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!

 そんな効果音が集中線付きで視界に書かれるくらいな勢いで、360℃全方位に子供のクモの群れが地面を塗りつぶしてゆく。

 当然俺の方にも向かってきていて、直ぐにでも足に子供たちが到達しそうだ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 子供の俺はその恐怖に耐えられず、ハエ叩きを投げ捨て、走って逃げ出した。


 それ以来クモは殺さなくなった。

 後に『家蜘蛛は殺してはいけない』と言うことと、『クモの子を散らすように』という言葉があると知った。




 カンカンカンカァン

 WINNER アシダカグモ!




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


〈あとがき〉


 


 ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。


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 みなさまの暖かい応援をお待ちしております。


 応援して頂けますと頑張れます。



 応援してくださいました方、さらに重ねて御礼申し上げあげます。


 誠にありがとうございます。


 感謝しております。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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