VSシリーズ (サクッと読めます。1話1000文字前後です)

じょえ

① VS オニノゲシ 〜『オニノゲシ』はお庭の侵略者〜

① VS オニノゲシ  

~『オニノゲシ』はお庭の侵略者~


著: 初業務 JOE



 俺はオニノゲシの存在を許さない!

 憎たらしい。根絶やしにしてやる!



 俺の住んでいる家は、田舎だからお庭がある。

 お庭には直ぐに草が生える。


 すぐ近くに山があって、一年を通して埃やら砂やら、目に見えない程の小さな雑草の種やらが降り注いでいるので、お庭は雑草ワンダーランドなのだ。


 最初は余り気にしていなかった。


 冬の終わり頃、3月初旬に引っ越しが終わり春が来て、庭の植物たちは一気に活気づいた。


 その中に『オニノゲシ』、君が居た。



 キク科ハチジョウナ属オニノゲシ。

 ヨーロッパ原産で、日本には明治時代に入ってきた帰化植物である。

 極端に大きく育つので、『オニ』の名前を冠する。



 オニノゲシ。

 ソレはたんぽぽににている。


 黄色い花がやがて綿毛っぽく成り、綿毛が開いてフワフワの種子を広げた所を、ちぎってフッと息を吹き、パーッと飛んでいく種を見て、『頑張れよー』なんて思っていた。


『たんぽぽかわいいなー』本気で思っていた。


 当時は『オニノゲシ』を『たんぽぽ』の種類だと思っていたのだ。

 実際にはキク科という点では同じだが、ハチジョウナ属だ。

 何だよハチジョウナって? どんな植物を言うんだよ?

 タンポポ属ですらないのかよ!


 今は憎らしくて仕方が無い。




 ヤツらはデカい!


 普通に生えているオニノゲシでも高さ60センチ前後に成長し、ゴツゴツした茎はタピオカミルクティーに刺さっているストロー の様に太く、葉は大きくてトゲトゲしていて当たると痛い。

 オニの名に相応しい、醜悪な出で立ちだ。


 兎に角、デカくて目立つし、見た目が悪い。


 ウチは田舎なので、隣近所が離れている。

 庭には西から東に常に風が吹く。

 だから庭の中で、西から東にオニノゲシが数を増している。

 ウチのお庭はヤツらに侵略されているのだ。


 不思議な事に、家の東側と北側は植物が良く育つ。

 風向きの具合か日当たりの具合か、様々な植物が倍くらいに育つのだ。

 オニノゲシに至っては150センチ前後にまで育っている。

 っておい!! デカすぎだろ!



 コイツらの茎は太く、中が空洞で千切れ易いのだが、ソレがコイツらの特殊能力だ。

 俺はコイツらの存在自体を許したくないので、根っこから抜き去りたいのだが、直ぐに千切れる。

 つまり根っこは地中に残り、何時でも再生できるのだ!


 更にこの根っこが厄介この上無いヤツで、地面に敷いてある防草シートを突き破って地中に根を張る。

 しかもぶっとくて頑強で、長大な根っこだ。


 『生きる』事に物凄い執着を持っているのだ。


 そして・・・


 そしてヤツは、最強スキル『成長促進』を持っている!!


「ヤツらが種を飛ばす前に、茎を千切って倒しておけば良いのでは?」


 我ながらナイスアイデア!


 早速実行した。


 14時頃から小一時間、お庭のオニノゲシを千切って回った。


「ふっふっふ、どうだ? コレで貴様らは子孫を残せまい」


 心の中の無慈悲な大魔王が、胴体を千切られて横たわっているオニノゲシを見下ろしながら言った。


 悠々とリビングに戻り、勝利の紅茶を飲んだ。


 16時頃、ふと気になって、お庭を見に行った。


 そこには驚愕の事態が展開していた。


 ヤツらは自身に不測の事態が生じたとき、最強スキル『成長促進』を発動させる事ができ、蕾だったはずなのに、あっという間に花を咲かせて種に成り、風に乗って飛んで行くのだ!


 なんて! なんて憎たらしいヤツらなんだ!


 アイツらはまんまと子孫を、俺のお庭に撒き散らしやがった!



 それからは除草剤で枯らしてから、フワフワで飛ぶばっかりになっているアイツらを、極力種を飛ばさないように引き抜き、そのまま自治体専用のゴミ袋に突っ込む。


「クックック。コレならば貴様がどんなに種を飛ばそうとも、何処にも行けないであろう。そのまま焼却炉で焼かれてしまうが良い。ハッハッハ」


 無慈悲な大魔王はジェノサイド作戦を実行した。


 しかし驚くべき事に、しぶといオニノゲシ軍団は、死してなお激しい抵抗をして見せたのだ。


 オニノゲシはデカいので、30リッターのビニール製ゴミ袋に入れる為には幾重にも折り曲げなければならない。


 枯れて固くなったオニノゲシをビニール製のゴミ袋に入れる作業は、とても困難を極めた。

 しかしその程度の抵抗は想定済みなので、先ず種を飛ばしても良い様に、種側から袋に入れている。

「ふっ、甘いな」

 最後の抵抗として、ヤツらは無数の種を吐き出したが、全て袋の中だ。


「ざまぁみろ! コレで貴様ら一族郎党、地獄の業火に焼き尽くされるのだ!」

 大魔王は勝ち誇った。


 ところがだ!


 ヤツらは硬くなっているので、たくさん詰め込んだら呆気なくビニールを切り裂き、底に溜まった種をドバっと吐き出したのだ!


 クソがァァァァァァァ!



カンカンカンカァン!

WINNER オニノゲシ!





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


〈あとがき〉


 


 ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。


 宜しければ、♡で応援。


 ★★★で応援をよろしくお願いいたします。


 みなさまの暖かい応援をお待ちしております。


 応援して頂けますと頑張れます。



 応援してくださいました方、さらに重ねて御礼申し上げあげます。


 誠にありがとうございます。


 感謝しております。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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