第61話・家族自慢
僕のいない防音室の中、みっちーママによる、里奈さんへの執行が開始された。
『こんばんわー! みんな今日もお疲れ様! みんなえらいえらい』
挨拶はいつもどおり、雰囲気も何も変わらない。
里奈@ギャル:ママー!
だから、里奈さんは何も気づいていなかった。
僕を含めた、視聴者たちの挨拶が終わると、ママは言った。
『さっきリン君がね、里奈ちゃんが教えてくれたアモブロ見てたんだ。そしたら、コメントが荒れてたの……』
里奈@ギャル:え? 本当だ……。私、リン君にひどいことしちゃった……ごめんなさい……
デデデ:里奈ってやらかしキャラ?
銀:どんまい、きっとリン君あんまり怒ってないって。
ダン・ガン:そもそも、リン君が怒ってるの想像できない。
剣崎:俺は想像できるぞ! ほっぺた膨らませて顔真っ赤にしてるのが!
メシマズ:なにそれかわいい
秋葉リン:恥ずかしいこと言わないでよー!
銀さんの言うとおり、僕は別に怒ってない。むしろ、僕が怒ってることを想像してかわいいとか言い出した人に怒ってる。これには、需要に対する供給として怒ってる部分もあるけど……。
だって、多少の炎上くらい僕だってVTuberだから覚悟してる。それに、僕が見た頃には鎮火済だった。それに、そもそも燃えてるというほどじゃなかった。
『さて、じゃあ今日は秋葉家のファンの人たちについて触れていくね! まず、ママのファン。癒されたい人が多いから、一般的なVTuberファンと似た傾向を持ってるね!』
そう、ママのファンは結構ヲタクな人も多い。でも、ママはあまりヲタクじゃないから、非ヲタなファンの人も多い。結局半々ぐらいだ。それなのに、ヲタクファン率は秋葉家トップだ。
里奈@ギャル:ぶっちゃけ、アタシヲタでギャルだし
銀:意外と俺はママ以外ではヲタじゃなかったりする
デデデ:ねらーはヲタだよな
ダン・ガン:非ヲタっすねぇ
剣崎:ママのファンになってヲタになった
メシマズ:多分非ヲタ
そういえば、僕ってどっちだろう。元祖ママ枠ファンのヲタク率は綺麗に半分くらいで、僕がどっちに属しているかで優勢劣勢が決まってしまいそうだ。
『あ、でも最近はRyu君枠からファンが流れてきてくれたから、一般的じゃなくなってきちゃったね!』
ベト弁:ぶっちゃけ、音楽家部隊よな?
初bread:音楽ヲタ!
わー!ぐわー!?:俺なんてオペラヲタクだぞ?
チャイが好きィ!:バンドヲタク!
Ryu:そもそも俺が作曲ヲタじゃね?
バッバ:確かに!
そんな風に、Ryuさんの枠の人たちも、自らがヲタクだと言い放った。
『もう! それは、一般的にはヲタじゃないでしょ? でも、趣味がある人ってみんなヲタクって言えちゃうんだけどねー! Ryu君の枠って、VTuberファンらしい人って少ないんだ。みんな、音楽のプロフェッショナル! さらにはRyu君もメインの収益は今は作曲だからねぇ』
Ryu:ばらすなよおふくろ! まぁ、俺はそもそも作った音楽の宣伝をしたくてVになったからなぁ。
銀:マジか!?
里奈@ギャル:あー、Vって流行ってるもんねー!
初bread:ライブで曲作ってくれるあの感じがたまらない!
ベト弁:クセになってんだ、譜面が生まれる瞬間を見るのが
Ryuさんは話してくれた。大きすぎる胸がコンプレックスなのだと。それで人が怖くて、でも作った曲を聞いて欲しかった。だから胸のない男を、強いヤンキーなキャラクターを選んだと。
『次、定君! 定君のファンは劇が好きな人と、ケルトが好きな人! これも、Vファンっぽさが少ないよね!』
ベト弁:ほえーあっちも音楽隊だと思ってた……。
バッバ:てっきり、ジャンル違いの同士とばかり
銀:劇が好きってことは、劇団抱えてたりして
『抱えてるよ!』
銀:え?
デデデ:え?
ベト弁:え?
初bread:え?
秋葉リン:え?
僕結構定国さんと関わったつもりだったのに、全然知らなかった。海賊楽団と海賊劇団まであるんだ……。定国さんはすごい。
『で、最近秋葉家に仲間入りしたリン君! リン君は、海外勢が圧倒的に多いんだよね! 秋葉家最大の新人! 世界のリン君! 正直、海外の人は一般の人が多いんじゃないかな? 歌しか聞いてないみたいだし』
そう、僕のファンはコメントをしてくれる人より、聞いてるだけの人が多い。放送してても、コメントに対して視聴者数が圧倒的に多いのだ。歌だけを聞きに来る日本語のわからない外国人さんだと、僕は思っている。
歌を聞くことに、境はない。趣味だって、人それぞれだ。多分僕のファンは、バラエティに富んでいる。そもそもシモンさんをヲタクだて言ったらイギリスの人に怒られる気がする。
銀:国際派リン君!
お塩:ギタリストも結構いると思う。
バッバ:ヴァイオリニストもな!
初bread:てか、多分、リンちゃんのファンも音楽隊作れると思う
ベト弁:問題は言語よなぁ……
『うん、それで、ママが言いたいのはね。ブログの人、秋葉家のファンはオタクは少ないし、オタクな子もオタクな子ですごい子達なんだぞ! それが言いたくてこんな話した!』
銀:ママにすごいって言われた!
デデデ:お前はすごいだろうが! モデルのくせに!
里奈@ギャル:どうしよう……私、すごい人じゃない……
初bread:安心しろってどうせどっかに才能あるから
バッバ:秋葉家って異能集団よな……
『秋葉家のVTuberたちはみんな、すごい才能があるんだよ! というわけで、どうせだから秋葉家の全VTuberを振り返ってみよう!』
この日のママの放送は、ある意味とってもママらしかった。いや、母親らしいというべきだろうか。それは、家族自慢によく似ていたのだから……。
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