第47話・KidsMonMo

 二日後……。


 今日はKidsMonMoの発売から一夜明けてだ。どうせKidsMonMoで僕の外見はみんなに知れ渡る。だから、満さんのすすめで僕は顔出し配信をすることにした。


 昨日は定国さんから、新曲のデータをもらって、今はその練習中。またしっかり仕上げて、最高の歌を届けたい。


「お兄さん、お姉さん! こんにちは! 今日は……もうわかるよね!?」


 コメントは既に嵐になっている。


銀:リン君が二人いる!?

デデデ:中の人がモデルにソックリな件!

里奈@ギャル:美少女っぷりがやばたにえん!

ダン・ガン:傾世の美少女ktkr!

Mike:スーパーチャット10000円:リンちゃんはNINJA?

Alen:スーパーチャット10000円:3D分身の術だと!?


 僕とオフで会ったことのない人からはそんな反応で、逆に会ったことがある人もいる。


お塩:いやぁ完璧だよな……美少女で歌も上手いって!

Ryu:やっぱなぁ、可愛いよなぁ……

チャイが好きィ!:バンドぶりのリンちゃん!


 そんな感じだ。


 あったことがある人のほうは、僕は男だって言っても全然信じてくれない人たちがで。逆に会ったことのない人たちは、一応男として扱ってくれてる人が多いから、ちょっと変だ。


「みんな、KidsMonMoは買ってくれた?」


 これが、僕の今日の本題。KidsMonMoの販促だ。


銀:恥ずかしかったけど、買ったぜ! クソ可愛かった!

デデデ:買ったさ! カワイイの暴力だった!

里奈@ギャル:スーパーチャット50000円:その節は誠に申し訳ありませんでしたっ! ギャルやめてゴスロリ着ようか本気で今悩んでるところ……。

Alen:スーパーチャット1000円:約束通りダースで入手した!

Mike:スーパーチャット1000円:梱包材はもう送った!

初bread:娘がリンちゃんのファンになったから、チャンネルに誘導しといた

ベト弁:俺の娘もリンちゃんのファンになったよ!

チャイが好きィ!:モデルとしてのリンちゃんのファンにもなった


 チャットは好評の嵐だった。それと、日本語の話せる海外の人たちはMikeさんに嫉妬していた。


「里奈お姉さん、罰としてスパチャ禁止一ヶ月! みんな買ってくれてありがとう! 販促いらなかったみたいだね!」


 とりあえず里奈さんは反省で上限を投げすぎてるから、許してるよの意味も込めてスパチャを禁止した。


 僕はこんなにみんながかってくれるとは思ってなかったんだ。だって、僕の外見なんて知らない人が多いから。それに、歌声のイメージを崩したくない人だっているかもしれない。

 

里奈@ギャル:そんなー!?

銀:俺たちが買わないなんてありえないだろ?

デデデ:当たり前だよなぁ?

Alen:スーパーチャット1000円:買う約束してたからね!

Mike:スーパーチャット1000円:早く見たくて夜も眠れない!

初bread:俺達は見た目知ってたから余計欲しかったよな?

ベト弁:だな。あんな可愛いし

チャイが好きィ!:classicbandの紅一点!

わー!ぐわー!?:まだ買えてない(´;ω;`)


「だから、僕男だって!」


 本当に、僕の枠の音楽家勢は僕が男だって信じてくれない。


初bread:こんな可愛い子が男の子のはずがない!

ベト弁:上に同じく

お塩:上に同じく

チャイが好きィ!:上に同じく

里奈@ギャル:ママもKidsMonMo見たの?

みっちーママ:見た……尊死した……

銀:わぁいた! しかもクレイオーに魂回収されちゃう!


「ママとは一緒に見たよ! 撮影も一緒だったけどね! ところでクレイオーって?」


銀:死神系VTuberでラッパーだよ


 僕の放送枠はすごく緩い。ほかのVTuberの名前を出しても別に怒られない。だって、結局僕は主役になりたければ歌えばいいだけだ。


「へー、ちょっと見てみるね!」


 僕はそのクレイオーさんの歌ってみた動画を再生する。すると、すごくかっこいい大人の女性の声で、歌もとっても上手だった。特にラップがかっこいい。


デデデ:ママもこのくらい歌えればなぁ

里奈@ギャル:歌ってみたでもお母さんと一緒ができたよね?

みっちーママ:音感が欲しいです!


「みんな、ママをいじめないで!」

 満さんは歌なんて下手くそでも、すごく魅力的なんだ。


銀:てぇてぇ

デデデ:尊死……

お塩:クレイオー大忙しだな……

チャイが好きィ!:でもさ、リンちゃんと歌唱力でつり合うひといるかなぁ?

ベト弁:多分いない

わー!ぐわー!?:オペラならなんとかついていくことはできるかも俺

初bread:さすが歌劇王


「でも、デュエット曲はいつかやってみたいよね!」


 だって、VTuber業界では結構デュエットは多いのだ。だから、ちょっと羨ましい。


みっちーママ:ちょっと歌修行してくる!

デデデ:やめとこ? ママの音痴筋金入りだよ?


 残念ながら、僕もそう思う。流石に二音外すのはまだ大丈夫。ピッチが二つずれてるだけなら、上手くなる余地はあると思う。でも、ママは上に下にとずれるのだ。


 歌唱力はあるんだけど、音感がないのだ。高いところで本来の音より二つ高い音を出しちゃったり、低いところは二つ低い音だ。歌唱力の持ち腐れとはまさにこのことだと思う。


「そんなわけで、秋葉リンは夏マケのあとデュエット相手を探してみます!」


 こうして、ふわっとだけど活動方針が決まったのであった。

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