黒板消しのはなちゃん
夜人(らいと)
第1話
いつも授業が終われば、黒板消しでチョークの字を消す。
名前ははなちゃん。
はなちゃんは黒板を綺麗にする。
そのため彼女の制服は白くすすけていた。。
普通の制服の上着は黒なのに、彼女は肩と胸、背中が白い。
「汚いなあ。こっちによるな」
「ばいきんがうつる」
そう言われて、避けられてもはなちゃんは変わらず黒板を綺麗にしていた。
ある時、はなちゃんは風邪で学校を休んでしまった。
「はなちゃんは雑巾みたいな人。自分は汚れても他人のことは綺麗にする。ああいう子は誰からも大切にされないけど、優しいみんなははなちゃんを大切にしましょうね」
汚れた黒板の前で先生はそう言っていた。
だれも、はいとは言わなかった。
はなちゃんは元気に今日も黒板消しでチョークの字を消している。
大人になってから、先生と再会した時はなちゃんは言った。
「あなたの教育は間違っています。私のことを雑巾とおっしゃっていましたがあなたの頭の中はグズグズのスポンジが入ってます。上から下、右から左に水が垂れて何も残らない。あなたの言葉は所詮は子供たちには届かない。教師のきょうを狂うに変えたらいかがでしょうか?」
先生はうつむき、唇を噛み締める。
はなちゃんの背中に一筋の光が降り注いで、白いブラウスに反射し、翼が生えたように見えた。
はなちゃんは前を向いて歩き出した。
黒板消しのはなちゃん 夜人(らいと) @Leica_camera
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