第5話
きらきらふわふわ、そんな何かが僕の目の前に現れる。頭のないその生き物は、手招きをしてくる。
そうだ、僕は事故に遭って──。
手招きは続く、また1人(匹?)、2人とその生き物は増え、遂には僕の周りを取り囲んだ。
1限目空にいた生き物たちだ──。僕はハッとする。これは夢のはずだ。こんなものが現実にいるわけないのだから。じゃあ、今日はまだ終わっていなくてまだ昨日からの眠りの中にいる?おかしいことが沢山あった日だ。やけに眠い、さらに変な生き物を見る、事故に遭う、そんなことが──。
これが夢なら早く覚めてほしい。こういうときはどうすればいいんだっけ、そうだ、痛みがなければ夢じゃないとか言うよな。と僕は頬をつねろうとした。しかし。
自分の顔がない──。腕はある、なぜか目も見えている、なのに顔を触ろうとしても手が空振りする。恐る恐る自分の首の辺りに触れると、そこは肩から地続きの肉があり、首から上がなかった。
ならばと思い、自分の左手の甲を右手でつねった。すると、しっかりと痛みがあった。僕は混乱し、早く覚めてくれ、この夢から抜け出したい、と考えた。周りの生き物たちの手招きは続く。
突然、どこからともなく声が聞こえてきた。
「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹……」
周りの生き物たちは僕からサッと離れ、それぞれが何か作業をし始める。地面から粘土の様なものをとり、捏ね、夜空に飛ばしている。
僕は呆気に取られ、しかし、自分も同じことをしなければならないような気がして、見様見真似で地面の土を取る。とりあえず星形にしてみて、手のひらにのせる。粘土は勝手に空へと飛んでいった。
それを繰り返しているうちに、段々と空が明るくなってきた。周りの生き物たちが発する光も薄くなり、身体は夜明けに溶けていく。僕も同様だった。手のひらを見ると微かに透けていて、身体が軽くなってくる──。
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