第39話 ヨーコさんて結局誰?

柴崎家 囲炉裏の間


カトやん「シバやん、おはようございます。

 …何やっているのですか?」


俺「…部屋の掃除、今朝起きたら何か身体の節々が痛くてさ…思わずヒール ポーション飲んだら今度は…こう胸の辺りがソワソワ、ザワザワして…いや今、考える事とやるべき事は分かっているんだけど…分かってはいるが、何となく踏ん切りがつかないと言うか…」


カトやん「期末試験を前に勉強せずに部屋の片付けする学生ですか? シバやんは。」


俺「昨日までの反省と、今後のダンジョン活動について色々前向きに検討したい所存では有りますが、いかんせん当方と致しましては今後の動向および状況を鑑み…」


カトやん「どこの政治家ですか? 昨日の事、全然吹っ切れてませんね…」


 そりゃあそうだ、今まで順調過ぎて浮かれていた。

 現在、世界中のダンジョンでは、死者、行方不明者、怪我人、精神異常、宗教(ダンジョン教)、真実の愛に目覚める者、その他、色々な事が起こっている。

 今まで五体満足でいられたのが奇跡だと思う、でもこのまま優樹としたメンバー5人揃える約束を、全部投げ出して逃げ出す度胸も無い。

 本当に俺はモブのヘタレだな。


カトやん「話しが重くなりそうなので、取り敢えず朝飯食べましょう。

 僕、カレーうどん作って来ましたよ、シバやんカレー好きでしょ。」


 確かにカレーは好きだが…何故にカレー? 朝からうどん? 甘口ですか? 辛口ですか? 俺は甘口が好きです。


カトやん「僕の様な車中泊者にとって、うどんは最強ですよ! 使うのは鍋1つ、時間も掛からず、食器を洗うのも簡単、男の飯はうどんで決まりです。

 因みに辛さは甘口ですよ。」


 俺も若い時はバイクでキャンプしてたからその意見には同感だが…まあ良い、朝から温かいごはんを頂けるなら何でも可だ。


30分後


俺「カレーはいつ何時食っても最強かもしれない! モチロン異論は認める。

 身体も温まったし、それではカトやん! 人生前向きに道の端っこをコソコソ進もうではないか。」


カトやん「シバやんそれは、前に進むだけましになったと言いたいのですか?」


 そうだカトやん! ソロリソロリと前向きに匍匐で前進だ。

 今はから元気でも良いから前に進もう、そのために取り敢えず持ち物チェックだ。

 俺の上がったレベルと貯まったアイテムの整理と個数の確認をしよう。


バロン「ご機嫌いかがかな我が主、顔色は少々良くなっておられるようであるが、くれぐれも御無理はなされぬ様に。

 そしてステータスと倉庫の一覧です。」


ーーーーーーーーーー

柴崎 将吾 Lv3(+1up!)


HP………40/40(+2up!)

MP………46/46(+3up!)

状態………あんま期待すんな。


腕力………17

敏捷性……14

持久力……18

器用度……24

知力………31

幸運度……35(+1up!)


…アクティブ スキル…

クリエイト ゴーレムLv2…MP12

リペア ゴーレムLv1………MP5


…パッシブ スキル…

ナチュラル スキン

表情(喜怒哀楽)

発声(cv)

…………………………

[ 倉庫 ]


…宝箱…

虹宝箱x1


…ジェム…

微小……2391


…アイテム…

ポーションLv1x3

エリクサーLv3x1


…スキル…

スキル シードx1(new!)

バーサーク 斧技 拳技


…ガチャ…

ガチャチケx2(new!)

…………………………


 HPとMPは順調に伸びているが、ステータスは幸運度が1上がっただけですと?  ダンジョンを周回するだけでは、さほど運動にもなってないと? …これからマラソンでも始めようかな?


カトやん「僕はまだレベル アップ出来ませんでしたので、マップルちゃんの巫女服はまた次回に。

 しかし今回、いよいよフォンフォンのダンジョン デビューを…。」


俺「その前に、部屋の掃除してたらベッドの下からコレが出て来たのでチェックしたい。」


 鼻息荒くブヒブヒ言っているカトやんの前に、一枚の封筒を見せる。

 それはダンジョンに初めて行った時にポストに入っていた、じいちゃんからのタイム カプセル便だった。

 ダンジョンや優樹達の事ですっかり忘れていたが、多分、大切な内容なんだと思う。

 中にはDVDが一枚入っていただけなので、ヲタク部屋に行き直ぐ再生。

 画面には、5年前にこのヲタク部屋で撮影したであろうじいちゃんが、アロハ姿で映っていた、ただカメラから近すぎるのか、顔が鼻から下しか映っていなかった。


じいちゃん「この重要な! とても大切な事を儂はこの撮影機に残す!

 もし、もしもじゃ! これを見ているのが孫の将吾では無かったら直ぐにこれを捨ててくれ。

 では、これを見ているであろうはずの将吾よ! 今から儂が言う事を耳をかっぽじってヨック聞くが良い。

 今、お前はとても奇抜でマカ不思議な出来事にぶち当たってしょげている頃じゃと思う。

 じゃが! これからもっと危険な事や困難が、数多く将吾の前に立ち塞がる事であろう。

 そこでじゃ! そこで儂がみちると一緒に世界中を飛び回り、これじゃと思う一品を探し出して持ち帰って来てやったぞ! 

 その素晴らしき一品は、この部屋の押入れの屋根裏に隠しておく、コレさえあれば将吾の…プルルル〜…何んじゃ? 電話か? この大切な時に。

 あ〜もしもし……あっ! ヨーコちゃん!……今? 大丈夫、全然ヒマヒマ、丁度儂今ヨーコちゃんの事考えておった所じゃから。  

 これから店? うん行っちゃう! 直ぐ行っちゃうから……別にたいした用事なんかしとらんから…うん、じゃあ席を1つ用意しておい………どわぁあ! みっ、みちる! お前は何処から? いやっ、こっ、これはじゃな…これはっ……御免なさい! 御免なさい! つい出来心で…あ痛ぁ! ひでぶ! あべしぃ! ふじこふじこ……。」


 ブチッ! ザザー


 録画の再生が終わった様なので、DVDを抜き取り躊躇わずゴミ箱に投げ捨てた。

 時間の無駄だったな…早く優樹達に合おう。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る