第5話 スキルを選ぼう

???「えぇ~~?」


 先程の渋さは何処かに行ってしまったかのように、スクロールの上でフワフワ浮いている白いたまご タキシードは身体全体でのけ反って驚いていた。


俺「今時、たまご男爵は無いだろ! だいたい何処のゲームだって最初の案内はカワイイ女の子なんだよ!

 青色のショート カットで片眼隠しの美少女がメイド服か、夏用の学生服着て「はじめまして!」とか、「会えて嬉しいです!」とか、「これからズット一緒ですね!」とか言って最初にユーザーを胸キュンさせるのが基本だろ!」


???「お主、何か勘違いしておらんか? 深呼吸して落ち着くのがよいぞ。」


俺「令和のこの時代、ソシャゲ業界において、いかに美少女キャラ作家と人気声優を集められるかが売り上げを取る重要なファクターなのに、何だよコレ、最初の掴みでハズシてんじゃ無いよ!

 ハイ! そうゆう事で赤い髪の毛のツイン テールでツンデレ タイプの美少女がちょっと拗ねた感じで「ずっと待ってたんだからね!」と、言ってくれるキャラに変更を要求する! チェンジで!」


???「お主の頭の中は、ファンタジーで出来ているようじゃな。」


 スクロールの上にフワフワ浮いている、ファンタジーの世界そのものなアンタに言われたくないよ!


???「我のキュートさが理解出来ぬのは、未熟な御身を還り見たまえ。

 我が御身の前に召喚されたと言う事は、残念だが御身にとって我が最的確である証であるぞよ。」


 それが世界の真理みたいに言いやがった。

 そんな事認めない。

 たまご男爵がベストなんて、認めたくない、若さ故の過ちなんてぜったい認めない。


俺「だったら辞める、今すぐごみ箱行き、はい終了! はい終わり! 帰った帰った! ゴー ホーム。」


???「それで良いのか? 本当にそれで良いのかな?」


 ふん! 引っかからないぞ絶対、どれだけスマホのメールで[ 100万円あなたは当選しました。 ]の画面を見てきたと思っているんだ!


俺「ファイナル アンサーはい終わり終わり。

 そして俺はただ目の前の仕事を処理して、次に渡し、平坦で急カーブや崖や山道など無い日常に還り、ただひたすら穏やかに残りの人生を過ごすんだ。」


???「ふむ、それがお主の選んだ人生ならば、我がとやかく言うのは筋違いであるな。

 だが、少し考えても見給え、我がこの姿であるからと言って、これからお主にもたらされる品は、ただのガラクタで有るとはか限らんよ。

 まずは現世とダンジョンを最初に渡りしお主に贈られる品々の、目録だけでも目を通して見んか? 受け取る取らぬはお主自身で考え、お主自身で決めるがよいぞ。」


 最初のボーナス アイテムか? キャッチ セールスの用なやつじゃねーよな。

 でも見るだけなら見ても良いか? 見るだけなら。


俺「見るだけなら見るか…?」


???「では、指を此処に。」


 指差されたスクロールの先には、[ プレゼント ボックス ]と、書いてあった。

 思わず押そうとして、右手にはポストから持って来た郵便物を握っていた事に今頃になって気がついた。

 そーとー俺は慌てていたようだ。

 郵便物を見ると、


 タイムカプセル便 柴崎 将一郎


と、書かれていた。将一郎ならば、じいちゃんあてか? 消印は5年前となっている。

 でも今はとりあえず横に置いておこう、まずはプレゼント ボックスだ。


俺「ポチッとな!」


 俺はスクロールの[ プレゼント ボックス ]の欄を押してみた。

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