第6話『2022年9/23②』
まぁ落ち着け。俺も驚いたよ。世の中にこんな突飛な考えを口にする人がいるなんて想像も出来なかったからな。
その点では、莉乃は俺にもミカにもないものを持ってる。
…え? そう急かすな。すぐに続き聞かせてやるから。えーっと、莉乃が二股って言い出したとこまで話したんだよな。
***
「二股?」
「そう」
「浮気?」
「違う。二股」
(わ、わたしは許さないよ!)
「ほら、ミカもこう言ってるし」
「…ごめん、どう言ってるの?」
たしかに。
「とりあえず、なんでまたそんな偽装結婚みたいな話を持ち出すの?」
「えーっと、それは…」
莉乃は恥ずかしそうに言い淀んだが、深く息を吸い込むと
「土屋君が好きだから」
と言い放った。
これには俺もミカもびっくりしている。
(どこ? 圭吾のどこがよかったの? って訊いて)
俺越しのミカの問いに莉乃は
「…ミカちゃんを大切にしてるとこ、かな。私がミカちゃんを病気って言った時に、必死に庇ってたのが、好印象」
と答えた。
どうやらミカも俺のそんなところが好きだったようで、好きな人を理解してくれる喜びと、好きな人が取られることへの不安が入り混じった複雑な顔をしていた。
最終的には
(まぁ、圭吾が良いならわたしは何も言わないから)
と落ち着いた。彼女も案外莉乃のことが好きらしい。
「じゃあ、よろしくお願いします」
ミカの許しが得られるなら、俺には断る理由がない。
「こちらこそ。よろしくお願いします」
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