扉と鍵とすずとはる
ぱすてぃー
第1話 出会いと変化と記憶と消せないもの
あれは、二月の半ばだった。〇〇県の田舎の高校にこの時期の転校生なんて珍しい。「私は駆道はる東京から引っ越してきました!好きなものは可愛いもの全部です!」と笑顔いっぱいに自己紹介する彼女は自分とは正反対の性格で自分の最も嫌う群れる人間なのだろうと自分の中で勝手に解釈した。
この時の私は関わることもないだろうと他のクラスメイトと同様に私は無感情の拍手で彼女を迎え入れた。
あれから数日たち彼女、駆道はるはクラスメイトに囲まれている彼女の底抜けの明るさと可愛らしい容姿がそうさせるのだろう男女共に毎日楽しそうに学校生活を満喫しているようだ。
今日も時間通りに終業のチャイムがなる私は足速に鞄を持ち帰路につこうとするその時に「鍵夜すずさんだよね?一緒に帰ろう!」と彼女は言う私は一瞬「は?」と小さく声を漏らしたがすぐに「私は誰とも帰らないしあなたには一緒に帰りたがる人は沢山いるでしょう?」と冷たく対応した。彼女は「そっかごめんね」と少し寂しそうな顔をして別の人のところへ行った。正直鬱陶しいとは思ったがいつぶりだろう一緒に帰ろうと言われたのはそうして少し悪いことをしたなとは思いつつも帰路に着いた。次の日も終業のチャイムがなって帰ろうとするとまた彼女が「一緒に帰ろう!」と言ってきた。
正直呆れた何故昨日あんなに冷たくされたのにこんなあっさりと同じことが言えるのだろうと少し困惑した。
しかし私は人と関わりたくないまた昨日と同じ言葉を投げかけ少しの罪悪感を持って帰路につく。
それから彼女は、毎日終業のチャイムがなると必ず一緒に帰ろうと誘ってくるそうして来る日も来る日も誘われ続けた私は根負けした。「わかった、いいよ」と言うと彼女はキラキラした目で「やったー!」と喜びながら準備してくるねと急いで自分の席に戻っていった。
ここ何日かで分かった事がある彼女は、絶対諦めない事と鋼のメンタルを持っているのだろうと彼女が「お待たせ!じゃあ帰ろっか!」と学校を出て自分の家への道に行こうとすると彼女はその道についてくる良く考えれば私は彼女の名前しか知らない何気なく「一緒に帰るのはいいけどあなた家はどこなの?」と聞くと「私はねー扉守団地の〜」とまさか私の家の団地と一緒だった。
少し納得がいった誘い続けた理由はこれかと勝手に納得していると彼女が「やーーっと一緒に帰ってくれたね!ずっと話してみたいと思ってたの!」元気よく喋り出したそして彼女は帰り道ずっと喋り続けていたそして別れ際に「今日は一緒に帰ってくれてありがとう!すずちゃん!」と笑顔で手を振りながら帰っていった。
下の名前を呼ばれたのはいつぶりだろうと思い出しながら私は家へと帰る。
この世界には『扉』といわれる異世界か異次元へと繋がる通り道の様なものが自然または人為的に開くそれを管理する扉管理機構に私は在籍している
ある夜私の元に指令が届く『〇〇団地の一画にて扉発生至急現場に迎え 尚、民間人に見られた場合は十二時間の記憶処理を施す様』との連絡が入った。私は急いで着替え現場に向かった。
〇〇団地は家からすぐの場所にある団地といえど田舎だ人は多くないさっさと済まして早く帰ろうと足速に現場に急ぐ現場に到着すると扉が消えていた扉があったであろう場所には一人の少女が立っていた5歳ぐらいのよれよれの服を着て薄く汚れた金髪で手には薄汚れたウサギの様な人形を持っている。少女はこちらを見ると何か言いたげにしているだが顔を良く見ると口がない間違いない異界からの来訪者である事は一目でわかった。頭の中に声がする何を喋っているのはわからないが頭が酷く痛い少女は目から涙を流しながら頭に言葉を投げかけてくる。それは頭の中でグルグルと回り続け立つ事すらできなくなった頃に「どうしました?大丈夫ですか?」と走ってくる足音が聞こえた声には聞き覚えがあった「すずちゃん?どうしたのこんなところで?」と駆道はるが駆け寄ってきた。
私は、無意識で少女を指差してしまった。その時私は気を失ってしまった。気づいて起き上がった時彼女はその少女を優しく抱きしめていた言葉が伝わらないであろう少女に優しく「大丈夫怖くないよ」とずっと語りかけていた。頭痛はもうしないやっと動けるようになった私はフラフラした足取りで二人に近づく「その子は異世界の住人で元の世界に返さなきゃじゃなきゃ向こうの世界とこっちの世界が混ざってしまう」私はその異邦の子の手を握り彼女の世界の記憶を手繰る。すると少女の手のひらに小さな鍵が生まれた。私は生まれた鍵でその少女が元いた世界の扉を開けた。元の世界へつながる扉を開けた先には少女の見慣れた世界が広がっていたのか走る様に扉をくぐり抜けた。扉を閉める前優しく頭に残る音色の様な綺麗な音で感謝を伝えているのだろうニコニコしながら手を振り見送る少女の姿がみえた。
扉の鍵を閉めるとキラキラした目でこちらを見ている駆道はるの姿があった「ねー!あの子何!どこからきたの!あのドアみたいなの何!」等の質問攻めを受けた。私は少しだけ深呼吸して鼻息を荒げて質問の回答に期待している駆道はるに「ありがとう助かったあなたのお陰であの子も自分の世界に帰れたでも...」と記憶を消さなければいけないことを少し躊躇してしまった。何故か記憶を消したくないと思ってしまった。「すずちゃんどーしたの?」と彼女は聞いてくる私は一言「ありがとうごめんね」彼女はキョトンとしている。扉管理機構の記憶消去用の鍵を使って私は駆道はるの中から今日の記憶12時間分を取り出した。そして感謝と罪悪感の中記憶を握りつぶした。その記憶の中には帰り道に彼女と一緒に帰ったことの記憶までもが全て無かったことになる。私は、記憶を消した駆道はるを街灯の下に座らせて物陰から目を覚ますまで見ていた。その後目を覚ました彼女を確認して感謝と罪悪感の2つを噛み締めながら家路につく足取りは今まで感じたことないほどに重かった。
次の日の朝「おはよーすずちゃん!昨日の夜なんで先に帰っちゃうのー」と挨拶をされた。クラス中がギョッとしていたそれもそうだ誰もそう呼ばないどころか話かけるクラスメイトすらいないのだから無論私も驚いた話かけてくるはずがないからだ。私は彼女の腕を掴み急いで屋上に向かった。息切れしながらも「あなた昨日の夜の記憶あるの!?」と聞いた彼女は少しキョトンとしながら「え?うんあるよ!」と元気いっぱいに答えた。
第二話につづく
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