第12話

 僕とワクイの戦いが始まった。一緒に来た冒険者たちが助太刀にこようとしていたが、ワクイがうまい具合に牽制しているため、助けに入れなかった。


 僕はワクイの剣を受けるのに精いっぱいだった。ワクイの動きが熟練者なみの動きだったからだ。

 もともとのワクイの動きとは全く違かった。本来のワクイの動きはもっと遅く、Fランク相当の動きだった。


「どうしたぁ?さっきから逃げてばっかだなぁ!」


ワクイは戦いながら僕に投げかけてきた。僕はその投げかけに反応することはなく剣を受け続けた。

 するとワクイは聞いてもいないのに強くなった理由を語りだした。


「俺がこんなに強くなったのはなぁ!俺が今使っている剣と身に着けているアクセサリーの効果なんだよぉ!バードが調達してきてよぉ、こいつらを使い始めてから真っ先に殺してやったよ!あいつがうまく誤魔化さなかったからこうなったんだからよぉ!」


とワクイが言った。この場にバードがいない理由がわかった。そして、それおきいていた冒険者から問いかけがあった。


「どこでバードを殺したんだ!あいつはその武器やアクセサリーについて何か言っていなかったか!」


ワクイはこの問いかけに対し、


「闇市で手に入れたとしか聞いてないなぁ!でもわかるぜぇ?この剣は魔剣だっていうこととアクセサリーはアーティファクトだってことはよぉ!」


と、現状では最悪に近い回答だった。


 アーティファクトとは、ダンジョンの宝箱かまれに手に入るアイテムだ。基本的に使える状態で手に入り、冒険者たちの戦闘に役立つことが多い。中には生活で役に立つものがでる。アーティファクトは鑑定してどのような効果なのかを確認する。しかし、鑑定で確認しなくともわかるモノがある。それは呪われたアーティファクトだ。独特な雰囲気をしており、なかには瘴気を放つものもある。しかし、呪われたアーティファクトはとても強い効果を発揮する。しかし、代償を払わなければならず、ひどいものは1分間に10年の寿命を代償とするものもある。

 現在ワクイが使っているアーティファクトはどれも呪われているものだ。代償がどのようなモノかはわからないが、とても強化されている。今の僕では勝てそうになかった。


 だけど僕は不思議と負ける気はしなかった。ワクイの感情に水色(焦り)が見えていたからだ。


 

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