第6話
「...アップルマン。1つ依頼を受けてくれないか?」
講義が終了した後、狂子がボソッと俺に頼み込んできた。嫌な予感しかしないんだが。
「珍しいな?別に構わないが、内容は?」
「ひよっこ冒険者の尻ぬぐいだ。熱海ダンジョンで、バカ共から救難信号が届いたらしい」
「...ああ。あそこのダンジョン結構魔物が強いよな。それで、階層は?」
「20だ」
「20!? そいつら初心者だよな? ありえないだろ」
通常、ダンジョン初心者に推奨される階層は3Fまでだ。4Fからは本格的にトラップなどが設置されており、各段にダンジョン攻略が難しくなる。3Fの壁を超える事が、初心者脱却の1つの目安となっている。
「大方、転移のトラップでも踏んだんだろう。運のないやつらだ」
20Fというと、魔物の強さもかなりのものになってくる。中級者、いや、上級者ぐらいのやつが必要だ。
「それにしても、20ぐらいならお前が直接行けばいいんじゃないか? 50まではソロで行けるだろ?」
「それはそうなんだけどな~...。今、私は協会を離れるわけにはいかないんだ。本部に襲撃の噂があるからな」
「ああ、政府のマル協どもか。あいつらマジで頭がおかしいからな」
過去に一度、俺も政府のバカ共に襲われた事がある。話がまったく通じないし、初めからこっちを殺しに来るようなイカレた連中だ。あんなのが国の組織とか、本当にどうかしてるぜ。
「近々本格的に戦争になりそうでな。...だから頼む、私の代わりにひよっこ共を救ってやってくれ!」
「...分かったよ。お前がそこまでするって事は、冒険者協会から圧力でもかかってるんだろうからな。それで報酬は?」
「...そうだな。10分間揉み放題とかどうだ?」
たわわに実ったとある一部分を持ち上げ、こちらをアピールしてきた。
___おいおい、小学生じゃねえんだからよぉ...。
「よっしゃ任せとけ!! 今の言葉忘れるなよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「...ほんと、お前は分かりやすいな」
「うひひひひ!! 最高にやる気が出て来たぜぇ!!」
あれを10分間も揉めるとか、天国じゃねえかよ!!この世のどんなものよりも価値があるぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!
「...別に、直接言ってくれればいくらでも.......」
「ん? 何か言ったか?」
「何でもない! それじゃ頼んだぞ!!」
なんだかプンスカと怒りながら彼女は帰ってしまった。何だ?相変わらず情緒不安定なやつだな。ストレスでも溜まってるんかね?
「さてと、そんじゃバカ共を救いに行きますか!」
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