第2話
俺の目の前には、3種類の宝箱が置いてあった。
左側に金色の宝箱、右側に銀色の宝箱、真ん中に赤色の宝箱が置いてある。
「さてさて、この中から1個とかいう感じだったよな」
まあ、普通に考えたらやっぱ金色の宝箱だよな。銀色の宝箱も悪くはない。なんというか高級な感じがする。
けどよ?俺、なんというか赤色が好きなのよ。リンゴとかトマトとかもそうだけど、赤色というと、俺の中では最高というイメージが出来上がっている。
「あああ... 絶対金色の方がいいと思うんだけどな~」
そんな事を口にしながらも、俺の手は既に赤色の宝箱に触っていた。
「よっと!!」
パカッ!!という音と共に蓋が開いた。
___中には、1つのリンゴが入っていた。
「何だよ、ハズレかこれ?」
俺は早速このリンゴを手に取って、ムシャムシャと食べ始めた。シャクシャク。モグモグ。おお。かなりジューシーで美味いなこれ。
「モグモグ...んんんんんっ!?」
なんだ、この感覚は。体の奥底から、何かとんでもないエネルギーが湧いてきている。そんな確固たるイメージを、俺は感じていた。
「ひょっとして、今の俺だったら魔法とか使えたりするのかな?」
...やってみるか?えっと、確かゲームとかだとこんな感じだったか。
俺は右掌を前に付き出し、オリジナルの魔法を詠唱する。
「‘アップルスプラッシュ!‘ ...なんちゃって。ってええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
体中からエネルギーのような感覚が沸き上がり、俺の右掌から何かが発射された。それは物凄い速度で前方を飛び、轟音と共に壁に炸裂する。壁にはクレーターのような穴がぽっかりと空いていた。信じられない光景だ。これを、俺がやったのか?
「...これ、絶対あのリンゴの影響だよな。どうなっちまったんだ俺の体は」
その場で今後の事を考えていると、ダンジョンの壁全体に文字が表示された。
~ダンジョン攻略完了。これより1分後に強制的に外に排出します~
「ダンジョンクリアだ~?リンゴ食べただけだぞ」
モンスターとかも出てこなかったし、ここってチュートリアル的な場所だったのか?まあ、何にせよ外に出れるのなら有難い。
そのまま待機していると、体が浮き上がるかのような感覚と共に、俺は自分の部屋に帰ってきた。腕時計を確認すると、始まりのダンジョンクリアと表示されている。
「ん?なんかまた表示が変わってるぞ」
俺の腕時計にはこう表示されていた。
◇道草幸太郎の部屋 危険度F◇
「ははは。なんだこりゃ?まるでゲームのステータス画面みたいだな」
それからポチポチと調べていると、サーチモードという機能がある事に気がついた。早速自分に向かって使ってみる。
・道草幸太郎(18)
危険度???
攻撃?
守備?
魔力?
「なんだこれ?ほとんど何も分からねえぞ」
名前と年齢は合っているが、それ以外がほとんど「?」で表示されている。どうなってるんだこれ?
「まあ、他の人で実験すればいいか」
俺はこの奇妙に進化した腕時計を外し、テーブルに置いた。明かりを消して、ベッドにダイブする。
「...んふふふふふふふふ」
笑いが止まらない。俺は、過去最高にワクワクしていた。
___これから、何かとんでもない事が起こる。
そう俺は確信していた。
それから1週間後、世界中は激変する事になる。そうだ。確かに事件は起こった。だがそれは、俺の小さな脳ミソでは到底予測できなかったレベルでだ。
___全世界に、ダンジョンが出現したのだ。
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