第6話 死にイベント~死闘の果てのレベルアップ~

 四方八方から同時にガーゴイルたちが襲い掛かってくる。どちらか一方を倒しても、もう一方からの攻撃を必ず受けてしまう、俺にとっては最悪な陣形だ。


「うぉぉぉおっ!」


 ……だからといって、死んでたまるかっ!


 俺は近くで力尽きていた衛兵たちの槍を拾い、スキル『とうてき』で迫るガーゴイルたちへと投げつけた。そして投げつけたそれ以外の方向から来るガーゴイルたちへと『みだれ突き』。


〔クソがッ! 死にかけのクセに!〕

〔魔王様のために、テメェは大人しく殺されてりゃいいんだよッ!〕

「うるせぇ! お前らの都合なんか知ったことか! 俺は死にたくないんだッ!」

 

 あがいてあがいて、俺は泥臭く戦った。槍を振り回して、ガーゴイルたちを蹴り飛ばして、攻撃をかわすためにみっともなく床を転げ回った。

 

「うらぁっ!」

〔グギャァッ!〕


 隙を見てまた1体、ガーゴイルを貫き殺す。




 ──『レベルアップ。Lv21→22。スキルを獲得。『トライデント』→一度に広範囲に対しての突きを繰り出す』




 新スキルを使う。『トライデント』、突き出した槍の先端が3つに広く枝分かれし、3体のガーゴイルを同時に突き刺した。

 

 


 ──『『槍の心得』のスキルレベル上昇。LvMAX。『槍の心得』から『槍の達人』にスキルが変化。『槍の達人』→槍を極めし者。槍を使用しての攻撃力が大きく上昇する』

 

 

 

 飛んでくるガーゴイルを叩き落とし、横から来たガーゴイルをさらにその上に叩き落とす。そしてまとめて『みだれ突き』。どうやら威力が上がったらしい。まとめて2体を葬り去る。

 

 

 

 ──『『叩き落とし』のスキルレベル上昇。LvMAX。『叩き落とし』から『槍の結界』にスキルが変化。『槍の結界』→相手の攻撃を弾き返し、反撃する。この反撃の際、自分は相手の反撃を受けない』

 

 

 

 左右からガーゴイルが挟み撃ちしてくる。『槍の結界』で攻撃を弾く。そしてすぐさま『しっぷう突き』で反撃に転じる。1体を突き殺した際、もう1体が攻撃を仕掛けてくるがそれは俺に当たらず空を切った。

 

 

 

 ──『レベルアップ。Lv22→23。『しっぷう突き』のスキルレベル上昇。LvMAX。『しっぷう突き』から『ボルテックス』にスキルが変化。『ボルテックス』→雷属性の目にも止まらぬ速さの突きを繰り出す。この攻撃は相手の防御を貫通する』

 

 

 

〔ギャギャギャッ! まとめて掛かれ! タイミングを合わせろッ! 同時攻撃はさすがにかわせないはずだッ!〕

「はぁっ、はぁっ……うらぁぁぁッ!」


 スキル『みだれ突き』。ガーゴイルたちを怯ませる。


「グゥッ!」


 それでも何体かの攻撃はまともに体に受けてしまい、俺の体から血しぶきが上がる。だが、そんなの知ったことか!

 

「ボルテックス、ボルテックス、ボルテックスッ!」

〔ギャワッ‼〕


 さきほどのみだれ突きで地面に落ちたガーゴイルたちに新スキル『ボルテックス』でトドメを差していく。

 

 

 

 ──『『みだれ突き』のスキルレベル上昇。LvMAX。『みだれ突き』から『五月雨さみだれ突き』にスキルが変化。『五月雨突き』→ひと息に水属性の10連突きを繰り出す。この攻撃を受けた相手の防御力が少し下がる』

 

 

 

 Uターンして再度突撃してくるガーゴイルたち。積み重なるダメージが俺の膝を震わせる……ダメだ、まだ倒れるわけにはいかない! 震える膝に力を入れて踏ん張った。

 

「……『五月雨突き』ッ!」

〔グガガッ!〕




 ──『レベルアップ。Lv23→24』




 ……よし、さきほどの攻撃で落とせなかったガーゴイルたちも、威力も数も上がった新スキルですべて倒した。後は……後モンスターは何体残っている……?

 

「──グスタフっ! グスタフっ!」


 王の声が聞こえる。まさか、また姫がガーゴイルに捕まってしまったのか……? なら、助けないと……。

 

「グスタフっ、もう、モンスターたちはおらぬっ! ぜんぶ、ぜんぶお主が倒したのだっ!」

「……え」


 倒した? ぜんぶ? 確か10体以上いたはずだったが、俺はぜんぶ倒せたのか……?

 

 ──ドシャリ。

 

 座ろうと思ったわけでもないのに、体が勝手に地面に倒れ込む。……立たないと……なんでだ? 体が言うことを聞かないぞ?

 

「ひどいケガだっ! 誰かっ! 誰か救護の者を呼べっ! 回復魔法の術士を! グスタフは英雄だ! レイアを、この国の姫を守った英雄を決して死なせてはならぬっ!」


 王の声が遠くに聞こえる。目の前がだんだん暗く……ああ、俺、死ぬのか……?

 

「グスタフ様っ、グスタフ様っ! 死んではなりません。意識を強く持って!」


 ああ、レイア姫の声がする。それになんだろう……なんだかあったかい。なにかが俺の手のひらを優しく包み、そして持ち上げられた頭が柔らかい枕の上に置かれた。ああ、心地よい。それにすごく良いニオイもする。


「グスタフ様っ! グスタフ様っ!」


 ……幻覚かな、すぐ目の前にレイア姫の顔が見える気がする。それにしてももうダメだ、眠過ぎる……。俺、昨日は徹夜だったからな……。

 

 そして、俺の意識は真っ暗闇に溶けていった。




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グスタフ Lv24 ←【レベルUP】

次のレベルまでの必要経験値 153

スキル 

『槍の達人』 Lv2 ←【レベルUP】

→槍を極めし者。槍を使用しての攻撃力が大きく上昇する

『ボルテックス』 Lv2 ←【レベルUP】

→雷属性の目にも止まらぬ速さの突きを繰り出す。この攻撃は相手の防御を貫通する

『槍の結界』 Lv2 ←【レベルUP】

→相手の攻撃を弾き返し、反撃する。この反撃の際、自分は相手の反撃を受けない

『五月雨突き』 Lv1 ←【レベルUP】

→ひと息に水属性の10連突きを繰り出す。この攻撃を受けた相手の防御力が少し下がる

『とうてき』 Lv9 ←【レベルUP】

→一直線に槍を投げて相手を貫く強力な攻撃をする

『溜め突き』 Lv5 ←【レベルUP】

→力をためて超強力な突きを繰り出す

『トライデント』 Lv3 ←【NEW】

→3又に分かれる広範囲な突きを繰り出す


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