第2話
俺の名前はレオン・グリムワルト。
皆からはレオンと呼ばれている。
名前だけ取れば大層なものだが、実際俺はただのサラリーマンだ。
そう、ほんのちょっと鼻が効く…ね。
子供頃俺は「ウルフズハート」と言うアーツを持った、「アーツコネクター」だと言うことが判明した。
アーツコネクターとは、普通の人間ではありえない
その人達は世界人口の約4分の1の数居て、まぁ学校の教室に多くて10くらいいる。
そんな珍しくもなんとも無いこの能力に、俺は悩まされていた。
端的に言おう、俺の鼻は効きすぎるのである。
嗅ぎたくない匂いまで捉えてしまう。
そのせいで、子供の頃はよく吐いていた物だ。
全く、自分でもすごい位の回数吐いだと思う。
下品だけど。
それは料理の匂いだったり、人の汗の匂いだったり────並べだしたらキリが無いが、その中でもとりたて俺の鼻が反応するのは…
「なぁなぁ、この後遊ぼうぜ?」
「えー、でも俺親に止められてんだよな」
「そんなのほっとけって!」
「えーじゃあちょっとだけな」
「やったね!」
「じゃあ何して────」
子供の匂いだった。
あぁ、この匂い…。
楽しそうに談笑する小学生の横を無呼吸で通り抜けて、俺はつくづくそう思う。
あの、汗と食べ物と唾液と尿の混ざった匂い。
単純に言って、あれは無理だ。
本当に。
克服しよう、なんて考えるだけでも恐ろしい。
それほどまでにきつい匂いを放っているのは、主に小学生や幼稚園生だ。
まぁ子供だからしょうがないと言えばそれまでなのだが、少しは俺にも配慮して欲しい。
と、いつものように叶わない願いを頭の中で願っていると、ふと道端に、小学生らしい女の子が体育座りで地面に座っているのが見えた。
「…?」
その女の子が着ている服はボロボロで、とても学校帰りだとは考えられない。
女の子はランドセルも背負わず、道端の硬いコンクリートに背もたれながら俯いていた。
うーむ。
どうしたものか。
いやそれは、「大丈夫?」とでも声をかけてあげるべきなのだろうが…。
どうしよう、近づけない。
女の子に近づいて、話を聞くまで無呼吸では、さすがに死んでしまう。
かと言ってマスクなんて持ってないし、このまま放っておくのも…。
(あぁ!もう!)
俺はガシガシと、乱暴に髪をかいて。
朝からキツいと思っていたネクタイを、さらにきつく閉めて上がってくるものを無理やり堰き止めてから
「あ、あの…ゔっ…ダイジョウブデスカ」
と、聞いた。
途中でえずきの入ってしまった俺の声が聞こえなかったのか、それとも(ほっといて欲しい)と言う意思表示なのか…女の子は体育座りで自分の膝に顔を埋めたまま、全く反応をしなかった。
うぅ…!なんだよもう!あと1回だ!あと1回聞いて反応なしだったら帰るからな!
誰にも聞こえない心の声を盛大に発して、俺は再度硬い地面に座り込み、尚も喋らない女の子に声をかけた。
「ちょっと、あの…大丈夫かい?」
顔色はカビの生えたみかんほどに真っ青で、意識も朦朧としてくる。
あぁダメだ…もう…限界…
2回目の問にも全く反応を示さなかった女の子に早々にケリをつけた俺は、小走りで座り込む女の子の前を通り過ぎ────急いで家へと帰った。
その晩、俺はあの女の子の事が少し、ちょっと少し、気になって眠れなかったけれど、まぁそのうち親が迎えに来ているだろうと思い、眠りに着いた。
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どうも、四方川 かなめです。
このようなラブコメ?
的なもの書くのは初めてで、しかも主人公が結構なくせものと言う…結構難しい作品なのですが、頑張ります。
これからも応援よろしくね。
あと、私の作品「レッドアイツー」も是非。
コメディが好きな人は「最強のアサシンになりたくて!」もよろしくお願いします!
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