第2話 1/29
テオが泊まっているホテルの一室にホテルマンが朝食を運び入れていた。彼がなぜ2人分の朝食が用意されていくのか不思議な様子でテーブルを眺めていた時、ノックと共にツウが部屋に現れた。
「早いな、まだ寝ているかと思ったにゃ」
「そういうツウは寝ていないんじゃないか?」
「にゃ、わかるか?」とツウは朝刊を机に置き言った。
「ひどい顔だ」テオが用意されてゆく朝食を前に座った。
「にゃ、これでもメイクは直してきたんだがにゃ」ツウもテーブルにかけた。
「なんというか、あれだな、表情筋が息をしていないな」
「ん? そんなことないぞ」ほれと言って口元を笑って見せるが目は笑っていなかった。
「このあとは少しでも休めるのか?」言いながらコーヒーカップを手に取る。
「あぁ、大佐に…… 憲兵隊のポロ分隊長にゃね。大佐に明日は、というか今日にゃがね。報告書を提出の後、休めとの命令だからにゃ。徹夜で報告書をまとめて、朝一番で提出してやったにゃ。だから今日は一日お休みにゃ」
「そうか、なら僕も今日は…… 」
「テオには
「え。ダンジョン?」
「にゃ、ダンジョンに潜ってもらう。テオは我々が見つけていない証拠を探し出す才能もあったにゃ。現場を見て来てほしいにゃ」
「いやいや」
「安心するにゃ、ポロ迷宮は他の迷宮と比べて安全にゃよ、現場の5階層までは1階層を除けばにゃが、次の階層への転移魔法陣はモンスターが出ない
ツウがパンにバターを塗る、テオは手が止まってしまった。
「それでも」
「モンスターと遭遇するとしても1階層だけにゃ、5階層の死体発見現場もセーフティゾーンからすぐの所にゃしね。1階層のモンスターはこちらから仕掛けないと反撃しないような奴ばかりだし、事務局長さんには腕利きの護衛をたのんであるにゃ」
「ほんとにー?」
「ほんとにー。それに賭けを持ちかけたのはお前にゃー」
「賭け…… 賭けなんかしたか?」
「私が勝ったら事件解決してから観光する、お前が買ったら1日観光してから捜査をする。それに、お前さんが言ったんにゃ。スクロールを見たソルタイスが『これはどこそこに捨てて来たはずだ』そう言うにちがいにゃいってにゃ」
「あー言ったな、言ったけど。迷宮だぞ? 下手したらモンスターに食われるぞ?」
「にゃーに、5階層までなら今時の王都のスラムより安全にゃぁよ」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんにゃー 移動はほとんどセーフティゾーン、ぶつかったら最後の車と違って、襲われても追い払う事ができるモンスター。優しいもんにゃ。まぁ6階層から先は別世界にゃがな。今回は足を踏み入れないから心配はいらにゃい」
「ツウがそう言うなら信じるけどさぁ…… あ、死体発見現場はモンスターが出るエリアなんだろ? しかも、5階層の!」
「それも心配はいらにゃい。聞いた事あるだろ? 5階層は冒険者のオアシス、3階4階と強くなったモンスターが急に5階で弱くなる、にゃが割合とれるマセキの質は良い」
「あー聞いたことあるな。5階層でモンスターにやられた冒険者は居ないんだろ?」
「そうにゃ。さらに今回は5階層で
「行きたくない…… 行きたくは無いんだ。でも知ってるだろ?」
「あぁ、お前さんがオークションで黒髪の勇者が書いたと思われる本を入札してピンチなのは知っている」
「強いの?」
「にゃ? 組合長か? もちろん強いぞ。にゃにせ、剣聖の弟子の1人よ」
「なるほど、つよそう…… ん?剣聖の弟子のひとりってことは被害者の」
「にゃ、兄弟子にあたる人物にゃ。王命の施行後ダンジョン内で起きた始めての殺人事件にゃからにゃ組合長も犯人探しに躍起にゃ」
「
「そうにゃがにゃ、最初は捜査協力という体で職員を派遣していたにゃ。ダンジョン内をモンスターからの護衛と言って共に行動をし、捜査員から情報を集め仕舞いには独自捜査を始めたにゃ」
「え? 大丈夫なの? 仮に僕が何か見つけたとして、僕からも何か聞き出そうとするんじゃない?」
「まぁ、犯人が判明してそいつが手練れの冒険者ってことにゃら、遅かれ早かれギルドに応援を要請することににゃるからな。お前さんの判断で話しても構わん」
「なんか面倒くさそうだなぁ」
「にゃら行くのを止めるか」
「そうだな、地上で出来る事もあるだろうし。なにせ多少なりとも危険はあるんだろ?」
「にゃ。あると言えばあるにゃ、街に出で車に撥ねられるか、スラムで物取りに襲われるか、それくらい以下の危険はにゃ」
「よし。じゃあ今日はここで事件の資料に目を通しながら新しい情報をまつよ」
「わかった…… にゃぁあ、憲兵本部に危険手当として報奨金の増額を頼んでおいたが、無駄ににゃったにゃ」
「いくらだ」
「昨日の事件の報酬と合わせた段階でこの前の事件の3倍、ダンジョンの危険手当含めると4倍」
「行く」
「
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