バウンダリ編 第6話 変化2
朝起き出し今日の装備を準備する、昨夜は9時に寝たがまだ眠い・・・なぜ早寝をすると普段より眠くなるのだろう謎だ・・・
装備を決めながら、ポーズも軽く練習する今日は見学だけで戦闘は無いのだが何事にも準備は必要だ。
通りかかった兄貴が、可愛そうなものを見るような目で見て行く・・・
自分もつい最近まで、これで決まり厳選ポーズ・装備集なんて言うノートを作っていたくせに、彼女ができたとか言って浮かれやがって・・・
ロングコートは、ザックに入れておこう必要があるかもしれない。
おや? 日帰りなのに60Lに収まらない?なぜだ?
いつの間にトンファーが・・・
ワイヤーソーは必要だよな?
「友也何やっているの?遅れるわよ」
下から、おかんの声が聞こえる
「・・・ああっ・・・分かっている、大丈夫だ」
と返事をしたが、ちらっと時計を見て・・・ダッシュした。
「やべぇ」
慌てて、テーブルの上にあったトーストを咥えダッシュする、どこかの曲がり角でまだ見ぬヒロインと・・・うおっと、チャリに乗った見知らぬおっさんとぶつかるところだった、あぶねえそんな出会いはいらない、そんな世界は開かなくて良い。
なんとか学校に辿り着く、教室に行くと誰もいない??
あれ? 8時20分集合だよな? まだ10分ある・・・
教室ごと、異世界転生か!! しまった乗り遅れたか・・・
周りを見回す・・・あっ
ああ・・・黒板に「教室に来たバカどもへ、集合は体育館」と書いてあった。
トボトボと体育館に行くと、皆居た。
時間が来て点呼を取り、武器が回収されていく、グローブはパスだった。
バスに乗ろうとしたら、導人がバスに向かって踊っていた・・・?
30分くらいバスに乗りダンジョン駐車場で、また同じような注意を聞いてクラスごとにダンジョンに入っていく、ダンジョンの周りにズラッと並ぶ武装を見て皆興奮気味だ。
「一応、学生も周りを警戒するように!」
隠れているモンスターが、周りのくぼみから突然出てくることがあるため警戒が必要だ。
クックック、俺の必殺パンチが炎を吹くぜ・・・
「おい、早くいけよ!」
「わかったよ、押すなよ」
暫く進みながら、
「見つけたら、叫べば良いのか?」
と導人が聞いてくるので「そうじゃないか? まあ俺はこの・・・」ボソボソ相談していると、「パパパ」と遠くで銃声がする・・・
一回で終わったのでモンスターの遭遇戦だろう。
「畜生、遭遇戦かいいなぁ」
「一度は見たいよなぁ」
「そうだな、一度くらいは・・でも近くだときっと怖いぞ」
「カナ?でも一回・・・先っチョだけでも・・・」
「何言っているんだ? お前?」
そんな馬鹿なことを言っていると、導人が突然叫んだ、
「右上なにか居ます!」
見上げると、小さな生き物が石を投げようとしていた。
探索者の持つ銃が火を吹く、単発だが見事に命中し小さな生き物がひっくり返る。
「みんな怪我はないか?」
「「「「「だいじょうぶです」」」」」
「よし、今の感じで声をかけてくれ、じゃあ進もう」
「近くだとすごい音だな、本物はすごいや」
少し早めに無事3階に到着した、しかしごろごろした岩ばかりで岩飛びしないと進めないため足がプルプルしている。
「よしそれじゃあ、各自適当に弁当と休憩してくれ、トイレはもう少し進んだ左側のくぼみに幾つか設置しているからそれを利用するように」
「おし休憩だぁ、どの辺りに行く?」
「とりあえず、あまり外れるとまずいよな、一段上がったあの岩の上はどうだ?」
「モンスターが来ても飛び降りれば大丈夫か・・」
相談して、岩の上に這い上がることにした。
「おっ、上は少し広くなっているここ良いなあ」
友人数人で、弁当を広げる。
ぎゃあぎゃあ言いながらおかずの取り合いをしていると導人がキョロキョロしている。
「おっ、どうした?」
「いや、なんだか風吹いた気がしたんだが・・・」
弁当を食べた後、各自自由として達男と一緒にトイレに行くことにした。
無事に場所もわかりすまして出てきたら、ダンジョンの奥から銃声が聞こえてきた・・・それもフルオートっぽい、達男と
「なんかすごいな、皆のところへ戻ろうか」
「ああ、なんだかヤバそうだ」
足元に変な振動と、奥から複数のモンスターの鳴き声まで聞こえて来だした。
「おい、早く戻ろうぜ」
急いで、飛び飛びして皆のところへ急ぐ。
その時、
「みんな、にげろー!!!!」
導人が叫んでいる
その瞬間、奥で聞こえていた銃声が止み、魔物の鳴き声がどんどん大きくなってきている、
「やばい、急ごう!」
先生も、
「みんな逃げろ、2階へ行くんだ! モンスターは階を超えてこないはずだぁー」
「にげろぉー」
と叫んでいる。
足場が悪いためスピードは出ない。
どんどん鳴き声と足音は近づいてくる。
奥の方で、声が聞こえる。
「たすけてくれー・・・モンスターの氾濫だぁ・・・」
あれは、探索者の人の声だ。
「おい、氾濫てモンスターが階層超えてくるんじゃなかったか?」
「そうだよ、早く逃げないとまずいけど、こう足場が悪いと厳しいぞ」
後ろから、モンスターの声が近づいてくる・・・
「おおい、ともやぁ逃げろうぉぉ!」
前方にいる導人が叫んでいる。
分かっているんだよ、っもう・・・すぐ後ろで声がしているんだようぉ。
その時、すぐ後ろまで迫っていたモンスターのあたりでドパンという、何かが破裂するような音がした、その音が徐々に増えていく・・・
顔を上げ、前を見ると導人が水の玉を投げて?? いや周りにも浮いている打ち出しているのか?
「おわぁ」
下を見ていないから、転がった、岩が・・・いてえ・・・
頭の上を、ボウリングの球くらいの水の玉がどんどん通り過ぎている。
やがて30分も経つと、静かになり奥から現れるモンスターもいなくなったようだ、多分氾濫は収まった。
なんとか立ち上がり、達男と一緒に導人のいる方に行く、先生とかも集まっているようだ。
なんだか、先生と話をしているようだが、導人が魔法を使えるなんて聞いてないぞ。
今度は、火の玉を浮かべている・・・
思わず、声が出てしまった。
「すげー」
達男も一緒に驚いている。
落ち着きを取り戻した先生が
「とにかく、助かった、おおい、みんな集合! 点呼を取ろう」
探索者は残念だが全滅のようだ、が生徒は全員無事だった。
みんな何とか、地上に戻り探索者協会へ報告、その中で導人の使った魔法について報告しない訳にはいかず、報告を受けた探索者協会は騒然となった。
後日導人は呼び出され、実演することになる。
畜生、違うだろ、導人じゃなく俺の役目のはずだ、六芒星の書き込まれた革製の鋲付きハーフフィンガーグローブを目の前で開き力を込める・・・
いま、黒い合皮のコートまで完全装備でベッドに腰を掛け、左手で手首をつかんだ自分の右手を見つめる友也の、長い夜は始まったばかりだ・・・
そして、次の日遅刻することまでが、世界における、いや宇宙における予定調和となっているとかいないとか、結果は神のぞが知るかそれとも非天の意か・・・
人はそれを修羅の道という・・・かも。(笑)
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