この世界に魔法を - 宇宙管理者のチートで無責任な業務日誌 - バウンダリ編

久遠 れんり

第1章 創成

第1話 物語の始まりと根源

 ここは、ぼやっと光っているクリスタル〈双四角錐だが上下が少し長い〉を中心として、黒い玉が放射線状に広がっている空間で、たぶんこの空間は実験室であり管理室で、中心側で定められた条件によりうまく発展した場合には、次々と新しい宇宙が外側に向き続いている。


 黒い玉は、一つ一つが宇宙である。


 古い宇宙はクリスタルからのエネルギー供給が多く、魔法世界となりクリスタルのエネルギー供給が少ない宇宙は物理中心の発展をするようだ。

 此処はちょうど魔法宇宙と物理宇宙の中間あたり、実は工夫すれば魔法が使えるのだが、なぜか物理的技術のほうが先に発展している。

 研究者たちは、理論と現実の差異になにかの因子が作用していることを感じてはいるが、発見に至っていない。


 物語の中心となるこの星は第3の星や母なる地と呼ばれている、その中の大きな大陸の端から少し離れた場所にその島国オルタスはある。

 その首都エイドのとある一軒家のベッドの上で深見 導人(ふかみ みちと)15歳はもだえていた、変なことをしているわけではなく・・・悶え苦しんでいた。


 その原因は50年ほど遡り、導人の祖父が大学である授業を受けていた。


「・・・であるから、人類は複数の免疫機構を有している、他にも進化する過程で古来の生物由来の物質や機能を引き継いで来ているものもあり、人間と菌類において共通する免疫物質も発見されている、これは、β-ガラクトシドに親和性・・・・」


「・・・ここまでは良いかな?」


「では次に、自然免疫系の・・・」


 「へぇ~、キノコなんかと共通するものを人間が持っているのか、なんか楽しそうだな」


 それがきっかけとなり、彼 導人の祖父 深見 開(ふかみ かい)は数年研究室に足繁く通うようになった。

 ひたすらいろんな物質を特定と同定を繰り返した、そしてある植物から遺伝子の進化速度が速くなる物質を特定した、しかし動物実験において各種刺激にも元の植物のような劇的な変化は見られなかった。

「うーん、おかしいな? 植物と動物で働きが異なるのか? 」

 彼はぼやきながら、おもむろにその物質を自分に注射した。

 彼は昏倒し、その後3日ほど熱を出して寝込むことになった・・・


 彼は一応その研究をまとめて発表し、Dr.を取得した、だが同世代の研究者が多いこの研究室では出世できないと、臨床系講座へ移籍して、医者として数年後には開業をしていた。


 

 ベッドの上で深見 導人は苦しみながら・・・もう死ぬかもと思い、それなら消去しないとマズイ物が・・・と以外と余裕を見せていた。

 昨夜宿題をはじめたときから苦しみだし、結局一晩苦しんでいたため宿題ができていない・・・どうしよう・・・やはり余裕を見せていた。


 そのうち、全身から痛みが収まりだし彼は焦りだす・・・

 まずい、体調が治ると学校にいかないと・・・宿題ができていない、こめかみ辺りにつつうと汗が・・・

 

 少しふらつきながら立ち上がり・・んっ、目線がおかしい・・・

 よく見るとパジャマも長さが足りなくなっている?


 なんだ?鏡を覗き込むといつもの自分が見える、異世界転生したのではないようだ。


 とりあえずは、そんなことより宿題をしようと机に向かう・・あれこんなに簡単だったっけ、まあ良いや、30分程度で済ませると時計を見る、まだ5時半少しは寝れるとベットに戻る。


 朝7時から鳴り続ける目覚ましの爆音の中、部屋のドアが乱暴に開かれる、部屋に侵入した者は爆音を立てている目覚ましを止めると、静かに部屋を後にした・・・

 30分後、目を覚ました導人は時間を確認し、滝のような汗を流していた。

 なんで、なんでぇ・・

 時計は7時40分、電車が行ってしまった、家から学校までは電車で20分だが、田舎のため1時間に3本しか無い、次は8時00分でぎりぎりとなり乗り遅れると遅刻が確定する。


 慌てて起き出し、制服に着替えようとするが服が小さい・・・?

 着れないことはないが、服がピチピチで少し動くと破けそうだ・・・


 そこで、さすがに導人は諦め、母さんに状態を告げて病院に行くことを決めた。


 下に降りると母さんが呆れた感じだったが、違和感を感じたらしく

「あら、導人いきなり背が高くなった?」

「ウンそうなんだ、今朝まで体中が痛くてうめいていたんだけど、やっと落ち着いた」

「一晩で1センチ伸びたとかは聞くけど、伸びすぎよね大丈夫かしら?」

「着れる服がなくて、それと不安だから病院にも行きたい」

「そうねえ、学校には連絡はしておかないとだめね、ちょっと電話してくるわ」

 母さんが玄関に向かう


 とりあえず、テーブルの上にあった朝食を、もそもそと食べ始める。

 ご飯を食べていると、母さんが父さんの服を持ってきた、とりあえずこれでも着ておけとのことだ。


 ちなみに、父さんの身長は178cmある、ふむ、腹・・ウエスト以外はちょうど位?

 母さんに見せると、あら、それなら10cm位伸びたの?と驚いていた、自分でも驚いた・・・


 とりあえず、近くのしもむらと言うチェーン店で服を購入し、ついでに近くにある学生服取り扱いの服屋さんにサイズの在庫を確認してもらう間に病院へ。

 もう痛みとかはないけど違和感はある、そういえば昨日友達と喋っている時身長の話になった記憶がふと頭をよぎる、でもそれだけで10cmも一晩に伸びないよね・・


 総合案内の待合室に座り十分程で、問診票と体温計を持った看護師さんがやってくる、熱を測っている間に症状を伝える、測った体温を記入し奥に戻った看護師さんが再び現れ、CTを撮ってきてくださいと札と窓口を教えてくれた。

 レントゲン室に向かいながら、患者さんて大変だなあとぼやく。


 ここも10分ほどで終了し、ファイルを持って内科待合へ・・すぐに採血のため検査部というところへ移動、やっぱり患者いや病人は大変だ・・・

 採血を終了し、再び内科待合へ・・・

 具合悪くなくても、ヘトヘトになるな・・・


 暫く待つと呼ばれ、やっとかと思ったら中待合というスペースが有った・・・


 5分くらいで呼ばれたがなんだか疲れた・・カーテンで仕切られた診察室へ入ると医師が一人カルテを眺めながらうーんと唸っていた。

「症状を見ると甲状腺異常かと思われるのですが、血液検査の値も異常ないですし一晩に12cmはやはり異常です・・・が映像を見ても異常はないですし・・痛みも今は収まっているのですよね」


「はい、多少違和感はありますけれど痛みはないです」

「急に成長したから違和感は、どうしようもないと思います」

「しばらく様子を見て、異常が出たら再来院してください、念のため痛み止めを出しておきます」

「はい、ありがとうございます」


 診察室を出ながら、結局何も分からないって事か、異常はないみたいだから良いか。


 会計の順番を、ぼうーっと待っているとテレビから「今現在の物理学を含めて科学的領域では、説明できない物があり、何らかの物が作用している」と言っている、どうやっても説明できない差が発生するとの事だ。

 物質に力を加えた時、動き出しや停止時にどうしても説明できない、遅れが発生するらしい。

 D因子と呼んでいるらしい、物質間の磁気モーメントでは説明できないとかなんとか、その現象はダンジョン内で大きくなるようだ。

 中学生に理解できる話ではない・・・


 会計が終わり帰れると思ったら、痛み止めをもらいに調剤薬局へ行くとの母さんの話で、「つい、ごめんなさいと謝ってしまった」病院がこんなに大変だとは思わなかった・・・

 帰り道で、制服を入手できましたと、服屋さんから連絡が入り購入しに立ち寄る。


 今日1日で散財だわと母さんが言い、まあ異常が無かって良かったとも言ってくれた。

 


 

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