異世界での出来事

ポポン田書蔵

S1 惣菜と出会い

いつものように学校をサボって、ゲームして一日を過ごしていたら、日が暮れていた。

パート先から帰っていた母親に夕食の時間だと呼ばれた。

テーブルには母親のパート先のスーパーで売られている、惣菜が皿に盛られ直して並んでいた。

特に話すことはないでの、黙々と夕食を食べ、自室に戻りPCでアニメ配信サイトのアニメを見て過ごした。

日付が変わる頃にアニメを見終え、ベッドの上に転がりスマホを見る。

流行のショート動画サイトを見続けているうに寝ていた。

そして気がついたら、俺は見知らぬ場所にいた。

「ここはどこなんだ?」

見渡す限り草木しかない。

俺の知っている風景ではないし、日本なのか? いやそんなわけないよな。

だってこんな場所は知らないし、それに服装も変わってるんだぜ! 俺が着ている服は、黒のジーンズと白シャツ姿だ。

しかし、今はどう見ても普段着とは思えない服を着ているのだ。

黒いローブみたいなものを身に纏っているんだよ。

しかもフードまで付いているんだぜ。

これってコスプレ衣装かなんかじゃないのか? でも、俺の知り合いにこんな格好をする奴はいないはずだけど……。

まあ考えてもしょうがないよな。

とりあえず移動しようかな。

周りを探索しながら歩いてみることにする。

少し歩くと大きな湖があった。

綺麗な水をたたえた湖だった。

その湖の近くに小さな小屋があることに気づいた。

なんだろうこの家。

誰か住んでいるのだろうか? 扉の前に立つと、勝手にドアノブが回った。

あれ?鍵とかかかっていないの? そのままゆっくりと扉を開くとそこには、一人の少女がいた。

少女といっても10歳ぐらいにしか見えないんだけどね。

栗色の長い髪の少女は椅子に座って本を読んでいるようだ。

俺の方を見ると目を丸くしている。

そりゃそうだよね。

いきなり人が入ってきたんだもん。

俺の方がびっくりだよ。

「えっと……あの……」なんて声をかけたらいいんだろう。

言葉が続かないぞ。

すると少女が立ち上がってこちらにやってきた。

近づいてくる少女の顔をよく見ると、もの凄く可愛かった。

人形みたいに整った顔立ちをしている。

まるでお姫様のような感じの子だ。

少女は俺の前で止まると、じっと見つめてきた。

「貴方誰ですか?」

そう聞かれても困ってしまう。

俺にも分からないからね。

さて、なんて答えようか……

「私は神です」

目の前にいる美少女さんがとんでもない事を言ってきたんですけど!?

「貴方は神様なんですね!」

彼女は嬉しそうな顔をして両手を合わせて喜んでいる。

どうしてそういう結論になったんだろう? そもそも俺は人間だし、普通の高校生だからね。

こんな可愛い子と知り合いになれるなら嬉しいけど、普通ありえないでしょう!

「違うと思いますよ。僕はただの学生ですよ」

俺は正直に自分の事を話すことにした。

信じてもらえるかわからないけどね。

「学生とはなんでしょうか?」

ん?学生を知らないの? それとも日本語の意味が通じていないとか?

「えーっとですね。学校に通っている人のことですかね」

「学校は私も行ったことがありますわ」

学校に行ったことがある? じゃあやっぱり日本人なのかな? でも、あんな綺麗な金髪見たことないしなぁ。

それに肌の色も白いし。

ハーフという可能性も捨てきれないけど、ちょっと信じられないよな。

「失礼します」

俺は彼女の手を取った。

突然の行動に驚いた様子だったが、大人しく手を預けてくれた。

体温が低いのか冷たい手のひらだ。

そして、俺はある事に気づいた。

これはどういうことだ? 彼女の手に脈を感じないんだ。

つまり死人と同じ状態ということなのか?

「どうかしましたか?」

不思議そうに聞いてきた。

どうしたと言われても、この状況で驚かない方がおかしいと思う。

でも、ここで騒いだら彼女が怖がるかもしれないしな。

「ごめんなさい。なんでもありませんよ」

そう言って彼女を安心させるように微笑んでみた。

上手く笑えた自信はないけど。

「それより君の名前は何ていうんだい?」

とりあえず名前を聞こうと思った。

このままでは話が進まないしね。

「私の名はアイリス・ベル」

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異世界での出来事 ポポン田書蔵 @fulameee

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