転職したら、昔助けた3姉妹しかいない会社で、全員とおおおおんでもないヤンデレだった
なるとし
第1話 桐江3姉妹との再会
電車内
金曜日
会社を辞める1番の原因は何がなんでも人間関係である。仕事によるストレスももちろん大きいが、このストレスのほとんどは、人間の言葉によってもたらされたものだ。
かくいう俺も今通っている会社を辞めて転職をしようと考えている。
いわゆるブラックと呼ばれるIT企業で開発者をやっている俺は、振り回される毎日を送っていた。部下たちを丸め込んで自分はこっそりと抜け出して責任を押し付ける有能なふりをする無能な上司、そいつに媚を売って楽する同僚や先輩。そして、丸投げされた挙句、精神を病んでしまい、辞めてしまう人々。
別に俺は、精神を病んでないが、ちょっと疲れた。でも得たものは大きい。3年間この会社で仕事をしたことによって蓄積された知識。
次の職場は、人間関係に悩まされることなく黙々と仕事だけをこなして家に帰れる会社にしよう。そんな会社あるのかな。
まあ、一つ確かなのは会社が変わっても、
俺は一人ぼっちだということ。
「今日は、ちょっと遠回りしようかな」
そう呟いて、俺は家から結構離れた駅に降りる。
X X X
とある駅周辺
「へえ、わりと居酒屋とか結構あるな」
この辺はきたことがないため、初めてみる風景に口を半開きにしたまま周囲を見回していると、
「ちょっと、そこのお嬢ちゃんたち、俺たちと遊ばない?」
「きっと楽しいよ」
「やっべ、めっちゃ美人揃い」
ベタなセリフで美人3人をナンパしようとするチャラ男3人がいた。だけど、3人の美人は視線もくれず、歩調を早める。
だが、彼らは諦めを知らない。
「ちょっとお嬢ちゃんたち、無視するんじゃねーぞ」
「せっかく誘ってるんだから」
「俺たちと遊ぼうよ」
チャラ男3組は3人の美女たちの手首を掴んだ。すると、美女たちは目を細めて放射能廃棄物を見ているかのような視線を彼らに送ってきた。
軽蔑、無視、嫌悪、憎悪といった負の感情が込められた三つの表情。
あの顔を見ていると、15年前の思い出が蘇る。
きっと、あの時の3人も同じ顔をしていた。
はやる気持ちをなんとか落ち着かせた頃には、俺はこの6人の男女の前に立っていた。
そして、3人の美女に向かって、
「お待たせして申し訳ございません。写真撮影の打ち合わせのために、予約してあるカフェにご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
スーツ姿の俺は、手でカフェっぽい建物を指す。
ここにいるナンパ野郎は、時間を持て余していて道ゆく女性にちょっかいを出している。
だから、こっちは仕事をしているから「邪魔しないで」という無言に圧力を掛ければ、彼らが彼女らを引き止める理由がなくなる。しかも美女3人は服装といい見た目といい、すごく美しい。だから撮影という言葉に違和感はないはず。
それでもしつこく絡んできたら、警察沙汰になることくらい、彼らもおそらく理解しているのだろう。
チャラ男たちは「ちっ」と舌打ちして、この場から離れた。
「ふ……」
俺は安堵のため息をついて、3人の美女を見てみる。
長い黒髪に眼鏡をかけている知的なスーツ姿の美人、肩まで届く亜麻色の髪を靡かせ、ちょっとゴスロリチックな黒いワンピース姿の美人、短い金髪が印象的でモデルが着ていそうな高そうなブランド服を着ている美人。
3人ともすごく綺麗で、肌も白いし、端正な顔である。俺と一生縁のなさそうな部類の女性たちだ。それに、巨か爆のつく胸…… いかん!視線が吸い寄せられてしまいそうだけど、我慢しないと。
もうそろそろ潮時だろう。
そう判断した俺は、あの時を思い出しながら彼女らに微笑みをかけた。
その瞬間、風で俺の前髪が上がって、おでこが丸見え状態になる。おそらく、俺の恥ずかしい傷跡が見えてしまったんだろう。
「っ!!!!!!!!!!!!」
「っ!!!!!!!!!!!!」
「っ!!!!!!!!!!!!」
もうこの3人と会うことはないだろう。でも、無事で本当によかった。そう心の中で呟いてから俺は踵を返した。そして軽い足取りでここを去ろうとすると
「ゆうちゃん……」
「ゆう……」
「ゆうにいちゃん……」
彼女らは、震える声で俺の昔のあだ名を口にした。俺は全身に鳥肌が立った状態で、振り返って口を開く。
「まさか……
俺の言葉を聞いた彼女らは、目を潤ませて頷く。そして俺の瞳を穴が開くほど見つめ続けた。
あの時と比べて見違えるほど美しくなった
固まった。
すると、黒髪の眼鏡美人・愛姉が妖艶な表情を浮かべて唇を開く。
「ゆうちゃん……予約してあるカフェ、一緒に行こう」
追記
新作です。
今回は体に気をつけながらゆっくり書いていきます。
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