第11話


沈黙がこわいのでテレビをつけて、俺は間を持たせた。食べてる最中は口数がほんとに少ない。それでもなんか、氷室さん曰く、

「昔、君のこと貧乏ってばかにしててごめん」


「え」


「実は私、雨の日でもバスに乗らない君のこと見下しててたんだ。ほんとごめん...よくそんな私に傘を差し出すとかほんと、君って不思議なひとだね...携帯も持ってないし、ほんとかわいそうって思ってた」


「あー、そうなんだ。ま、俺ん家は

なにを隠そう、貧乏な家だからね。ほら、

見てよ、この殺風景な部屋。

ちなみにそのPUMAジャージだけど、

近所の兄ちゃんにもらったやつなんだよね。

毛玉だらけでごめんね」

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