65 6月23日(木) うわっ、運命は繰り返す
僕は3年前にAPL(急性前骨髄性白血病)で半年ほど入院していたことは、この日記で何度も書いた。
退院後の5年間が経過観察期間で、僕は約3カ月毎に病院に行って血液検査を行ってもらっている。経過はすこぶる良好で、半年ほど前には主治医の岸根医師(仮名)も「もう大丈夫ですよ」と言っていた。そうして、退院後3年が経過したわけだ。
それで、今週の火曜日にも病院でその定期検査があったのだ。
病院の定期検査ではまず受付を済まして、次に2階の採血室に行って採血をしてもらうのだ。ここは総合病院なの1時間もすると採血の検査結果が出る。採血後に待合室で待っていると、採血の結果が出たタイミングで岸根医師が僕の名前を呼んでくれるのだ。
さて今週の火曜日だ。病院に着くと、僕はいつものようにまず最初に採血室に行った。僕は採血はいつも利き腕でない左手にしてもらっている。
僕は夏でも長袖のシャツを着ている。半袖シャツと長袖シャツを使い分けるのは面倒だし、夏でも電車の中などが冷房が効きすぎていることがよくあるので、長袖シャツの方が何かと便利なのだ。暑けりゃ、長袖を折って半袖にすればいいわけだしね。
それで、左手の長袖シャツの袖をめくって、左肘の裏側を出して採血をしてもらった。注射の跡に絆創膏を貼ってもらって、僕は採血室を出た。それから、1階に下りるエスカレーターに向かって歩いた。1階の窓口で保険証を掲示しないといけないのだ。
エスカレーターで1階に下りようとしたときだ。左腕に異変を感じた。いやに生暖かいのだ。こんな感覚は初めてだ。何気なく左腕を見て驚いた。シャツの腕が真っ赤に染まっていた。採血の跡から血が出ているのだ。シャツの左肘の裏から血が垂れて、長袖シャツが手首の先まで真っ赤に染まっている。
僕は急いで採血室に取って返した。女性の看護師さんに左腕を見せて「採血の跡から血が出てきました」って言ったのだ。
女性の看護師さんは僕を採血室の隅に座らせて、僕の左腕の長袖シャツをめくった。肘から手首までの左腕が真っ赤だった。左肘の裏側の採血の跡からは血が吹き出していた。こんなに血を見たのは初めてだった。看護師さんは急いで採血のあとを布で抑えてくれた。
しばらくして、ようやく血が止まった。
それから、看護師さんは血で汚れた僕の腕をハンドタオルのような布で拭いてくれたんだ。長袖シャツの袖も血で真っ赤だったが、オキシドール液を持ってきて、ガーゼに含んで服を拭いてくれた。すると、シャツの血が透明になっていったのだ。オキシドールで血の色が脱色されるなんて、僕は初めて知った。
そういった一連の作業をしながら、看護師さんが「いまは暑いですからねぇ。暑いと血が止まらないので、しばらく注射の跡を押さえておかないといけないんです」と言ったのだ。
僕は「そうですか」と答えたが、何だか釈然としなかった。注射の跡をちゃんと押さえなかったから出血したにしては、血の量が異常に多いと感じたのだ。いくら暑くても、こんなに血が出ることがあるのだろうか?
そのとき、嫌な思いが僕の頭に去来した。白血病が再発し、血液中の血小板が少なくなって、それで血が固まりにくくなっているんじゃないかって・・
僕の不安は当たっていた。それから1時間経って、岸根医師に診察室に呼ばれた。診察室に入ると、岸根医師が僕に開口一番こう言ったのだ。
「悪い知らせです。白血球が正常の1/10まで減少しています。血小板も大きく減少しています。APL(急性前骨髄性白血病)が再発したと思われます」
月並みな表現だが、が~んとショックを受けたよ。眼の前が真っ暗になった。
それから、精密検査をするために骨髄に注射をして骨髄液を採取してもらった。骨髄液の検査結果が木曜に出るので、木曜の昼に結果を聞きに来てもらいたいと岸根医師は言った。
火曜の夜はよく眠れなかった。
しかし、水曜日にはなんとか気持ちを持ち直すことができた。だって、あれこれ考えても仕方がないのだ。ただ、今回がAPL(急性前骨髄性白血病)の再発だとすると、今回治癒しても・・いつ、再再発するか分からないわけだ。これだけが嫌だった。
そして、今日(木曜日)、僕は妻と一緒に病院に検査の結果を聞きに行ったのだ。結果は、APL(急性前骨髄性白血病)の再発かも知れないが、他にも可能性があって、そちらかも知れないということだった。そちらというのは、前回入院時に受けた抗がん剤で正常なDNAが損傷を受けて、それが原因でこうなった可能性も十分あるということだった。APL(急性前骨髄性白血病)の再発と正常なDNAの損傷では治療方法が違うらしい。現在、さらに詳しい検査をしているので、近々、どちらか明らかになるという。
いずれにしても再入院が必要で、急遽、来週の火曜日に入院することになった。岸根医師に聞くと、おそらく骨髄移植が必要で退院までは1年近く掛かるという。
しかし、僕は正常なDNAの損傷でこうなった可能性があるって聞いて、心から安堵したのだ。
だって、APL(急性前骨髄性白血病)という病気は原因が不明なのだ。もし、今回がAPL(急性前骨髄性白血病)の再発だとすると・・さっきも書いたように、治癒して退院しても、再再発があり得るわけなのだ。これからは、いつ再再発するかとビクビクしながら暮らさないといけない。しかし、正常なDNAの損傷ならばある程度の確率で起こることだ。例えは悪いが、一過性の交通事故のようなもので、再再発の可能性は少ないわけだ。
それで、今日のよかったことは、正常なDNAの損傷の可能性が出てきたこと。
ということで、急遽、来週から1年ほど入院することになった。
こう書くと、皆様は「うわ~。大変」と思われるだろうが、本人(僕のことです)は至って気楽なものなのだ。自覚症状も何もない。この文章も実はお酒を飲みながら書いている。それに僕はたぶん正常なDNAの損傷ではないかなと思っている。そうなると、重複するが一過性の交通事故のようなもので、あわてても仕方がないのだ。正常なDNAの損傷の可能性が出てきて、本当に気が楽になったというわけなのだ。
で、入院中もカクヨムが続けられたらいいんだけど・・あいにく、病院ではPCのネットが繋がらないんだ。これはおそらく病院の各種電子機器に影響を及ぼさないようにという配慮からだろう。僕はいつもPCで駄作を書いている。PC以外では書けないのだ。だから、入院中に駄作を書くのはちょっと難しいなあ。
だけど、スマホのネットはつながるので、皆様の作品を読むことはできる。
いただいた応援コメントも読むことはできるが・・・お返事は頑張ってみるけど、さっき言った理由で難しいなあ。少なくとも間違いなくお返事できるという状態ではなくなってしまった。
そして、いま、骨髄移植は若いお姉さんが提供してくれた骨髄に当たればいいな・・と僕はこの駄文を書きながら密かに考えているのだ。若いお姉さんというのは、もちろんカクヨムでいつも僕を応援してくださっている、ピチピチのBBAのお姉さんたちと同じ人たちのことだ。あっ、BBAというのは「ベリー ビューティフル 艶姿」の意味だよ。ひょっとしたら・・あなたは別の意味を考えたのかな(笑)。
しかし、骨髄移植で若いお姉さんの身体の一部が僕の身体になるって・・なんかドキドキするね。小説だと、そのお姉さんの身体の一部が意思を持っていて、やがて、僕の頭にお姉さんの声がするようになって・・お姉さんが少しずつ僕の身体を侵食していって・・そして、僕はお姉さんに取り替わられていく・・という話が頭に浮かぶのだ。若いピチピチのお姉さんに身体を乗っ取られるって・・なんだか素敵。もう、お姉さんの自由にして・・こうして僕の身体がオンナになっていくのだ。
それに加えて・・と僕は思うのだ。この病院の血液内科は女性の看護師さんばかりだ。ただでさえ女性化している僕の身体が、この入院でますます女性化して・・退院するときは身も心もオンナになってるかもしれないなあ。
ということは、骨髄移植でも入院生活でも、僕はオンナになっていくってことだ。
女性の読者の皆様、退院した暁には僕を女性のお仲間に入れてくださいね・・
〔女性の皆様:誰が入れたるかい。ボケ!〕
がび~ん。
ここでいつものように口調が変わります。
ということで、当面は長期入院で書くことができなくなりました。このため、読み専になります。いただいたコメントを読むことはできますが、お返事はなかなか難しいかもしれません。この点、ご容赦いただけたらと思います。これ、昨日の近況ノートにも追伸で入れておきました。
それから、少しはがっかりしてるけど・・それほど落ち込んでるってわけでもないので、どうかお気にされないようにしてくださいね。悪いことがあれば、必ずいいこともありますから・・僕の駄作の中には、なんと不幸と幸運は半々に訪れるっていう作品もあるんですよ。僕は女子トイレの話や、女性のお風呂でのおしっこの話ばかりを書いているのではありまっしぇ~ん。真面目な話も書いているのです。URLを最後に示しますね。
ではでは。。今後ともよろしくお願いいたしま~す。
入院まで二、三日あるから、この日記はその間は続けるよぉぉ。再入院でますます張り切る僕です!
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ご紹介した駄作です。あんまり面白くないと思うけど、よかったら読んでみてね。
常寂光寺の恋
https://kakuyomu.jp/works/16816927861463236207
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