白
Tsuji
1 能面を被った医師
都内のとある病院に勤めている医師がいた。その医師の名前は六角靖といった。
彼の両親はどちらも医者であり、そのおかげで彼は幼少期から英才教育を受けることができた。その甲斐あってか難関中学に合格、その後首席で理科三類こと東京大学医学部に合格した彼は、医師国家試験にも難なく合格し人柄が良く周りからの評判が良く、今や病院の院長になっている。
しかし実を言えば彼は他人から見れば華々しい人生に疲弊していた。周囲から期待されすぎるが故のことだった。
また彼には結婚して五年になる妻がいた。しかし仕事を優先する六角とは最近は意見が食い違い、夫婦関係が冷めきっていた。そして今日も妻の機嫌をどうしたものかと考えながら帰路についていた。
いつものように自家用車に乗り、家へと帰る六角。人に溢れた繁華街、飲み会に向かうサラリーマン達、若さを謳歌する学生たち。それらすべてが彼の目には無機質な物のように映った。
山の近くに六角の家はあった。なんせ都市近辺では騒がしすぎてまともに生活なんかできやしないからと彼の豪邸を建てるときに妻に熱心に言っていた。
家の扉を開け、少し間を開けたあとに
「ただいま」
と言った。もちろん返事はあるはずがなかった。靴を脱いで、厚手のコートを脱ぎ、今日こそは言うんだと心のうちに秘めながらリビングに向かう。
意を決してリビングの扉を開ける。妻はソファに座ってテレビを見ていた。
「おかえりくらい言ってくれてもいいと思うんだけどなあ...」
「...誰が望んでこうなったと思ってるんですか。あんたのせいでしょ!いつも仕事仕事仕事ばっかりで私のことはほったらかし。」
「そ、それはすまなかった。」
「すまなかったってもう何回も聞いたわよ!もういいです。今日という今日は本当に出ていきます。」
「ちょ、ちょっと待てよ!」六角は妻の服を掴んだ。
「やめて放して!」と妻は六角の手を引き剥がそうとした。
引き剥がされそうになったので少し力が入ってしまった、力が入ってしまっただけなのだ。ほんとにただそれだけだったのだ。
”””ゴン”””
鈍い音と共に何かが倒れた。「自分は何をしたのだ」そんなことを考えているとその何かから赤黒い液体が流れてきたのだった。
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作者のTsujiです。僕自身初めての小説なので誤字・脱字があれば指摘していただけると幸いです!語彙力も乏しいので文がおかしいかもしれないので、アドバイスなどを頂ければ幸いです。これから何卒よろしくお願いします!
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