呪いの鐘撞堂(かねつきどう)
甲路フヨミ
廃寺の怪異、事の始まり
「……お化け、だって?」
隣国
彼を童顔に見せている、いつも元気にくるくると動く大きく丸い眼が、急に光を失ったかに見える。
「ああ。去年
知らなかっただろうと得意げに言って、同二番隊長の
ぱっと、あでやかな光が動く。
派手好きな真咲の今日のいでたちは、水面を
太陽はちょうど中天を過ぎ、長屋裏手の
怪談話には今一つ雰囲気がそぐわない。
「その、かねつきじじいって、なんだい?」
「ああ。本堂に入ってきたヤツに、自分の代わりに寺の鐘を
「で、
「殺される。
「わはははは!」
新九郎がわざとらしい笑い声を上げた。
「どこにでもある話じゃないか。くだらねー」
「ははは、そうだよな、くだらねえ。で、ご城主
「あ。いや……俺はちょっと。明日は朝から本丸に呼ばれてるし……」
「ああん? 馬鹿野郎! 明日のことなんざくよくよ考えてんじゃねえよ! 怪異が
「んな無茶な! 俺はお化けには会いたくない!」
言い合う二人に、部屋にいた三人目の武人、長柄足軽一番隊長、
「ったく、
「それがまた……聞いて
「なんなんだよ」
「
「先の
凌介の言葉に、ごくっ、と
「その
「それはなかなかいい案だな」
「普通そうするだろ」
「だが答えは否だ。
「解った。じゃ、
「おいおいおいおい! こんだけ
「はあ?
「ざけんな! 城下の
「なんで俺が……」
不機嫌そうに答えた凌介に、新九郎が妙に明るい声を上げる。
「いや、三人いれば心強い! お化けなんか、いないかもしれないしな!
すがるような
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