学生合宿

 いいな〜 学生

 いいな〜 インカレ


 自転車の「インカレ」って?

「全日本大学対抗選手権自転車競技」

 大学対抗の選手権争奪戦!


 トラックレースの様々な種目と個人ロードレース、個々の順位で与えられる点数を所属大学別に合計し、最も高得点の大学が選手権獲得校となる。


 大学によっても違うと思うけれど、大学の自転車競技部で頑張っている選手達は、ここを一年間の中で一番の目標にしている選手は多いんじゃないかな。

 総合優勝を狙っている伝統校にとっては、学校やOB達の期待も大きく、選手達に掛かるプレッシャーも大きいと思う。


 今年は9月1日~4日、鹿児島県で行われる。

 最終日の4日に行われるロードレースに出場する学生達が、8月に入って長期合宿に来てくれたんだ。

 その大半は総合優勝を狙ってる伝統校の選手だ!

 大学3年生と2年生。2003年生まれなんて、ついこの前生まれたばっかじゃね?

 自分に子供がいたとしたら、その子より歳下でしょ。


 いっぱい走って、食べて、寝て。

 おい、おい、そんなに走って大丈夫かよ? って位、頑張って走ってた。

 そういう頑張りを見てると、すごく応援したくなる。

 彼らのトレーニングのアップとかリカバリーの日とか一緒に走っちゃったりすると、もうお客様って感じじゃなくなっちゃうんだよね。


 俺は一人で走るのも好きだけど、列車に乗せてもらって走るのがすごく好きなんだ。

 自転車を走らせるのに一番の敵となるのが空気抵抗。一人で走ると全部一人で空気を切り裂いていかないとならないんだけど、何人かで先頭を交代しながら走れば、後ろに付いてる人は空気抵抗がすごく小さくなる。


 メンバーが一列棒状になって走る事を「トレインを組む」とか「列車」って言うんだ。

 俺は先頭交代には加わらずに最後尾に無賃乗車。

 付いていくだけなら、自分では絶対出せないスピードで走れるし、余裕を持って走れてる時は最高に気持ちいい。

 もういっぱいいっぱいでも、付いていけちゃってる時は、めちゃくちゃキツいんだけど快感でもある。

 最高にいい練習だ!

 綺麗な列車だと、スーって吸い込まれるように走れちゃって、これが自転車の醍醐味でもあるなって思う。


 普通はさ、綺麗な列車に乗らせてもらう体験なんて中々できないけど、俺はここにやってきてくれる選手達と、こういう体験が出来たりする事が、すっごく幸せだなって思う。


 こんな事、いつまで一緒に出来るのかな? 

 本当はもっと付いていけて、一緒に練習できて、食べて寝て回復していっぱい走れたら最高だけど、そしたら仕事そっちのけになっちゃうな。それはそれで危険だ。

 今の俺にとって、ヒルクライムレースを走るってのは一つの大きなモチベーションになってるけれど、こうやって、ここに来てくれる人達と一緒に走りたいってのもすごく大きなモチベーションになってるんだ。

 今回も心身共にいい刺激入れさせてもらったから、月末の乗鞍ヒルクライムに向けて頑張るぜ!


 わが家のワンコの「ぷっちーの」も皆にすごく可愛いがってもらっちゃったね。

 嬉ションしちゃったり、飛び付いたり肩に乗っかったり、ごめんなさいも多かったけどさ。

 昨夜は、明日もう皆が帰っちゃうって事が分かっていたんだろうな。皆が部屋に戻っても、そっちに行きたくて仕方ないようにドアをカリカリカリカリやって、キューキュー鳴いて、あっちこっち忙しなく走り回って、こんな狂ったような感じになるのは初めてだった。

 仕方ないだろ? ここに来てくれる人達が帰らなかったら、次々来てくれる人でペンションが溢れかえっちゃうだろ?



 で、インカレについてだ。


 俺が学生の頃は女子はオープンレースみたいな感じで、大学対抗戦とは関係なかった。今では女子は女子で総合成績がちゃんと付くようになってるけどな。


 うちの大学は総合上位を狙えるような力は無かったけど、インカレに向けては皆の士気は高かった。

 俺も男子のサポートを一生懸命やったし、総合成績に関係なくても男子部員は俺のサポートをしっかりやってくれた。

 でもやっぱり、自分のレースを頑張ってもチームの成績に貢献できないし、女子はオマケレースみたいだったのは寂しかったな。


 大学チームって、プロチームとは違って、将来の目標とか自転車に懸ける情熱とか、個人個人で違うし、インカレに向けての意欲もマチマチだと思うんだ。


 本当は部活よりも就活に力を注ぎたい選手だっている。

 正直あまり乗れてなくて自分自身の成績は望めないけれど、ここからインカレまでは自転車に集中して、少しでも上位を狙える選手の役に立ちたいという一人の選手の声を聞いた。


 みんなで力を合わせて、何かに向かうっていうのはいいな。

 このメンバーで、このインカレを走れるのは一度きり。

 その挑戦を思い切り楽しんでほしい。


 ここではこれだけの事をやった。

 彼らにはこの先のプランもきちんとある。

 体調を崩す事なく、本番に向けてしっかりと調子を上げていって、悔いなきレースをしてきてほしい。


 自分達の力をしっかりと出せれば、それで良いって思うけど、彼らが求めているのは結果だから、俺も彼らが求めている物を求めるよ。


 9月4日はどこかでライブ放映やってくれたらいいんだけどな。すっごく楽しみだ。

 目一杯、応援してるぜ〜!


 勿論、彼らだけじゃなくて、自分の母校や出場する全ての選手達が、持っている力をしっかり発揮できて、素晴らしいレースになる事を願ってるぜ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る