【ネタバレ】第一部の要約

(Episode 1)

 ゼノはヒトに寄生することで特殊能力を与え、また宿主を操り人を喰う怪物に変えてしまう小さな地球外生物エイリアンだった。


 少年トキワと幼なじみの少女ハネズは山林で、「蛇の被寄生者ハックド」と「翼の生えた少女」に襲われた。それによりハネズが重症を負ってしまう。


 その一部始終を見ていたのは、ゼノであるキュリオだった。トキワはキュリオを体内に宿し、音波により攻撃する特殊能力を得る。トキワが身を挺してハネズをかばう様を見ると、「蛇の被寄生者ハックド」は何か思うところがあったのか撤退した。そして「翼の生えた少女」も文句を言いつつそれに続いて去っていった。


(Episode 2)

 トキワはキュリオの提案で、ゼノのメドリーを呼び出しハネズに寄生させた。トキワはゼノを介して蓄力エナジーと呼ばれる力を分け与えることにより、重症を負ったハネズの生命維持をする。


 そこへ、ゼノ被寄生者ハックドを捕縛する組織、駆除班アビスの隊員たちがやってくる。トキワとハネズは駆除班アビスの保護、監視下に入ることとなった。


(Episode 3)

 駆除班アビス本部にて身体検査を受けたトキワは、寮舎に移動する廊下で職員がゼノに寄生される様を目撃する。警報が鳴り駆除班アビスの兵士がやってくるものの、兵士たちはかつての同僚との戦闘を躊躇っていた。


 トキワは音波の力によって被寄生者ハックドの体内に存在するゼノのみをピンポイントで攻撃し、職員を救出することに成功する。


 その様子を見た駆除班アビス日本支部の支部長はトキワに対し、駆除班アビスに特設された被寄生者ハックド部隊へ勧誘する。


(Episode 4)

 夜のことだった。トキワの部屋へ、帽子を被った短髪の少女ルリと浅黒い肌にドレッドヘアの男ガイラがやってきた。2人はトキワが勧誘された被寄生者ハックド部隊のメンバーであると自己紹介する。


 ルリは熱心に、トキワを被寄生者ハックド部隊へと勧誘する。しかし、ガイラはまだ若いトキワが危険な戦いに参加することをあまり良く思っていなかった。


 話の流れで、ガイラが「蛇の被寄生者ハックド」ことシズミと知り合いだったことが判明する。シズミは心優しい少年だったが、ある時期を境に人を喰うようになってしまったとのことだった。


 またガイラは、トキワがシズミに襲われたものの、見逃されたことを聞いた。するとガイラは、トキワに「蛇の被寄生者ハックド」ことシズミの凶行を止める可能性を見出す。ガイラは態度を改め、トキワへ戦いに協力するように頼み込んだ。


 そして翌朝、トキワは駆除班アビス被寄生者ハックド部隊に加入申請をした。

 その折にトキワは上司である男、ヘイム=ブロルフェルドを紹介される。しかし、ヘイムはぶっきらぼうな挨拶だけを済ませると、さっさと部屋を退出していってしまった。


(Episode 5)

 トキワはガイラ、ヘイムと共に街に潜伏するゼノを駆除する任務に当たっていた。


 休憩時間でヘイムは、トキワが駆除班アビスによって銀の首輪エインヘリヤルを装着させられていることへ言及する。それは被寄生者ハックドの位置を特定するGPSが内蔵されており、さらに不穏な動きを見せれば爆殺、あるは毒殺できる首輪だった。


 ヘイムは駆除班アビスでの戦いが厳しいものであるとトキワに諭す。しかしトキワは、死ぬことよりもハネズが傷つくことのほうが怖い、と心情を吐露するのだった。


 ゼノ駆除の任務を再開すると、大量のゼノに3人は包囲されてしまう。しかしヘイムは大剣で、大量のゼノを一瞬のうちに蹴散らした。逃げたゼノが近くにいた子どもを人質に取るが、トキワは音波攻撃でゼノだけを攻撃し子どもを救出する。


 戦いのあと、感謝を伝えられたヘイムは「助けた覚えはない」と憎まれ口を叩く。しかしその後で「俺はいつでも誰が相手でもお前を助けられるほど、強くないんだ」と漏らすのだった。


 そこで、ヘイムに連絡が入る。ハネズが、駆除班アビスへの入隊を志願したのだ。


(Episode 6)

 駆除班アビスに入ったハネズは、ゼノ駆除の集合場所へトキワがやってくるまでの間、ルリと雑談をしていた。「トキワへ抱いている感情が『好き』なのかどうかわからない」というハネズに対し、ルリはその感情が何であれ「これまで貰ったぶん、お返しすればいい」だけであるため悩む必要は無いとした。 


 ゼノの駆除作業を行う3人だったが、背広にメガネの男、ロイがやってきた。


 ──2年前。母神マザーがソ連、日本、インド洋の海上、そしてアフリカの小国、アイリス王国に落下し、ゼノを撒き散らした。

 さらに、母神マザーには通常兵器の効果が薄かった。ソ連のものは人気のない山間部にあったため核兵器により破壊したものの、日本の母神マザーは都市部へ落ちたため、周辺を封鎖することとなった。


 そしてロイが言うところには、ゼノ被寄生者ハックドの増加および進化によって駆除班アビスが手一杯になっているとのことだった。さらにロイは、もう一つの事実を明かす。


 それは、駆除班アビスに「寄生生物に溢れたこの街に、核を落とす計画がある」というものだった。


(Episode 7)

 ロイの親友は、核兵器投下計画を知ってしまったため駆除班アビスに殺されていた。


 ロイの目的は、先んじて被寄生者ハックドを街の外へ流出させることで核兵器投下計画を無駄なものにし、親友を殺した駆除班アビスへの「嫌がらせ」を行うことだった。


 そこでロイは、被寄生者ハックドであるトキワ、ハネズ、ルリに対して街の外へ出ることを提案する。


 しかし、ゼノを生み出す大元である母神マザーを倒せば核兵器を投下する必要は無くなるとトキワたちは反論する。ロイは母神に勝つのは不可能であるとするが、3人はなお誘いを拒否し、交渉は決裂する。


 すると。ロイは赤い蝋を生み出す能力でトキワを捕獲し街の外へ連れて行こうと試みた。だが、ルリは蜘蛛のように変質した姿をさらけ出して応戦しロイを追い返す。


(Episode 8)

 トキワとガイラは蓄力エナジー反応を頼りに被寄生者ハックド捜索をしていくと、排他的な住人によりバリケードが築かれた地域へ行き当たった。そこで、追われていた被寄生者ハックドの男の子、ザクロと出会う。


「薬屋を探しに来た」と言うザクロは、突如として血を吐き出す。しかし、やってきた「お兄ちゃん」を見て安堵の表情を浮かべる。トキワとガイラはその「お兄ちゃん」の姿を見て驚愕した。


 やってきたザクロの兄は、トキワを襲った「蛇の被寄生者ハックド」こと、シズミだった。


(Episode 9)

 血を吐き出したザクロだったが、トキワがハネズにやっていたように、シズミはザクロの手を握り蓄力エナジーを分け与えることで生命維持をする。


 そこへバリケードの街の住人がやってきて、トキワ、ガイラ、シズミ、ザクロを銃撃する。しかし被寄生者ハックドである4人にとって、蓄力エナジーのこもっていない銃による傷は致命傷とはならなかった。


 シズミはザクロへ攻撃した住人たちを殺害しようとするが、トキワが割って入って阻止する。さらに、トキワはザクロを駆除班アビスの保護下に置くことを提案する。


 そこへシズミの協力者、「翼の生えた少女」ミアが現れた。ミアはシズミに対し、駆除班アビスがシズミの罪を赦すことはなく、たとえザクロが保護してもらえたとしてもシズミは海上監獄ラストリゾート送りとなり兄弟はバラバラになると説く。それを聞いたザクロが兄と離れたくないと泣き始める。


 そこでシズミはザクロに対し、「ザクロを守るのは俺だ」と言って聞かせるのだった。トキワは、ハネズを守ることを決意して駆除班アビスへ入ったときのことを思い出す。


 シズミはトキワとガイラに対し、ザクロを助けてくれたことに礼を言ってその場を後にする。トキワが去りゆくザクロへ人を殺す兄と殺さない兄、どっちがいいかと訊ねると、ザクロは「人をころさない兄ちゃんがいい」と返す。それを聞いたシズミは、葛藤するのだった。


(Episode 10)

 駆除班アビスの報告が入り、ヘイムはトキワとハネズを連れてロイが目撃された廃駅へ向かう。


 駅前では駆除班アビスを快く思わない人々がデモを行っていた。ヘイムは違和感を感じ、トキワとハネズを先に廃駅へ向かわせる。


 トキワとハネズは難なくロイを発見した。ロイは能力によって蝋で出来た爆弾列車を作り出しており、蓄力エナジーを注入しているところだった。


 ロイはトキワとハネズに対して爆弾列車を止められるかどうかの勝負を挑む。


 トキワとハネズは交戦するが、歯が立たない。ロイはトキワに対し「自分に負けているようでは母神マザーには勝てない」「今からでも隔離領域アイソレーションエリアからの脱出に協力しろ」と伝えていたぶるが、トキワは頑なに拒否する。


 踏みつけにされるトキワを見て、ハネズは激昂する。感情が蓄力エナジーを増幅させ、ハネズは肉体を変異させていく。


(Episode 11)

 駅前には、何者かによってゼノの卵鞘が持ち込まれていた。ヘイムは、反被寄生者ハックド団体の人々に罵倒されながらそれを駆除する。


 駅構内では、ハネズが怒りによって乖離度レベル2になったことにより猫耳と尻尾が生えた。ロイはなおも、トキワの顔面を蹴り上げハネズを挑発した。


 ハネズはロイを蹴りと寄生錨アンカーと呼ばれる鉤爪の付いた触手で圧倒し、さらには怒りに任せてロイを殴打する。

 トキワは我を忘れるハネズを、ロイから引き剥がして鎮めるのだった。


 そこへ、駅前のゼノを駆除し終えたヘイムが到着した。


(Episode 12)

 ヘイムはロイを追い詰めるが、ロイは駅2階から駅前広場へ転落し、反被寄生者ハックド団体へ「被寄生者ハックド駆除班アビスはグルだ」と叫ぶ。


 3人は誤解を解くため反被寄生者ハックド団体と話し合おうとするが、爆弾列車が起動し、それの対処に追われたことで反被寄生者ハックド団体との対話の機会は失われたまま任務は終了し、トキワとハネズは以前暮らしていた仮設住宅へ戻ることとなった。


(Episode 13)

 単独で任務を行うトキワは、山林で幼い少女を救助していた。そこへ有翼の少女ミアが現れる。彼女曰く、シズミは弟に「人をころさない兄ちゃんがいい」と言われてしまったことにより、新たな目的を母神マザーを殺しにしたとのことだった。


 ミアは未だ得体が知れないものの、トキワは彼女とシズミによる「次に母神マザーが休眠から復活する際に、母神マザー殺しを行う」作戦に乗る。


(Episode 14)

 駆除班アビスは、ロイの起こした騒ぎによって過激化した反駆除班アビス団体による妨害で任務が行なえない状態になっていた。


 ある日、ヘイムたち隊員に隔離領域アイソレーションエリアの外への退却が命じられる。ロイの言っていた核兵器投下作戦が実行されようとしていた。


 ヘイムによりそれを伝えられたガイラは、トキワとハネズを連れ母神マザーを討伐することで核兵器投下作戦を中止させようとする。そこへ母神マザー蓄力エナジーを狙うシズミとミアが合流し、5人の被寄生者ハックドによる母神マザー討伐作戦が開始した。


(Episode 15)

 母神マザーの身体の中心にあるコアを破壊するべく、5人が戦う。巨大な棘と破壊光線、音波攻撃による圧倒的な母神マザーの戦力に5人は翻弄され、ついにトキワが巨大な棘に貫かれそうになる。


 それを庇ったのは、シズミだった。我を忘れて弟の前で人を殺しそうになった際にトキワがそれを阻止したことの「借りを返した」と言い、シズミは倒れる。


(Episode 16)

 死にかけたシズミに、ミアは語りかける。


 ミアの目的は母神マザーを殺し、隔離領域アイソレーションエリアから出るための蓄力エナジーを得ることだった。


 そこでミアはゼノ、ルードと手を組んでシズミの弟ザクロを半殺しにし、シズミに対して「人を殺して蓄力エナジーを集めればザクロは助かる」と吹き込み、ルードを寄生させ蓄力エナジーを集めるよう仕向けていたのだった。


 ダメ押しにミアはザクロの死体を晒し、シズミを激昂させる。強い感情で蓄力エナジーが増幅し傷が治ったところでミアが合図を下す。シズミの脳はゼノ、ルードによって乗っ取られた。


(Episode 17)

 ルードの力は凄まじく、母神マザーへは大きなダメージが与えられた。


 しかし弟の仇であるルードに乗っ取られ身体が壊れるのもお構いなしに扱われるシズミを、トキワたちは解放しようと試みる。しかしミアに阻まれる。


 さらに、パトロール中だったルリから救援を求める通信が来る。トキワはハネズに救援へ向かうよう頼むのだった。


(Episode 18)

 トキワは依然として上空から一方的に攻撃してくるミアに阻まれ、ルードのもとへたどり着けなかった。


 しかしトキワはミアの羽根攻撃『アエロ』を音波攻撃『スクリーム』で迎撃できることに気づき、ガイラにある作戦を持ちかける。


 一方ハネズはルリの救援へ向かう。そこには乖離度レベル3の被寄生者ハックドとなり巨大な蜘蛛と化したルリがいた。


(Episode 19)

 ルリは暴走し、人の多い市街地を目指す。ハネズはそれを止めようとするが歯が立たない。


 その上、ロイが乱入しルリの進撃を手助けする。ルリが暴走した原因はロイによって狂化弾イグナイターという薬品を投与されたことだった。ロイは、隔離領域アイソレーションエリアの外へ被寄生者ハックドを漏出させることを諦めていなかったのだ。


 2対1の構図となるかと思われた矢先、撤退を命じられたはずのヘイムが救援に駆けつける。


 ヘイムはロイをハネズに任せ単独でルリを相手する。しかしハネズが肩に深手を負ったことに気を取られた僅かな隙を突かれ、乖離度レベル3の圧倒的なパワーによって大剣が折られてしまう。


(Episode 20)

 ガイラは能力で作った蔓をトキワに巻き付け、それをハンマー投げの要領でぶん投げた。さらに空中に飛び出したトキワが食虫植物を使ってミアを捕獲することに成功する。


 トキワは拘束したミアを人質に取り、ルードへシズミの肉体を解放するように命令する。かくしてシズミは正気を取り戻すのだった。


 シズミとミアを拘束したが、母神マザーは依然として倒せない。それどころか唯一の弱点であったはずのコアが増殖を始めた。


(Episode 21)

 ヘイムは丸腰となったが、戦意を喪失することはなかった。死にものぐるいでロイに組み付き、蓄力筒エナジータンクから伸びるコードを巻きつける。更に蓄力筒エナジータンクに穴を開けると、暴走するルリがその蓄力エナジーをめがけてとびかかってロイを脚で貫いた。


 蓄力筒エナジータンクごと喰われそうになるロイをハネズが蹴り飛ばし、ロイは戦闘不能となった。


 そこへヘイムの後輩たちが救援に駆けつけた。このままハネズが母神マザーのもとへ戻りヘイムは退却、と思いきゃヘイムはハネズにひとつ頼みごとをする。


(Episode 22)

 母神マザーの防御力は固く、トキワたちは有効打を与えられないまま核兵器投下のタイムリミットが迫る。


 そこへ、ハネズとそれに引きずられるヘイムがやってきた。


 ヘイムがトキワにひとつ提案をする。それは「自分の身体を丸呑みし、その蓄力エナジーを使って母神マザーを倒せ」というものだった。


(Episode 23)

 トキワのゼノ、キュリオはヘイムを飲み込んだ。しかし急激に流れ出す蓄力エナジーに慣れるのには時間が必要だった。


 そのとき、母神マザーは核兵器投下を察知したのか地面へと潜り始める。ハネズとガイラは母神マザーを引っ張り出すが、攻撃を受けてしまう。


 それを見たトキワは「仲間を守りたい」と心から願い乖離度レベル2に覚醒する。そして母神マザーを焼き尽くす高威力の『スクリーム』を放つのだった。


(Episode 24)

 母神マザーのコアは残り1つとなった。肉によって覆われるコアを破壊すべく、トキワは再生しつつある母神マザーの体内へ飛び込む。


 母神マザーの体内に飛び込んだトキワは声を聞く。母神マザーが脳内へ語りかけていたのだった。


 母神マザーの目的は強い被寄生者ハックドをおびき寄せ、それを乗っ取ることだった。母神マザーはトキワへ寄生錨アンカーを突き刺し寄生することを試みる。しかしトキワの体内にいるキュリオによって反撃を受ける。


 トキワはその隙を突いて、母神マザーのコアを破壊するのだった。


(Episode 25)

 崩落する母神マザーの肉は強い熱を帯び、トキワは焼き殺されそうになる。


 痛みと熱に意識を失いつつあったトキワは、ハネズによって救出された。溶け出す母神の肉の海の真ん中、ガイラが蔓で作った安全地帯の上でトキワはヘイムを吐き出す。


 母神マザーの崩壊によって、核兵器投下作戦は阻止された。


 戦いを終えたトキワ、ハネズ、ヘイムは霊園へ向かい母神マザーに殺された人々へ挨拶を済ませる。次に戦うのはインド洋の真ん中にいる母神マザーであり、その舞台となるのは海上監獄ラストリゾートと呼ばれる施設だった。

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