27話 義姉をわからせる!
前回までのあらすじ。スピッツ(※監禁)。
「……ちゃー。好き……好き……♡」
ベッドルームににて、私は上裸になった姉、アーネ氏に馬乗りになられている。
「あ、姉上……」
「……ちゅ……♡ んちゅ……♡」
アーネ氏は私の首筋にキスをしてくる。ちゅー、と吸い付いてくる。何度も何度も繰り返す。私は特に拘束されてるわけではないので、脱出は可能。ただしおなかの上のアーネ氏をどける必要があった。
「……えへへ♡ マーキング……しちゃった♡」
やたらと私の首筋にちゅっちゅしていたのは、痕跡をつけたかったのだろう。
「……ちゃーに、いっぱい、ワタシを刻みつける。ワタシにも……いっぱい、つけて……♡ ちゃーの、女だって……証明……♡」
アーネ氏が少し下がって、私のズボンをズリ下げようとする。ここで無理にどけることは可能だ。だが……アーネ氏は非常に繊細だ。私が拒めば、ほかの子たち以上に心を傷つけてしまう。
と、そのときだった。
ぴんぽーん……♪
「…………」
アーネ氏がズボンをズリ下げて……。
ぴんぽんぴんぽんぴんぽーーーーーーーーーーーーーん♪
「……うざ」
アーネ氏は立ち上がって、私を見下ろす。
「……ちゃー、待っててね。ちょっと見てくる」
セーターを身につけてアーネ氏が部屋を出ていく。私は、ぐったりとしていた。たいへんだったこれがずっと続くのか……。
「……これからどうすれば」
私はズボンのポケットをあさる。当然のようにスマホは没収されていた。財布も消えている。……お金もスマホもない状態で、ここから抜け出して家に帰還することは、不可能だろう。
これから……どうするか。私は考える。この部屋でアーネ氏とずっと二人きり。それは……いいことなのかもしれない。
「もうこれ以上……ほかのヒロインを傷つけずに済む……私一人が、ここにいれば……」
……だがそれは、果たして誠の幸せなのだろうか。私は主人公としての役割を与えられている。誰も傷つけることもせず、部屋にこもる……それは果たして主人公といえるのか。
もっと言えば、私を慕ってくれる、マイやナジミ、ママコ氏たちを……放置していいのだろうか。私はどうするのが正解なのか……。
「……やたら帰ってくるのが遅いな」
アーネ氏の様子が気になって、私はベッドルームを出て行く。
インターホンの前でアーネ氏が何か話していた。
「……かえってお母さん」
「! ご、ご母堂……!?」
インターホンの画面に映っていたのは、私たちの母、ママコ氏であった。どうしてここが……?
『アーネちゃん、ちゃーちゃんを解放しなさい』
「……いや。ちゃーはワタシと死ぬまでここにいるの」
『ちゃーちゃんの意思は?それはちゃーちゃんがのぞいんでいることなの?』
……再び、突きつけられる。私の望み。ここで誰にも会わずに引きこもることが、私の……したいのことなのだろうか?
『監禁するみたいなマネはやめなさい。ちゃーちゃんを解放して』
「……うざい」
ぎり、とアーネ氏が歯がみする。うつむいて、その目には、明確な敵意が浮かんでいた。
「……ちゃーはワタシの! ワタシからちゃーを取り上げるのなら、ままでも許さないから」
がちゃん! とアーネ氏がインターホンを切る。ふら……と彼女が台所へと向かう。
しゃがみ込んで、棚をあさっている。
「な、何をしているのだ姉上!」
「……ちゃーには関係ない」
……台所をあさる。そして、その手には……包丁。
どくん! と心臓が嫌なはねかたをする。アーネ氏は包丁で何をするつもりだ? まさか……まさか、ママコ氏に……。
「……めだ」
私は……。
「だめだ!」
アーネ氏に近づいて、後ろから抱きしめる。
「ちゃー! 離して!」
「だめである! それは……だめだ!」
「……ちゃーまで否定するの!?」
「違う! 話を聞いてくれ!」
「嫌!」
彼女が抵抗する。刃物を持っている。くそ! このままじゃ……アーネ氏が、この包丁を使って、ママコ氏を傷つける。
それは、嫌だ。嫌だ。そうだ、嫌なんだ!
私は……誰も傷つけたくない。ヒロインが好きだ! 愛してる!
誰もが幸せであってほしい! その輪の中に、私もいれてほしい!
でもこのままじゃだめなんだ。彼女が包丁を使って、ママコ氏に何をするのかわからない! でも確実に傷つけることになる。それはだめだ! だから!
「アーネ!」
私は彼女の腕を強めにつかんで、地面に押しつける。
……私は、覚悟を決めた。今までは、事故的に使っていた、この力。
でも今は、違う。私は自分の意思で使う。
「ちゃー……んん!??」
私は、アーネ氏の唇に自分の唇を重ねる。驚く彼女をすぐ目の前にしながら、言う。
「スキル……発動!【
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ママコ視点
GPS情報を元に、わたしはちゃーちゃんの居場所を突き止めた。
見覚えのあるマンション。彼女がここを買うときに、わたしは保証人とし手、契約書にサインをしたことがあった。だからどこの部屋にあるのか知っていた。
わたしは娘のアーネに、ちゃーちゃんを解放するように要求した。結果は、もちろんNO。
あの子は特にちゃーちゃんを愛してる。ほかの誰にも渡さないつもりなのだろう。まあ、そんなことは許さない。
ちゃーちゃんを堕落させて、わたしだけのものにする。あの子に独占させるわけにはいかないのだ。
「……反応がない」
インターホンを切られてから、数十分。いくらならしても反応を示さなくなった。
「……まさか、ない……わよね」
部屋の中でちゃーちゃんともめているのだろうか。もしかして、傷つけるなんてこと……そんなことされたら、さすがに許せない。
「さて……どうしましょう」
すると運のいいことに、このマンションに住んでいる人が、自動ドアをくぐった。わたしはタイミングを見計らって、ドアが閉まりきる前に中に入った。
監視カメラに写ってるかもしれない。そのときは、このマンションに娘がいることを主張して言い逃れしよう。
私は娘の部屋へと向かう。焦る。もしもあの子がちゃーちゃんにひどいことしたら? そのときは……わたしは自分を保つ自信がない。
ほどなくして、エレベーターが到着。わたしは急いでドアのもとへ向かう。
がちん!
「……やっぱりね」
鍵は閉まっていた。多分私が来るのを警戒したのだろう。
「……あまいわよ、アーネ。お母さんの知恵袋を、なめないことね」
わたしは常備してるピッキング道具を取り出して、鍵穴に差し込む。
いつ何時愛する息子が、悪いやつに捕まるかわからない。だからピッキングツールを常備しておくのは、母親として当然だ。
母のたしなみとして、ピッキングも習っている。母親として身につけておくべきスキルだからしょうがない。
がちゃん!
結構時間がかかった。最新式の鍵は開けるのに手こずってしまった! くそ!
「ちゃーちゃん!」
わたしは急いで廊下を走る。息子が、今まさに、ひどいことに合ってないだろうか……!
「あんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあんあん♡」
「は……へ……?」
「あんあんあんあんあんあんあああああああああああああああああん♡」
あ、ありのまま起こったことを話す。
監禁されていた息子が、娘と激しく交尾していた。
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