20話 説得(わから)された義妹
★?????視点
※『運営より業務連絡』
※『個体名:渋谷チャラオが、××××(権限不足により閲覧不可)からの干渉を受けたことが報告された』
※『個体名:渋谷マイに性行為、およびふしだらな行為を強要することとなった』
※『渋谷チャラオが××××の
※『
※『サポーター、および個体名:渋谷チャラオには、早急に
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★チャラオ視点
「おにいさまぁ~ん……♡」
状況を説明しよう。私が居るのは保健室。そしてベッドの上には、どう見ても事後でしかない義妹の渋谷マイがいた。
「なにが……どうして……?」
訳が分からなかった。思い出せない。何かがあったことは確実だ。だが……この数分間の記憶がすっぽりと抜けている。
……ぼんやりとだが、記憶が失う前、私はチャラ語を発動させていた。自分の体が、自分の意思で動かせなくなるあの感覚……
覚えている。そうだ……あれは……強制力が加わったときの私だ。去年の私だ。主人公に変わって、私は自由を得たのではなかったのか……?
「あ……♡ おっきぃ~……♡」
「ま、マイ……君は何をしようとしてるのだ?」
犬のように座っている彼女が、うれしそうに、私の股間に顔を近づけてきたのである。
「なにって……お掃除です♡」
……あえて何を掃除するのかは、聞かない! 推しキャラに何をさせてるのだ私よ!
「ま、マイ……あの、な。さっきまでのことなんだが……」
するとマイは顔を真っ赤にして、うなずく。
「はい……わかってます♡」
「わ、かってる……?」
「はい♡ わからされましたので♡」
……アクティブスキル【
誰かに、選ばされた。一体誰に……? これは、かなり深刻な事態だ。だがまず何よりも……。
「マイ……すまない!」
私は深く謝罪することにした。
「どうして、お兄様が謝っているのですか?」
「君を無理矢理……その、組み敷いて、その……男女のまぐわいをしてしまい、申し訳なかった……」
推しを押し倒してしまった(クソ寒ギャグ)。これは……ファンとしてはあり得ないことだ。
するとマイはふるふる、と首を振る。
「無理矢理じゃ……ないです。わたしは……望んでました。お兄様に体を、初めてを捧げることを……♡
マイは私に体をよせると、頬ずりしてくる。彼女のみずみずしい裸体がくっつく。汗をかいていて、吸い付いてくるその肌が心地よい。
「わたしは、幸せです♡ お兄様とえっちできて……ああ……♡ お兄様……♡」
彼女は私との行為を受け容れムードのようだ。だが私としては慚愧の念に堪えない。
アクティブスキル【
こんなのレイプと同じだ。私が発動をコントロールできないとなると、他の子たちにも、迷惑をかけてしまう危険性が多いに高い……!
「……そうだ! 無かったことにすればいいのだ!」
「お兄様……?」
私は立ち上がり、ベッドから降りる。
「マイ。すまない、私は少し席を外す」
「お、お兄様どこへ……?」
「ちょっと……な」
そうだ。セーブ&ロードだ。アレを使えば、セーブした地点に戻れる。マイを無理矢理犯した、という事実をなかったことにしてあげられる……。
だが……それで本当にすべてが解決するのか? 説得の発動条件が不確定であるのなら、ロードしてもまた繰り返してしまうのでは……
とそのときだった。
ガラッ!
「こ、こら渋谷チャラオ! 貴様授業をサボっていると聞いたぞ!」
保健室のドアが開くとそこには、風紀委員のフウキ先輩が立っていた。
「け、決して貴様が心配で様子を見に来たわけじゃ……え、えええええええええ?」
フウキ先輩が顔を真っ赤にしてしゃがみ込む。
「な、なななあ!」
「これはフウキ先輩。どうなされた?」
「どうなされたじゃない! お、おま……おまえぇ!」
びしっ、とフウキ先輩が私を指さす。
「どど、どうして服を着ていないのだぁ……!」
……。
…………。
………………はい? 服を着てない? 服を着て……服……全裸ぁ……!?
あいええ!? なんで!? 全裸なんで!?
いや、そうか。やったのだから服を着てなくてもおかしくない……いや! 先ほどマイが近づいてきた時点で気づくべきだろう!?
どうやらパニックになっているようだ。落ち着け。冷静になれ。
「こ、これは大変失礼した……お見苦しいものを……」
「ほ、本当だよ! まったく! ほ、保健室で全裸になるなんて! いったい貴様はここでなにを……?」
……やばい。非常にまずい。まさか保健室で他のメインキャラ(義妹)と心ぴょんぴょん(隠語)していたなんて、言えない……。
ど、どうにかごまかさないと……。
「う、うりぃいいいい! お、俺は、に、人間をやめるぞぉ、ぱおぉーーーーーーーーーん! ぞうさんだぞぉーさん!」
……よりにも寄って、チャラ語が発動したふりをする。以前の私は突発的な奇行を繰り返す生徒だった。これなら……!
「あ、なんだいつもの渋谷か」
よし! フウキ先輩を、なんとかごまかせたのである。大切な何かを失った気がするが、よしとしよう。
「すみません。また突発的な発作が」
「あ、ああ……その……あれだ……とりあえず服を着たらどうだ?」
「そうさせてもらいます。しばしお待ちを」
ふぅ……なんとか修羅場は回避できた。まさか、ヒロインの前で、他のヒロインとぴょんぴょん(隠語)していたなんて言えない……。
「お兄様、どうしたのですか?」
……様子を見に来たのは、全裸のマイだった。
「渋谷ぁあああああああああ! ど、どういうことだぁあああああああああああああああああああああああああ!?」
あーもう……めちゃくちゃだよ!
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