林檎の匂い

急に現実が、

目の前にある現実が

文字となって現れて、

論理的に胸に落ちてきた。

少し、足元が高くなったようだ。

涼しい風が目線を通り過ぎ

風と自然のこすれ合う音が

心地よく響いていた。


美しい本から、本の匂いがした。

しかし、綺麗なままである。

色んな人間がいて、

みな顔は様々違い、それでいて

その中に詩人が隠れている。

いつも何故かそこでひとり立っている

ひとりで荒野や荒地を見つめて

ひとりきりで

踏み出そうとしている。

着崩したTシャツとジーパンだけで

ペンすら持たずに。


また変だと言った。

恐れているみたいに、

自分の中から悪魔を追い出そうと

するみたいに。

私は抱きしめてあげないよ、

しかしあなたの恐れを

飲み込んでしまってもいいよ。

恐れていることすら

分からないあなたを

丸ごと包むことも、

あるかもしれない。

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