彼女

俺の右腕に抱きついて、

寝心地の悪そうな体制で眠る彼女

短いまつ毛が腕をかすめる感触がして

ぞわぞわと胸が波打った。

今日ばかりは左利きでいいよと、

一文字ひと文字ゆっくりと打つ。

普段の打ち慣れた言葉すらも

光がさしているように思える。

ゆっくりと寝相を変えた彼女の

優しすぎる短い声が耳に届いて、

そっとパソコンを閉じた。

幸せな匂いの中で、

柔らかい彼女を包んで眠る。

吐く息が2人の距離の中で

熱く籠って、水蒸気になり

Tシャツに吸い込まれた。

いつもとは、少し違った。

夜だった。

ほんの少し。

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