13 思い出

お宮の境内

石甃みちの上

自分の影を見ていた

涙が鼻柱の脇を通って

ひくひく動く唇に

達する前に石に落ち

黒いしみをつくった


あなたは涙を流し

私の腕を揺すぶりながら

同じ言葉を

くり返していた


負けるな 洸ちゃん なっ


遠くで叫ぶ声のように

私はそれを聞いていた


家が焼け

母を失った時


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