6 はっきりさせよう

私の求めるものは何

それは存在

自立した存在

それは何


それはそそりたつ樹

苔むした岩 清らかな渓流

陽のひかり 風 柔らかに身を屈する草

そよぐ枝葉 散る花


つまり何


静かだが食い込んでいるそれ

在る事が意識とならぬほどに在る事

無いという事が夢想としてだけ成り立つそれ


民衆

この夥しいもの

打ち克ち難く持続し繁殖するもの

地を走る不壊の太綱

起源と帰結

歴史


私の血よ


彼らに帰るしかない


自らの働きで口に糊し

彼らの中に突き刺さり

自らも刺し通され

あの岩や木肌のように

存在となるのだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る