街中で女の子とぶつかったら、ヤンデレ系Vtuberが本当に病みました。なので、僕は学校一の美少女探偵に助けを求めます。 ~女難とヤンデレと探偵と~

ななよ廻る@ダウナー系美少女2巻発売中!

第1話 屋上の告白にカッターナイフは付き物です

 茜色で照らされた学校の屋上。

 僕の目の前には、夕焼けのように赤く頬を染めた女の子が立っていました。握りしめた両手が、不安そうに震えています。


 夕風に長い黒髪が揺れます。意を決したように、女の子は口を開きました。


難嬢なんじょう先輩っ。好きです! 付き合ってください!」


 屋上での告白。散っていた桜の花びらが風に煽られて宙を舞い、キラキラと橙色に反射しています。

 なんて青春。あまりの甘酸っぱさに、レモンでも食べたかのように口の中が酸っぱくなります。


 告白の返事を待つ女の子の瞳が水面のように揺れていました。まるで、彼女の心を映す鏡のようです。


 返事は、屋上に呼び出された時から決まっています。

 後は口にする勇気が必要なだけ。僕は唾を飲み込み、乾いた口で返事をします。


「申し訳ありません。貴女とお付き合いすることはできません」

「――……っ」


 不安に揺れていた目が大きく見開かれます。くしゃりと、悲しそうに表情が歪みました。

 僕の心は、そんな表情をさせてしまった申し訳なさ。そして、これから訪れるであろう展開を想像して、恐怖でいっぱいです。


(いえ、今日はきっと大丈夫なはずです)


 根拠のない言葉で心の平静を保とうとしても、不安は拭い去れませんでした。


 気付けば夕陽は住宅街に沈んで、空は夜のとばりが覆っていました。

 カー、カーとからすが鳴き、校庭の木々からバサバサと飛び去っていきます。

 激しい音を立てて一陣の風が吹き、僕はあまりの寒さにぶるりと体を震わせました。


「そう……ですか」


 ぽつりと女の子は呟きました。影の差した暗い表情で、谷底から響くような重苦しい声です。


(あ……これはやばめです)


 動物の本能でしょうか。体が危険を訴えかけ、無意識に出口へ向けて後退ります。

 けれど、その判断は遅すぎたようです。

 俯いていた顔を上げた女の子はにっこり笑っていました。僕も笑い返します。若干、引き攣ってはいましたけど。


「わかりました」

「そ、そうですか。わかって頂けたなら、よかったです」

「はい。ですので――」


 彼女はポケットに手を伸ばすと、月光に照らされて鈍く輝くを取り出しました。


「――恋人になってくれないなら、死んでください。ねぇ……難嬢なんじょう先輩?」


 カチカチと刃を伸ばす音が、僕の鼓膜を打ち恐怖を駆り立てます。

 そう。僕は予期していました。こうなる展開を。

 初めてではなかったからです。告白を断って、刺されそうになる経験が。


「一緒にあの世で幸せになりましょう……?」

「お、お、お……お断りします――ッ!?」


 高校二年生の僕――難嬢誘花なんじょうゆうかは女難に苛まれていました。







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【お礼&お願い】

第1話をお読みいただきありがとうございます。


面白かった! 続きが気になる!

ヤンデレ最高!

刃物はマストアイテム。


と思って頂けましたら、

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よろしくおねがいいたします。

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