第10話フィリップ・コーエン
「緊張するわ。こんな高級レストラン」
「ジャネット、明日ブルックの後ろで踊ってもらいます」
「えっ?」
ジャネットがおどろいた顔をして亮の顔を見た。
「せっかく声も出るようになるし、
足の動きが良くなるんだから大丈夫です」
「ジャネットそれは良いわ。私も安心して
歌えるわ」
「はい、どうしよう。振り付け」
ジャネットは困った顔をした
「ジャネット、一つ良いかな?」
「何?」
「君がオーディションで落ちる訳がわかったよ」
ジャネットはムッとして亮の顔を見て言った
「何よいきなり」
「明日のライブはブルックのライブだよ」
「わかっているわよ」
「でもライブはその時になってみないとわからない。
ブルックの歌、バンドの乗り、観客の乗りもね。
もし今振り付けを決めてしまったら、
きっとつまらない踊りになるだろうね
マイケル・ジャクソンの完成された
振り付けじゃないんだから」
「じゃあ、振り付けは?」
「ジャネット、ディスコで踊った事あるよね」
「あっ、そうか」
「そう、ディスコで踊るようにそして、
美しく踊れば見ている人たちが楽しいですよね」
「わかったわ、ありがとう」
ジャネットは亮の顔に頬を寄せた
「詳しい話は今から来る人に聞くと良いよ」
「ねえ、誰が来るの?」
ブルックが聞くと亮が入口を見た。
「すぐわかります、目立ちますから」
「本当?」
その時、ジャック・チョウが女性と入ってくる
姿を見るとブルックが気付き目を伏せた。
「ブルック目を伏せる事無いですよ。顔を上げて」
するとジャックは亮とブルックに
気づき驚いて目を見張った。
そして、「口元は何でここに?」
と動いて亮を睨み付けた。
ジャックは席に着くと
ジャック・チョウがホストに聞いた。
「あいつら、何者だ?」
ホストは笑って一礼をして歩いていった
「チクショウ!」
ジャックは舌打ちをした。
しばらくすると
客席からざわめきがおき
亮たちが入り口を見ると
フィリップ・コーエンが入ってきた
すると次々に女性たちが
フィリップに近寄って挨拶をしていた
「あっ、さっきのオーナーですね」
「すごいわ。さすがセレブ御用達の
美容室ね。みんな挨拶している」
「うん」
フィリップとジーンは三人の前を笑顔で通りすぎ
隣の席に座った
「偶然ね。さっき会ったばっかりなのに」
「うん」
亮はジーンのセクシーな目つきに
ドキドキしていると
ホストが笑顔で亮を呼びに来た
「ダン様、お連れ様が参りました。
エスコートをした方がよろしいかと思います」
「は、はい」
亮は立ち上がって入り口に迎えに行った。
そこには、シンディとモニカとケイトが
ドレスアップしてモデル立ちをしていた。
「亮!」
三人は次々に亮にハグをした。
「あら?」
三人とも亮の異変に気づいて声をあげた。
「では席にご案内します」
ホストが歩き亮はシンディとモニカの
間に腕を組んで
席まで歩いていると店内がざわめきだした
「たいへん、亮がシンディとモニカと
ケイトと一緒に来る」
ジャネットとブルックが立ち上がった。
四人がテーブルの前に着くと
フリップが席にやってきた
「やあ、シンディ」
「ああ、フィリップさっきはありがとう」
二人はハグをすると
モニカとケイトもフィリップとハグをした
「亮、フィリップ・コーエンよ」
シンディがフィリップを紹介した。
「先ほど二人のお嬢さんと一緒に
お店に来ていただきました」
「そうか、会ったんだ」
シンディは美容室で亮が座っている姿を想像した。
「はい」
フィリップは何かをシンディの耳元で囁いた
「まあ、ウフフ」
亮は二人の顔を見ながら席に座った。
~~~~~~~~~~~~
席に戻ったフィリップにジーンは
今をときめくスーパーモデルをエスコートする
日本人に信じられない顔で聞いた。
「ねえ、フィリップ。彼は何者?」
「あはは、驚いたよ。彼は三人の
日本でのエージェントだそうだ」
「本当!?凄い!」
「それに、彼女たちのボーイフレンドだそうだ」
「えっ?」
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窓際に座っていたジャックはシンディたちを見て
地団駄を踏んで亮を睨み、明日の結果に不安がよぎった
「な、なんだ。あの日本人は」
「どうしたの?ジャック」
「シンディたちといる男が
明日のライブを挑んできた男だ」
「何者かしら?」
「ちょっと脅かすか」
「あら、かわいそう。良い男なのに」
「おい、キャシー馬鹿な事言うな。
ニューヨークはそんなに甘くない
何処の馬の骨かわからん
日本人にのさばらせてたまるか」
「そうね」
アメリカ人のキャシーにとって日本人も
中国人も変わりはなかった。
キャシーは笑いながらワインを一口飲んだ
~~~~~~~~~~~
円卓に亮たち六人が座りワインと食事を
オーダーをすると亮はブルックと
ジャネットをシンディ達に紹介した。
「二人とも綺麗ね」
シンディがうれしそうに話した。
「あなたがブルックね。明日頑張ってね」
モニカがブルックに手を差し伸べた
「こちらこそよろしくお願いします。
明日演奏をしてくれるのはどなたの
バックバンドなんですか?」
ブルックはモニカと握手をしながら
強く握り返した。
「スティーブ・フィッシュよ」
「えっ」
ブルックが唖然とした。それはCDの売り上げが
全米1位の歌手だったからだった
「どうしよう」
「大丈夫よ。
スティーブは私の友人だし彼は歌わないから」
「そ、そうね」
ブルックの顔は引きつったままだった
「スティーブはモニカのボーイフレンド?」
「はい」
亮が聞くとモニカはうれしそうに答えた
「亮、アメリカでは話題になっているのよ、
二人の関係」
ジャネットが亮に言った
「そうか」
亮はちょっとショックだった
「亮、妬けた?」
シンディが亮の顔を覗くとモニカは微笑んでいた
「モニカ、おめでとう」
亮はグラスを手にとって乾杯をした。
「ところで亮、二人と何処で知り合ったの?」
ケイトが聞くと亮は照れながら答えた。
「実は・・・」
亮は前日ニューヨークに
着いてからの出来事を話した。
「うふふ、亮が記憶を無くしたって面白い」
モニカ大きな声で笑っていた
「シンディ、契約の件で話があるんだ」
「OK今夜は時間が有るから大丈夫よ。
食事が終わったらバーで話しましょう」
亮とシンディが話をしていると
モニカがブルックに聞いた
「ブルック、コクーンプラネットは改装中でしょう」
「はい」
ブルックは亮の方を見て聞いた。
「亮、経緯を話して良いかな」
「もちろん、みんな仲間だから大丈夫」
「うん」
ブルックはジャック・チョウとの
話を隠さず話をすると顔をしかめた。
「その男はあの窓のところで食事をしています」
亮が言うと三人はジャックの方を睨んだ
「そう、ところで明日500人集められるかしら?」
シンディが心配そうに聞いた。
「そうですね、それが心配です」
亮がみんなの顔を見渡した
「私のインスタに書くつもりよ。私も応援で行くわ」
モニカが言うとブルックはモニカの手を握った。
「モニカありがとう」
「私も行くわ」
シンディもケイトもブルックの手を握った。
「それで例のお願い良いですよね」
「大丈夫よ。8時までには行けるわ」
「ありがとう」
亮はテーブルに両手を着いて頭を下げると
ジャネットが不思議そうな顔をして聞いた
「亮、それどういう意味?」
「これは日本ではありがとうと言う意味です」
「どうして、三人とも亮に協力してくれるの?」
「それは亮が好きだからよ」
シンディが答えた。
「私は愛している」
ケイトが小声で呟いた。
「私は亮がくれた薬のお陰で人気が出たの」
ケイトはシンディとモニカの顔を見て亮の顔を見た
「そんな事ないよ」
「ううん、半年経った今でも
毎月送ってくれているわ」
ケイトは両手を着いて亮がやったようにした。
「ねえ、なんの薬?」
ジャネットはケイトに聞くとモニカが
うれしそうに答えた
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