第24話 未来の予言者
雪渡とバイト以外で一緒にいる事が増え、私の心に変化が起き始めている。
普段見る事のない、雪渡の姿に私は戸惑い、胸が、ざわついていた。
だけど、好きって気持ちにまでは届いていない。
それとも―――
気付いていないだけ…?
ある日のバイトの日―――
「ねえ、あなたいくつ?」
カウンターにいる私に一人の来客の女の子が私に尋ねた。
「えっ?私ですか?17です」
「17歳?」
「はい」
「私も17なんだ。私、前から気になってたんだー」
「えっ!?」
「あー、誤解しないで!私、ノーマルだから」
「私もノーマルですよ」
「私、すっごい話をしてみたいと思ってたの?ねえ、何か悩みあるでしょう?」
ギクッ
「えっ!?な、悩みですか?」
「そう!……恋愛!!」
ギクッ
彼女は、私をじーっと見つめ、ズバリ当てられた。
「今から本格的に占ってあげるよ。生年月日とフルネーム言って!」
「えっ?」
「ほらほら」
私は教えた。
「………………」
「…あの…」
私を見つめる彼女。
どんな答えが出てくるのか?
どんな事を言われるのか?
胸がドキドキ違う意味で加速する。
「あなた、今、心の中、ハッキリしていないでしょう?」
「えっ!?」
「この人の事、好きなのかなー?って思う相手、身近にいるでしょう?」
「……………」
「相手も同じ気持ちみたいね」
「ええっ!?相手の気持ちも分かるんですかっ!?」
「うん。波動っていうか、相手のオーラがあなたの周りに感じてて、それにあなたは人気者みたいね。誰からも愛されているオーラが視えるの」
「…す、凄い……」
「…それから…あなた……過去に異性に関して嫌な事が色々あったみたいね。それが、きっかけで前に進めないの」
《異性に関して…》
《やっぱり幾つかの事件は私の心を恋愛にブレーキ掛かってる…?》
「だけど…近いうちに、ある事件に巻き込まれて、相手の方と、お互いの気持ちが1つになる瞬間があるみたいね」
「事件!?えっ!?私…もう事件に巻き込まれるの嫌なんですけど……」
「占いに出てるから仕方がないわよ。そういう運命としか言いようがないよ」
「………………」
「いつ、どんな時、どんな所で起こるか分からないから気をしっかり持って、気を付けて行動して」
「………………」
「しばらく、あなたの事を視ようとは思ってるけど、何か視えたら、あなたに連絡する」
そして彼女から、連絡先を教えてもらった。
「その時、必ず相手も一緒にいるから失う恐怖を味わう事になるから心して覚悟していた方が良いわ」
「………………」
「はい、これは御守りよ。あなたの運が今、負のループにあるから、これから良い方向になっていくわ。まあ、その災難は免れないけど……。とにかく、自分に素直になる事は大事よ。それじゃ、GOOD LUCK!!」
「あ、ありがとうございます!」
「考えたくないけど…相手…雪渡とかじゃないよね?本当はそうじゃない方が良いけど…だけど…ないわけじゃないよね…?」
私は、ぼんやりする事が増える。
「おいっ…優奈!」
「えっ?うわっ!」
ドキッ
「うわっ!ゆ、雪渡っ!?」
スッと両頬を優しく包み込むように優しく触れる。
ドキン
キスされそうな勢いで、かなりの至近距離だ。
「お前…大丈夫か?」
「だ、大丈夫です!」
「何故に敬語?いやいや、大丈夫じゃねーだろ?」
いつも犬猿の仲で
言い合う私達だけど
恋人ごっこするようになり
私の心が
公私混同し始めている
バイト先のみんなにも
状況を説明をしている為
本当に付き合っているように
見えてしまうと言うのだ
ちょっと喧嘩をすると
夫婦喧嘩と
茶化される始末
彼女が店に出来る事はないけど
今 私の心は
境界線が見えない
距離感が鈍っているのだ
「本当に大丈夫だから!」
両頬から手が離れる。
その日のバイト終了後――――
「令ニさん。優奈、送ってもらって良いですか?コイツぼんやりし過ぎて危なかっしいんですよ」
「だから大丈夫だって!」
「大丈夫じゃねーし!」
結局、お兄ちゃんは雪渡と私を送った。
帰りの車内――――
「余程、雪渡は心配だったんだろうな?」
「大丈夫って言ってんのに最近、本当の彼女みたいに私に接してくるから私も頭おかしくなってきてる。公私混同したくなかったのに……」
「良いんじゃないか?アイツもアイツなりに色々と大変そうだがな」
「そうかな?」
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