第12話 調査中

「優奈、バイト見つかりそう?」

「…どうかな…?」

「早く見付かれば良いね」

「うん…」



私は机に顔を伏せる。



「本当…最悪…証拠写真なんて…まあ、世に出ていないから良いけど…でも…ある意味、犯罪だよね?」


「まーね」


「…ねえ…夕美」

「何?」

「女の子って…初めてって痛いって聞くよね?」


「えっ?…あ〜…うん…。まあ…個人差あるんだろうけど…そういう話は聞くよ」




《だとしたら…私…まだ…女の子?》


《痛かったら目を覚ますはずだし…でも…》




「優奈?」


「ごめん…ちょっと聞いてみただけ?」


「そう?」


「うん…」



私は顔をあげる。




「夕美…私ちょっと5時間目授業受けない。適当に理由よろしく!」


「えっ!?あっ!ちょっと!優奈っ!?」




私は屋上に行った。



《あれだけ写真撮られて関係あるなら気付くはすだし》




背後から、ガシャと左右の頭上辺りに金網に誰かが手をおいた。




ビクッ




「戸西 優奈さーーん。サボりですかーー?」

「す、すみません!すぐに戻り……」



すきまから、去ろうとする私。



グイッと背後から抱きしめられた。



「今更、戻ってどうすんの?戸西 優奈。チャイムはとっくに鳴ってるし」


「えっ?」




私を振り向かせ、向き合う私達。


ドキッ



「えっ…!?つ、椎野君っ!?どうして…?つーか、何してんの!?」


「誰かさんと同じでサボり」


「…えっ?誤解招くような行為辞めて!第一、何の用事?私の事を疑ってるあんたと一緒にいたくないんだけど!?」


「確かに、まだ、お前の疑いは晴れてねーけど、バイト先で話すよりは、学校で話す方が誰にも邪魔されなくて良いんじゃねーの?」


「別に何も話す事ないし!」


「令ニさんも、宗ちゃんも、お前も、あそこで話せない理由あるって事だろう?ヤケに成巳ちゃんに突っ掛かっている感じだし」



「……………」



「後、声を掛けようと思ったら、お前が、ある男と話をしていたのちょっと聞こえたから。何か成巳ちゃんの事話してたっぽいし」


「…成巳ちゃんに聞けば?」


「今、バイト先は閉店中だから会えてないから」


「へえー、そうなんだ。じゃあ成巳ちゃんとデートしてあげれば?彼女、泣いて喜ぶんじゃない?聞く事も出来るし!」


「会うくらいならしてる」


「一層の事、付き合っちゃいなよ!」


「いや…彼女、可愛いのは認めるけど色々な情報入ってるから」




「あ、そう!まあ、あんたを手に入れるなら色々な手段でしてくるだろうし」


「お前も、その一人になってたんだろう?」


「さあ?どうだろうね?」


「あの写真が証拠だろう?俺に近付く女の子はみんな連れて行かれたって話だし」



「………………」



「その情報は入ってるんだ」


「ああ。後は関係持ったか、持ってないかがハッキリとしない限り、オーナーは戻すわけにはいかないって…みんな色々て調べてる」


「そう」




「みんな、お前に戻って来て欲しいから…」



「………………」



「簡単に言わないでよ!関係持ったか、持ってないか…それが分からない限り戻れるわけないじゃん!それに、もし戻った所で彼女がいるなら結局一緒だよ!」



「戸西…」


「だからって辞めさせて安心出来ない。彼女は、そういう子だから」



「………………」



「もう…私の事は良いから」



私は背を向ける。




「…なあ…戸西」

「何?」

「試して良い?」

「えっ…?…試…」



グイッと私の背中を金網に押し付ける。



ドキッ


「ちょ、ちょっと!何?椎…」

「ちょっと我慢しな」

「えっ…?が、我慢!?ど、どういう…」



両手を片手で押さえ付け、もう片方の手が私の下半身に伸びる。




「ちょ、椎…」



ビクッ



「……った!」



一瞬の出来事だった。


グイッと抱きしめた。



ドキッ



「…ごめん…痛かったろ?」




何となく分かった。


金網に押し付け、次々に起こる出来事。


会話をしながら私の太ももに大きい手が入っていき、突然に起きた下半身のほんの微かな痛み。


正直、全身に痛みが広がったような勢いだった。




「………………」




抱きしめた体を離す。



「大丈夫か?」



私は、ゆっくり頷く。



私の両頬を、優しく包み込むように、いつになく優しい眼差しで見つめる椎野君に戸惑う私。



「気悪くしたら謝るけど、一番手っ取り早いやり方だと思ったから」



両頬から手が離れる。



「戸西は、写真撮られただけだと思う。男いて身体の関係あったら確認するのは無理だろうけど」


「椎野君…」


「…マジ悪い。初めての相手は後悔しない相手に捧げな」




頭をポンポンとする去り始める。



「椎野 雪渡っ!」


「何だよ!」



振り返ると同時に彼に私は抱きついた。




「ありがとう!雪渡!」

「えっ?」


「ハッキリしてなかったから、クヨクヨ悩んでいたのが一気に吹き飛んだ」


「優奈…みんなと、また働けるようになると良いな」


「そうだね」






〜 椎野 雪渡 Side 〜



お互いハッキリとしないまま


モヤモヤしていた事が


一気に吹き飛んだ


彼女も彼女なりに


色々悩んでいたのだろう



そんな俺も


身体の関係に関しては


店のルールとして


彼女の写真は気になっていたのだ



これは


みんなが思っていた事だろう



俺に限らず


彼女はみんなのアイドルだ



男女問わず人気のある彼女が


いなくなっては困ると――――



俺達の関係も


一気に縮んだけど


まだ彼女には


波乱万丈な事が


待ち受けていた




家族―――



      友情―――



           恋愛―――





そんな俺も


彼女との関係が


変わっていく


お互い まだ


気付かなかった………

































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