第11話 真 実
私が帰り、令ニさんが入れ違いで、みんなの元に来た。
令ニさんに、オーナーが状況を話す。
「つまり、そういう事だから優奈ちゃん、今日限りで辞めてもらったから」
「ああ。さっき会った。彼女、泣いてたぞ」
「それは毎日来てたし、これからって時だったから」
「いや…心が泣いていた」
「えっ?」
「俺は、こんな写真に惑わされない。彼女を信じる。彼女自身をな」
「…令ニ…」
「今日は俺も休む。というより帰る。真実を突き止める」
「真実って何?」
「俺にはお前らの態度や考えに理解できん!」
「宗氏も令ニも何か隠してる感じ?」
「真実が分かるまで俺はしばらく来ない。店を開けるか開けないかは、オーナーの佑史次第だな」
「………………」
「令ニ!一体どうしたの?俺達の知らない何かを知ってる感じ?」
「…優奈が、休んだ日、俺は迎えに行くと優奈と約束した。連絡はついてたんだ。…だが……待ち合わせ場所に行った時、既に優奈の姿はなかった。おかしいだろう?さっきまで連絡ついてて、いるはずの待ち合わせ場所に……アイツは、優奈はいなかったんだぞ?」
「………………」
「宗氏も知っている。とにかく、そういう事だ。後は、お前らの好きなように勝手にすれば良い」
そんな中。
「うん、サンキュー。お陰様で大成功!これで雪渡君は、私のもの」
誰かと電話で話す彼女。
室矢馬 成巳ちゃんの姿があった。
そしてそれを耳にした人影があった。
私は公園のベンチでボンヤリしていた。
「あの…」
「はい」
声をかけられ振り向く私。
私と同じ位の他校生の男の子。
「待ち合わせですか?」
「いいえ」
「今日、バイトは?」
「えっ?」
「○○でバイトされてる、戸西 優奈さんですよね」
「…そうですけど…でも…さっきクビになった所で…」
「えっ!?どうしてですか?」
「ちょっと…問題生じてしまって…」
「…問題ですか…?…あの…もしかして…昨日の事件…関係してますか?」
「えっ?」
「あなたが連れて行かれる所の目撃情報が沢山出ていて…」
「………………」
「あの店のルールは通っている人、誰もが知っています。みんな守っているから、おかしいな~って…思っていたんです。明らかに高校生じゃない人達が、あなたを連れて行ってたらしいので…今、店に行ったら今日は休みになっていたから…」
「………………」
「優奈さんが働いている所の男の子も調べている様子だったから」
「…砂都中君?」
「そうです。俺、砂都中君と同じ学校だから」
「そうだったんだ!」
「優奈さん、お店で目立っているから結構男女問わず人気が高くて、みんな凄く仲良くなりたがっているんです。同じスタッフの人達も優奈さんの事が凄く好きみたいで、あなたの良い所、話したりして男同士で意気投合しちゃって」
「えっ…?」
「もちろん女の子達がいても全然大丈夫で、男女問わず話したりしてるんですよ?あなたの沢山のファンがいるんです」
正直ヘコんでいた。
でも私の知らない所で、そういう事を話していたなんて知らなかった。
嬉しいと思った。
だけど……
今日付けで辞めさせられた私には
もう二度と足を運ぶ事もないだろう?
「そうか……」
「あそこの利用客、男女問わず沢山いたんだけど、訳合って利用者、激減したんです」
「えっ…?」
「彼女が来てから。……彼女がいる限り、あの店を続けるのは、正直…とても難しいと思います」
「…彼女…一体…」
「優奈さんの耳に入っていると思いますけど、彼女は雪渡君狙いは気付いていますよね?」
「それは…。私は何度も嫌な一面見てきたから…」
「彼女は結構遊んでいるって話だし」
「………………」
「優奈さんを戻す事は出来るかもしれないですけど、彼女に関しては…厳しい所です。さっき、彼女が電話で会話している内容が言えれば、証拠だし、多少、有利はあると思うんですけど…」
「電話?」
「はい。お陰様で大成功。これで雪渡君は私のモノって…」
「…やっぱり…彼女が…絡んでいたんだね…」
「それに…優奈さんだけではなく女子はみんな犠牲者ですよ。雪渡君に近付く人、仲良くしている人は…同じようになっていると思います」
「…そっか…私だけじゃなかったんだね…」
砂都中君の言っていた通りだ。
『男が増えたんじゃなくて女が減ったんだと…』
それはそうだ。
近付いたり仲良くしたりすれば自分の身に危険がとなれば誰も寄り付かないし、行きたくもない。
彼女が仕組んだ事が、今じゃ、お店の売れ行きとか色々な問題が出てきているのだ。
やっぱりやり方が汚い。
「とにかく…俺、出来る限り協力します。優奈さんが戻れるように。それじゃ」
彼・古河 歩君。16歳と別れた。
「…帰ろうかな…」
その時だ。
「おいっ!」
ビクッ
「…椎野君!?」
私は走り去り始める。
グイッ
「待てよ!」
引き止められた。
「離して!!あんたと一緒にいると成巳ちゃん良い気しないから!」
「なあっ!あの子、一体、何者なわけ?」
「…知らないよ…じゃあねっ!」
振り解き走り去った。
「おいっ!戸西っ!…何だよ…意味分かんねーし…」
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