第9話 災 難

「令ニさん」

「どうした?宗氏」


「優奈ちゃんと彼女、この間、言い合ってて、何か仕掛けてくる可能性があるんじゃないかと…」


「…そうか…時間の問題かもな…分かった」




**********




「じゃあ、夕美、後でね」

「うん」



夕美と学校で別れる私達。



「戸西」


「椎野君、どうしたの?珍しい!学校で声掛けてくるなんて」


「いや…ちょっと…」


「…?…それで何?」

「…お前…宗ちゃんと付き合ってんの?」


「えっ!?いやいや、付き合ってないし!どうして?」


「いや…」




「………………」



「そう?それじゃ私、行くね!お先〜」

「あ、ああ」




私達は別れた。



向かっている途中、令ニさんから電話がかかってきた。



「もしもし?お疲れ様です。はい…でも…分かりました。今、○○の近くに…はい。待ってます」




電話切る私。



令ニさんから迎えに行くからとの連絡だった。


私は令ニさんを待つ事にした。




そこへ――――




「彼女、何してんの?」

「待ち合わせ?」



私の前に二人の男の人。




「えっ?」

「ねえ、ちょっと、付き合ってよ!」

「ごめんなさい…私…人待ち…」



ボフッとお腹を殴られ、気を失った。



「………………」



「付き合ってもらわなきゃ困んだよ。戸西 優奈さん」




私は連れて行かれ、令ニさんが来た時は既に遅かった。




『電源が入っていない為…』



「ついさっき連絡取れていたのに……優奈…一体…」





〜 椎野 雪渡 Side 〜




「雪渡」


「はい?」


「優奈ちゃん、学校来てた?」


「はい、来てましたよ。少し会話をして俺達、学校で別れたんですけど」


「…そうか…」


「俺より先に出たし。…アイツ…まだ来てないんですか?」


「うん…実は…そうなんだよね…」




「…アイツ…無断欠勤でもする気かよ…」


「…何かあったのかな…?連絡もつかなくて…」


「えっ!?…連絡がつかない?」


「分かった。ありがとう」




しばらくして店に瀬木元が、お客として来た。


俺は、取り敢えず尋ねた。




「瀬木元」

「何?」

「戸西と一緒じゃなかった?」

「違うよ。どうして?」


「…それが…アイツ…まだバイトに来てなくて…連絡もつかないって…」


「嘘……だって…後でねって学校出て…」



「………………」




瀬木元は、オーナーのいるカウンターに駆け寄った。




「あの…」


「あれ…?優奈ちゃんの親友の夕美ちゃん。優奈ちゃんなら今日は、まだ…」


「来てないって椎野君から…」




「………………」



「優奈とは、後でねって別れたんですよ!連絡つかないって…嘘…ですよね…?」


「本当なんだ…」



「………………」



 



************



〜 砂都中 宗氏 Side 〜



「なあなあ、不思議と思わへん?」

「えっ?」



俺は裏で、既にバイト中の彼女・室矢馬 成巳に、わざと尋ねた。



「優奈ちゃん、連絡つかへんらしいで?」


「えっ!?そうなんですか!?……何かあったんでしょうか?…優奈さん、バイト無断欠勤する人じゃないのに…心配ですね…」


「学校も出ているし、本当なら、ここに来て、既にバイトしてんねんけど。ここに来る途中まで連絡ついてたんやて」


「事故とか…」



「…事故…ね〜。事件に巻き込まれたの間違いなんちゃうん?」


「事件!?だったら尚更、大変じゃないですか!?」


「…まあ…あんたには関係ないわな〜。雪渡を手に入れる為なら、どんな手でも使うてするんやろうし」



「どういう意味ですか!?私が、そんな事するわけないじゃないですか?」


「…そうか…」




まあ、吐くわけないとは思ってた。


本当は彼女が関わって計画的にやっている事くらい、正直、お見通しだったのだから……。




「あっ!そうや!とある人がな優奈ちゃんを迎えに行く事になってたんやけど、それまで連絡はついてたんやて。待ち合わせ場所に行ったら…彼女の姿はなかったって…神隠しでもあったんかな〜?ホンマ不思議やわ〜」



「えっ…?そうなんですね。へえー…」


「あーあ、俺…帰ろうかな?お客さんもいてへんし…ほな、お疲れさん」




シラを切る彼女に腹立だしかった。


ただ、さっきの言葉に一瞬彼女が驚いているのは気付いた。





「オーナー、俺、早退します」


「えっ?どうしたの?体調悪いの?」


「はい」


「大丈夫?」




「ご迷惑おかけしてすみません。明日、来れるように早退します。令ニさんは大丈夫ですか?」


「えっ?」


「令ニさんは、尚更、早退したいですよね」


「えっ?令ニも?」


「まあ…ちょっとな…」



「そうか…分かった。今日はもう店閉めよう」


「オーナー」


「お客もいないし。優奈ちゃんも来ないし…というより…来れないが正しいのかな?」





〜 戸西 優奈 Side 〜




私が目を覚ますと見慣れない部屋にいた。



「えっ…?ここ…何処…?」



制服は着ている。



私は記憶を辿る。



令ニさんと待ち合わせしていて


その間、男の人に連れて行かれて……




「………………」



その時、ベッドに置かれていた一枚の写真があった。




「…えっ!?」



衝撃的だった。



男の人が覆い被さっている写真だった。



私の格好は相手の後ろ姿で良く見えない。




「…私…嘘だよね…」



記憶を辿るも肝心な所の記憶が分からないし、思い出せない。



身体の関係…あった?



そうなると、店の評判を悪くする。



それは、注意するように


あれ程、言われていたのに――――




時間は夜10時を回っていた。



「………………」



「…バイト…また…探さなきゃ…完全にクビだよ…」




アパートに帰ると――――



「…令…ニ…さん…」



私は、令ニさんの胸に飛び込んだ。



「無事だったんだな?」


「…だけど…何も…覚えて…なくて……」


「どういう状況だったか説明出来るか?」




私は全て打ち開けた。


そして写真を見せた。




「……写真…」


「明日、証拠になる郵便物などが届くかもしれない」


「そうか…クビは…免れ無いだろうな…例え…関係があってもなくてもな…」



「………………」





























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