編集済
大いなる自然の中でへの応援コメント
遊び呆けていたキリギリスが、アリのお世話になって、その恩を歌声で返す。憤っていた若いアリも、その歌声に感動して……という「アリとキリギリス」とは正反対の展開なのかと読んでいましたら、なんと驚きました。キリギリスの解体シーンがとても細かく丁寧に描かれていて、よりいっそうのインパクトでした。キリギリスも夏の間、やりたい放題に遊んでいたわけではなく、己の身の処し方を決めた上での生き様だったのか。そして、その生き様をうらやむ気持ちになる若いアリを長老が諭す。本家の「アリとキリギリス」より、よほど深い物語に感じました。
作者からの返信
コメント並びにレビュー、ありがとうございます!
最大限好意的な読み方をしていただけたようで、ありがたい限りです。
実は現在改稿作業に取り掛かっておりまして、近いうちにそこそこ……あるいはかなりの分量が別の表現に入れ替わることになりそうです。たぶん、評価していただいたところはそのままに、ムダにインパクトを盛ったところだけ適性な描写に落とし込む形になるかと思いますが、勢いに任せて狙いがあやふやになっていた部分も含めて、一足飛びに深いところまで読み込んでいただけたのなら、これにまさる嬉しさはありません。
励まされるお言葉に、ただ感謝です。
大いなる自然の中でへの応援コメント
拝読し直しました。
うーむむむ。
いや、前に読んだ時にも「うーむむむ」と言ったことを思い出しました。
個人的には、かなり感想の書きづらい部類の作品です。
細かな指摘はいくつか出てきます。
例えば「キリギリス捕食時の描写や歌の部分が物語に対して重すぎ、くどく感じられる」とか。ただ、ここら辺は細部の話で、全体的にはさして間違った話でもない。
でも間違いなく、面白くはないです。
何かスッキリしたり得心がいったり、意外な展開に驚かされたりがないのです。
まず、童話にグロさというリアリズムを持ち込んだ部分にインパクトがありません。というのも、アリとキリギリスって、元々過酷でグロめの話ですから。児童向けにオチに救いを与えたバージョンとかならしりませんが、私が知る限りキリギリスは餓死していて、シビア極まりない展開だったはずです。この手の改変はギャップがあるほど面白いので、そういう意味でも意外性に欠けると感じました。それにまあ、童話や昔話をグロくするのは定番も定番ですしね。
音楽に生涯をかけ、音楽と共に死ぬキリギリスの人生というのは悪くないアプローチなのですが、テーマと呼ぶには唐突に過ぎて、「意味はわかるけど胸を打たない」感じ。
歌の内容が哀切寄りなのも振り切れていないというか、ここは食われながらでも人生礼賛の歌詞の方がインパクトはあったかなと思います。
あと、テーマの補強としては主人公のアリのキリギリスの捉え方でしょうか。
主人公の主張が「遊び人に飯を食わせるなんて」が強すぎて、キリギリスの音楽性や人生観の認識が、後段でひっくり返る感じがしないのです。
それにもし、キリギリスの歌に価値を認めたら、「食べない」という選択肢も出そうなものですし。冬の間、歌い手として雇うとか。家畜的に他の昆虫を飼うアリとかもいますし、そういう展開かなとも一瞬思ったんですが。
そういう意味で、「矛盾はないけど何か釈然としない」「物語は落ちてるけど、落ちた気がしない」というのが、私の偽らざる感想です。ゆえに冒頭の読後感に至るわけです。
これは邪推ですが、キリギリスの生き様とかのパーツは、書きながら思いついて採用したふうにも思われますね。全体的にテーマがふわふわしているのも、もしそうだったら納得です。
さて。
この話の感想が難しいと書いたのは、「私ならどう改善するか」が、いっかな思いつかないからです。まじめに一時間ほど案を練りましたが、上記のような改善程度で、おそらくここを直しても満足度は大差ないはず。
大筋をいじるのも考えましたが(資本主義下の音楽シーンを風刺として絡めるとか)、これぞという代案が出るでもなく、どうも鉱脈を探し当てられない感じ。自分が書けないものを求めるのもどうかと思いますので、余計に評価が難しいという。
前述の指摘を採用するなら、テーマを一つに絞れば、もうちょい感情移入しやすくはなるはずですが、正直、あまり高得点が取れる気がしません。個人的にですが、どうもツボがずれている気がします。具体的な指摘ができず申し訳ないのですが。
なかなか難しいお題ですねこれ。
一から書くとして、私ならどう料理したものか…ううーむ。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
毎回ながら丁寧かつ詳細な批評の数々、痛み入ります。お願いしてよかったと心から思いました!
いただいたお話はおおむね「なるほど、そうですよね」と言えるものばかりで、作者として反論できるようなものはほぼないのですが、もしかして認識がすれ違ってるかも、ということを一点確認しておきますと、キリギリスはどのみち寿命ですので間もなく死にます。一応この話は、アリは数年長生きする生き物で、キリギリスは半年程度が精一杯という設定のもとで書きました(現実にはクロアリは一年数ヶ月、キリギリスは三ヶ月程度だそうです)。そのへん、きちんと説明いれてなかったんで、「なんでキリギリスはこんなに達観して食われてるのか?」というところを巡って全く別の話に読まれてる可能性もあるなあと、今頃になって気づきました。
つまりは、余命わずかの人が、納得のいく死に方をしたい、と色々演出して安楽死(には見えませんが)してるようなもんで、主人公が怒ってるのは「そんな、一見救っても無意味なような相手を庇護するなんて、それもキリギリスなんぞを」という、"ムダ"に対する憤りゆえのことです。現実の人間社会でどういうシーンが該当するかはあえて申しませんけれど、なにしろアリですから、本音では「エサになるはずの相手を食わせるなんて」という思いも含まれていただろうと思います。
で、説明書きにもわかりにくく匂わせていますけれど、この話のテーマは輪廻転生です。解体シーンが必要以上にグロく感じられるようですので、それもミスリードになってるのかなあと思うんですが、私自身は自然界の「食う、食われる」という関係性を、いわば美化して肯定的に書いたつもりなんですね。ゆえに、ああいう、妙に悟った歌になったわけで――正直、「哀切」という感想には「あれぇ?」と思ってしまいました。私なりに人生賛歌のつもりで書いたんですが――うーん、諦観が強すぎたかな?
以上、執筆時を思い出しつつ言い訳してみましたが……これだけのポイントを話に入れ直しても、梶野さんのご指摘の妥当性はやはり変わらないように思います……変わりませんよね? なんかズレてる、というのは、私も同感なんです。ただ、そのズレ方ぼかし方が、メルヘンっぽくていいかも、なんて発表当時は思ってしまってたようで。
やはりグロさが強すぎるから? 実は私自身、単に写実性を高めたつもりなだけで、グロいって全然思ってないんですけど 笑、そういうところの感覚のズレも大きな原因なんだろうなと。もっとも、ショック要素など狙っていなかったと書けば嘘になります。
とにかく、しっかりした読書経験と常識感覚をお持ちの方に、総合的な判断をいただきたかったということですので、お言葉はまるごとありがたく受け止めさせていただきます。作者の意図と読み手の受容がなんかズレてる? みたいな印象があったんで、これでだいぶんスッキリしました。
ひたすら多謝、感謝です。重ねて御礼申し上げます。
大いなる自然の中でへの応援コメント
アリとキリギリスの身体器官の描写が良かったです。異星生物を描写するSFっぽさを感じました。ちょっとダークな展開も含めて。
作者からの返信
コメントと評価、ありがとうございます。
レーティングこそ入れたものの、私自身はこの話はきわめてほのぼのした、前向きかつ健康的な成長物語のつもりだっんですが 笑、ともあれ、思いがけない方向からの感想も含めて、お言葉をいただけるのは本当に嬉しいです。
古い昆虫図鑑を見ながら書いた作品なんで、それでSFっぽくなったのかな。昔の図鑑って、解剖図だらけで結構メカメカしい雰囲気ありましたからね。リアルな昆虫の描写は、今どきだと異化作用がありますよね、たしかに。
率直なご意見とは承知しつつも、色々考えさせられるコメントです。よろしければ、またよろしくお願いします。
大いなる自然の中でへの応援コメント
昔話や童話を題材にするのは一つのジャンルといっても良いくらい色んな人がやってますから、これは斬新というのは中々難しいとは思いますね。
元は「アリとセミ」だった物語が時代や国を経て色んな虫に置き換わったらしいので、第三の虫を登場させて第三の価値観を提示するという展開もあるかなと思ったりしました。アリもキリギリス(セミ)も極端な価値観ですからw
それにしても真剣に物語を紡ごうとする姿勢(忌憚のない意見も含めて)は感服します。
ここでこんな事を書くのは何ですが、一部の書き手や読み手は「書いた」「読んだ」ではなく「見せた」「見た」の関係だけで評価しているように見えて……皆まで言いますまい。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
修正案をいただいておいて、現在直す直す詐欺を引っ張り続けている問題作です 笑。
私の現時点でのアップ作品の多くがそうであるように、この作品も某小説講座の小課題で提出したもので、いろいろと若書きの至りみたいな(当時で三十過ぎてましたが)ところが目に付く習作なんですが、捨てるに捨てられない愛着のある一品です。
短編の長さに持ってくのなら、第三の視点というのもありでしょうね。ただ、私の場合はそれをやってしまうと、「短編のつもりが中篇、さらに長編へ」というパターンになりそうです w。
こんな拙作でも、私の場合はコメンテーターに恵まれて。日々有意義に過ごさせていただいてますが、確かに首を傾げたくなるようなやりとりで埋まっているところも散見しますね。とはいえ、カクヨム全ユーザーが暑苦しいコメントをやりとりする人たちばかりというのは、それはそれで地獄なんではないかと ^o^。これだけ間口を広く取った投稿サイトならやむなし、とも言えるでしょう。それだけに、しっかりした言葉を受け答えできる、そうざさんのような方々との出会いもありがたみが増すというものです。どうぞ今後ともよしなに願います。