第181話 娘との二人っきりの1日!ラリサ編
アニカとオルとロスとで狩ったキングブルを村の住人全員と食べていた時にラリサと桜花にお願いされたのだ。
「アニカとお父さんとオルとロスには感謝ですね。こんなおいしいお肉が食べられたのですから」
「そうなんだよ。こんな上質なお肉滅多にないんだよ。これを狩ったアニカは自慢の妹なんだよ」
「パパが受け止めてくれなかったら倒せなかったの。でもパパにいっぱい褒められて嬉しかったの。お姉ちゃん達にもいっぱい褒められてアニカ嬉しいの」
そんなアニカが可愛かったのか桜花もラリサも抱き締めて頭を撫でている。溺愛されるアニカである。
「私と桜花もお父さんとの時間が欲しいです。だめかな?」
「ラリサいいこと言うんだよ」
娘としてアニカだけ時間を作ってもらって羨ましかったようだ。
「わかった。二人がやりたいことに付き合うよ」
昨日そのような話があり、今日はラリサと二人でお出かけである。どこに行くとか何がしたいとかは聞いておらずラリサに全て任せている。
「準備出来ました。行きましょう」
準備と言ってもアニカのような重装備という訳ではなく、白いワンピースを着ているだけである。
「おっ!こないだ本で選んで購入したやつじゃないか!似合ってるぞ」
3姉妹は、つい先日拓哉からもらったファッション雑誌を見ていてあーだこーだと言い合っていたのだ。その中でラリサは白のワンピースが気に入って買ってあげた。尻尾の部分とかはヤミンの服飾工房で手直ししてもらっている。
「えへへ。褒めてくれて嬉しいです」
照れ笑いを浮かべながら嬉しそうにするラリサ。
「今日はどこに行く予定なの?」
「村を歩いて回ろうかなと思ってます。お父さんもなかなか村を見て回ることないでしょ?」
そんなことでいいのと思いながらも、確かに寝て起きて仕込みをして営業しての繰り返しで村の様子などまともに見たことがなかったなと思う。いい機会だしブラブラ歩き回ってレジャーシート敷いてご飯を食べられたらいいかなとか考えていた。一応朝からお弁当を作っている拓哉。
「じゃあラリサに任せるからいこうか」
「はい!任せて」
手を出してきたので握り返す拓哉。ラリサは、満足そうに握った手をブラブラさせている。
「ここらへんも凄い変わったよな。相変わらずバルトとお弟子さんが、凄い速度で建築してるけどこれ以上誰もこないと思うんだけど」
「う〜ん?多分いっぱい来ると思いますよ。だって日に日にいろんな人が増えてるじゃないですか」
いろんな種族が居すぎて、これ以上いないんじゃないかと思う拓哉だったが、ラリサからそう言われたら来そうな気がして何か大変なことになりそうな予感がヒシヒシと感じる。勘違いならいいのだけど。
「まぁ来たら来たで考えたらいいや。それより、ボーン先生と学校はどう?」
「ボーン先生は優しいし、元貴族のカイルくんも知らないことを知ってるんですよ。凄いなってみんなで言ってます。学校は行ってみたかったから、みんなと授業をしたり魔法の訓練をしたり凄く楽しいです」
貴族でも知れないことは、多分拓哉が渡した日本語の化学と数学の参考書だろう。すでに日本語もマスターしかけているボーンである。どれだけボーンは頭いいのかと思う拓哉であった。
「楽しそうならよかった。虐めとかもなさそうだもんな。俺の前世にいた学校とかはよくそういうのがあったんだよ...それで死んじゃう人もいたくらいに」
「え?虐めちゃうんですか?みんな仲良くすればいいのに...死んじゃうとか悲しいですね」
村の住人や子供達を見ているとみんな仲良しだし、なんで前世では虐めとかが起こるのだろうと思ってしまう。
「そうだよな...この村ではみんな仲良くを決まりにしていこうな」
「うん!」
拓哉もラリサも笑顔で握った手を振りながら歩く。何人か村の住人と会うのだが仲が良いねと言われてラリサが「うん。お父さんのこと大好きなんです」と返していた。
「ラリサあの辺りでお弁当を食べよう」
「やった〜食べます」
バルトの弟子のリケが作った噴水の周りにベンチがあり、ちょうど食べるのにもってこいの場所である。
「これがラリサ用だから開けてみて」
「わぁぁ!タコさんウインナーに人参がお星様になってる。え?このライスの絵って私?お父さん凄いよぉ」
拓哉はキャラ弁ならぬ娘弁を作っていたのだ。実の妹に作ってあげて以来である。
「頑張って作ってみたけど喜んでくれてよかったよ。じゃあ食べようか」
「ん〜おいしい〜いつものウインナーよりおいしく感じます。この煮物も味が染みてておいしい。お星様の人参を食べるのが勿体なくなっちゃいます。それにライスも...でもおいしそうだよ〜」
カワイイお弁当を食べるか食べないかで凄く迷っているラリサ。食べる前は残念そうにしているが、一度口をつけたら「おいしい」と言ってモリモリ食べる。拓哉からしてもそのおいしそうに食べる顔を見ることが1番満足だし嬉しい瞬間である。
「また作ってあげるから残さず食べような。うん!おいしい」
拓哉と娘と二人っきりの時間が楽しそうに過ぎていくのであった。
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