第169話 かぼちゃ料理を堪能するボーン!

結界装置の開発や子供達の教養などで、多忙だったボーンだか、結界装置の件が片付いて教養だけに力を注げるようになった。

最近では、拓哉から貰った化学や数学の問題集を自ら解くようにしている。これは、化学を魔法のイメージに役立てないかというボーンなりの考えからである。これを確立して子供のうちに教養をすれば、素晴らしい魔法使いや錬金術師や付与師が誕生するのではないかと思ったからだ。


今日も授業が終わって、化学の実験をしたり、化学式を覚えたりしていた。そろそろ、憩い亭の開店時間だということで、片付けをして店に向かう。ちなみに、時計は全家庭に拓哉が配って備え付けるよう指示を出している。


カランカラン!


「いらっしゃいませ」


いつものように、元気のいい挨拶を聞きながら入店する。お気に入りの席などはないので、適当に座り、メニューを眺める。


「すいません。かぼちゃの煮物と日本酒を下さい」


「は〜い!畏まりました」


ラリサが注文を受けて、厨房へ伝えにいく。日本で今旬のかぼちゃを頼むのは、日本についても軽く勉強しているボーンならではだろう。かなりの博識である。

暫くして、ラリサが注文のかぼちゃの煮物と日本酒を持ってやってくる。


「かぼちゃの煮物と日本酒です」


「ラリサさんありがとうございます」


早速、箸を持ってかぼちゃを掴む。掴んだだけで、今にも崩れそうなくらい柔らかいとわかるほどホロホロしているのだ。


「ん?ん?口からなくなりました。これは予想以上ですね。口の中でホロホロ崩れてねっとりとした甘いかぼちゃ...それを味わっているといつの間にか口から無くなります。とにかくおいしいですね」


魔境産かぼちゃならではであり、ねっとりしながらも、段々溶けていくような口に残るようなことはないかぼちゃなのだ。しかも、口には甘みがしっかり残っている素晴らしいかぼちゃである。


「うん!やはり日本酒もかぼちゃに合う。すべてを洗い流して、また一からかぼちゃのおいしさを味わえるのもいいですね」


ボーンは、一人の時間を楽しみながらゆっくりと食事を進めていく。骸骨なので、表情は無いものの、もし、表情があるとすれば満面の笑みを浮かべながら食べていることだろう。


「そろそろ無くなりそうですね。アニカさん、かぼちゃポタージュスープを下さい」


「は〜いなの。ちょっと待っててくださいなの」


アニカは、パタパタと走りながら厨房に伝えに行く。


「今日は、かぼちゃ料理を色々頼みましょうかね。それにしても、お店は賑やかになりましたね。それに、村も活気があって老後ならぬ死後?死後もおかしいですが、ここに住めるのは幸せですなぁ」


死後にのんびり余生?死生を過ごしていることのおかしさに思わず内心笑ってしまうボーンであった。


「かぼちゃポタージュスープお待たせしましたなの」


「おっときましたか!アニカさんありがとうございます」


キレイな黄色いスープに目を奪われながらも、食べたいという欲求が勝り、スプーンでスープを掬い口に運ぶ。


「なんと濃厚な...それにクリーミーでまろやかでかぼちゃの味と甘みをそのまま感じ取れるスープとは...恐れ入りますね。かぼちゃの微かな雑味を消しているのは、動物の乳でしょうか?これが、クリーミーにしている要因でしょうな。これも、素晴らしくおいしい料理ですよ」


元は神官ということもあり、綺麗な作法でスープを飲むボーン。


「おっと、また無くなりそうですね。おいしいとついつい集中して食べてしまいますよ。ラリサさん、もちもちチーズのかぼちゃ餅とビールを下さい」


居酒屋にあるいも餅のかぼちゃバージョンを頼むボーン。


「は〜い!お待ち下さいね」


来るで残りのスープを味わいながら待つが、スープを最後にすべきだったなと順番ミスをした自分を恥じるボーン。


「もちもちチーズのかぼちゃ餅とビールお待たせしました」


「ありがとうございます。では、早速...おいしい!モチっとした食感に甘じょっぱい味とチーズの濃厚さとかぼちゃの微かな味がよく合いますね。おっ!それに、ビールとの相性もいいですね。やはり喉越しのいいお酒はおいしいです」


ゴクリとビールを呑みながらまたかぼちゃ餅を食べる。それから、まだまだ閉店時間まで時間があるので、他のかぼちゃ料理をメニューから探すのであった。

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