第167話 ヴァレリーの1日の終わりとナポリタン!
ヴァレリーは、今日も仕事を終えて、18時になると店の前に並ぶ。今日は、何を食べようかなと並んでいる間に考えるのだが、久々に大好物のあれを頼もうと決めた。
開店と同時に、「いらっしゃいませ」と店内から響き渡る声を聞きながら、優雅にいつもの決まった席に座る。
「ラリサ、まずはビールと枝豆を頼む」
主食となる料理を前に、キンキンに冷えたビールで喉を潤わせる。
暫くすると、ラリサがビールと枝豆を持ってやってくるのだ。
「お待たせ致しました。ビールと枝豆です」
ジョッキをこれでもかと冷やしているのか?白くなったそのジョッキを持つと1日の終わり迎えたなと感じる。そして、ゴクゴクと半分程一気に飲むのだ。
「やはりビールは、キンキンに冷えてないといかんな。うまい!そして、この枝豆も最高の塩加減と歯ごたえに豆の味がしっかりしていて、んぐゴク!ぷはぁビールと合うな」
そしてまたビールをおかわりするヴァレリー。その間は、枝豆をつまみながら店の客を観察する。
「今日も平和だ。ん?とうとうルシフェルは、出禁になったか...まぁあれがもし、俺の娘だったとしたら同じ...いや、消し炭にしてやるとこであるな」
ちょうどルシフェルが、拓哉によって出禁にされた瞬間だった。愛娘のベアトリスを想像しながら物騒なことを口にするヴァレリー。
「ビールの追加を持ってきたの」
アニカが、追加したビールを持ってくる。アニカの頭を撫でながらお礼を言うヴァレリー。アニカもヴァレリーを好いているので、頭を撫でられることを嬉しく思っているようだ。
「ありがとう。アニカは狙われやすいから、これを付けとくように。拓哉には、攫われたら居場所が分かる魔道具だと伝えておいてくれ」
ペンダント型の追跡魔道具を渡すヴァレリー。
「わかったの。カワイイのありがとうなの」
そう言って次のお客さんのところに向かうアニカを娘を見るような目で見つめる。魔国での留学中にラリサとアニカを、娘のように可愛がっていたヴァレリー。
「立派に育っているようで安心だな。ぷはぁビールは何回呑んでもうまい。それにしても、家族が増えたな。アレンところは、子供ができたらしいから何かお祝いを渡さなくてはな。じきに各家庭で出産ラッシュを迎えるかもしれんな」
家族団欒の様子を見ていると自然と笑顔になるヴァレリー。ヴァレリーも、ここに通うようになり、殺伐とした雰囲気はなくなり優しい魔王様になってしまったのだ。
「ラリサ、そろそろナポリタンを頼む。バターを入れて濃いめの味付けとビールもおかわりを頼むぞ」
「は~い。少々お待ち下さいね」
また、お店の中を観察しながら、ナポリタンが出来上がるのを待つのだ。
「お待たせ致しました。ナポリタンです。今日は、桜花が作ったみたいで、いつもと違うようならすぐ言ってと言ってました」
「ほぅ〜桜花が作ったのか。香りも見た目もいつもと同じにしか見えないが...何かあったらすぐ言おう」
そして、フォークを手に取りクルクルと麺を巻いて口に運ぶ。
「ん!味付けも茹で加減もちょうどいい。それに、この濃いめの味付けがうまい」
次に、ベーコンと一緒に食べる。
「やはり、このベーコンあってこそのナポリタンだな。塩気の聞いた肉にトマトベースの味付けがよく合う。桜花は、更に腕をあげたようだな」
半分食べた辺りで、ビールをぐぐっと呑んで一息つく。
「ぶはぁ...このひとときの為に、仕事を頑張っているからな。ここがいつか無くなることがあれば、俺は生きていけないだろうな」
仕事が終わったあとの、このひとときがなくなったことを考えてしまい、一人で悲しくなるヴァレリー。
「考えても仕方ないし、拓哉は不老不死なんだ。無くなりはしないであろう。よし!食べるか。うむ!やはりこのタバスコをかけると酸味のある辛さがナポリタンと合うし食欲が増すな。そして、ビールの組み合わせ最高だ」
ある程度食べてからビールを呑んで、リセットしてまた食べる。これを繰り返して、ヴァレリーの1日が終了を迎えるのだ。
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