第153話 エルフの国へいざゆかん!
サリアとリーリヤが、迎えに来ると行った日の朝を迎えた。
拓哉一家は、旅行に行く一団とは思えないような格好である。服装はいいとして、アイテムボックスがあるので、鞄などはなく手ぶらなのだ。
あと、旅行中の村の住人の食事は、事前に拓哉と子供食堂の時の子供達に手伝ってもらい3日分の食事を作り、各家庭に渡してある。
拓哉一家が、サリアとリーリヤを待っていると村の住人がわざわざ全員集まってくれた。
「開拓は、ワシらに任せておけ。3日後には、あっと驚かせてやるわい」
後ろで、フェン テオフィロ ドゥルシッラ ボーン マリーが任せてと言う顔をしている。それを見た拓哉は、バルトチームと名付けようと思った。
「以前も、魔国から帰宅した時に、驚かされたから凄いことになるんだろうな。楽しみにしてるよ」
一体どんな村?町?になるのか。楽しみで仕方がない拓哉だ。
「私達も、ライス作り頑張りますね」
「使徒様、おいしいライスを育てます」
ふと、「異世界の白米が食べたい」とボヤいたことがあり、それを聞いていたシャーリーとビーチェが、米を育てると言い出したのだ。
「どんなお米ができるか楽しみだよ。早く食べたいくなるな」
甘みが凄いのか?粘り気が凄いのか?はたまたあまりおいしくないのか?どんな物ができるのか楽しみな拓哉。
「ここの防衛は、俺に任せてくれ。開拓場から飛び立てるようになったから飛びながら監視ができるしな」
グラデュースは、空からの監視をするようである。グラデュースが、旋回していたら下手な魔物は誰も近付かないんじゃないかと思う拓哉。
「グラさん、任せた。グラさんならどんな敵が来ても瞬殺してくれそうだけどな」
グラさんに役職を与えるなら、防衛大臣だなと思う拓哉。
「拓哉さん、私とモニカで運営と来客対応はしておきますので、心置きなく羽根を伸ばして来てください」
「アレンさんとモニカさんがいれば安心ですね。それに、アレンさんは村長ですからお任せしますよ。段々ここも、それぞれの役割が出来てきましたし、一度役職を決めるとかした方がいいかもしれませんね。それか、このまま自由気ままか?多数決を取って決めるのもいいですね」
規模が、そろそろ町になることでちゃんと一度考えるべきかなと思う拓哉。
そんな話をしていたら、サリアとリーリヤが迎えにきてくれたようだ。
「拓哉さん、迎えに来ましたよ。お別れの挨拶が終わったなら皆さん捕まってください」
一通り挨拶は終わっているので、「行ってきます」と行って拓哉一家は、サリアとリーリヤに掴まる。
次の瞬間、魔国と同じように、門の前に着く。
「これが、エルフの国か。イメージと全然違いました」
「どんなイメージだったの?」
リーリヤが、尋ねてくる。
「高い所に木で出来た家があったり、自然の中で暮らしていたり、エルフらしい服装?をしていたりするのかなって?」
サリアとリーリヤは、顔を見合わせて笑っている。
「それは、もう何百年前の話よ。あんな汚くて衛生面も悪い場所住めないわよ。今は、ドワーフと国交を結んで住みやすい街を作ることが出来たわ。服も美意識が高い人が多いから流行りを取り入れたり、自分で作る人ばかりよ」
異世界のエルフのイメージが、総崩れする。しかも、ドワーフと仲がいいとか、どういうことだと思う拓哉。
「そんなに古い情報だとは、恥ずかしい。それより早速、エルフの国に入りたいのですがいけますか?」
逆に、イメージと違うエルフの国を見てみたくなった拓哉は、早く入りたいとお願いをする。
「はい!行きましょう。手続きは完了していますので、すぐ入れますよ。王様が頑張ってくれました」
サリアが、ガッツポーズをして答える。
「え?本当は、入るのに時間がかかるのですか?」
拓哉が、疑問に思っているとサリアではなくリーリヤが答える。
「それは、そうよ。昔みたいに奴隷にされることはなくたったけど、人間は昔エルフ狩りをして奴隷にしてたんだから、あまりいい印象がないのよ。でも、今回王様が大々的にサリアの店で出してるドリアを教えた師匠が来ると御触れを出したのよ」
拓哉は、ドリア師匠としてエルフの国に知れ渡っているようだ。凄く恥ずかしくなるが、受け入れてもらえないよりいいかと納得するのだった。
「そんな歴史があり、そんなことになっていたのですね。今日は、色々驚き過ぎて疲れましたよ...」
「疲れたってまだ来たばかりよ。それより、この札を首から下げといて。これが、国賓扱いの証明になるから」
そう言われて首に下げて門をくぐる。
その時、門番から「ドリア様、歓迎致します」など声をかけられた。
「みんな、俺ドリア様って言われたよな?」
桜花もラリサもアニカも頷く。
拓哉は、俺はドリアじゃないぞ!と当たり前のことをボヤキながらエルフの国に入るのであった。
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